例えば、コロナ禍による渡航制限の影響が直撃し、収益状況が最も深刻な部類の空運業では、直近の第3四半期にかけて一段と赤字幅が拡大。一方、デジタルトランスフォーメーション(DX)の追い風を受ける情報・通信業は、第3四半期に増益幅が拡大する構図となっている。
このように残酷にも、強い企業はより強く、厳しいところはさらに落ちていくという、弱肉強食の構図が現実化しているのだ。こうした「格差」は、業種といった単純な物差しだけで測れるわけではなく、例えば同じ業種の中でも二極化が生じている。では、コロナ後の世界でも特に高成長が見込めそうな市場の勝ち組とは、どんな条件を持つ企業であるのか。
独自の成長要素や強固なビジネスモデルを持ち
中長期トレンドに乗るグロース株に投資せよ!
その答えを探るべく、トップストラテジストたちへの取材を通じて浮かび上がってきたポイントが大きく三つある。
一つ目は、独自の成長要素や強固なビジネスモデルを持っていること。米国の巨大テック企業、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン・ドット・コム)はその代表格だ。
とはいえ、米国の個別株に投資するのはハードルが高いと感じる人も多いかもしれないが、実は日本の上場企業の中にも、GAFAになぞらえられるような強い企業が存在している。市場関係者からは必ずと言っていいほど名前が挙がるのに、BtoB向けの製品やサービスを扱うことから、世間的な知名度は高くないというような企業が幾つもあるのだ。
例えば、「日本のGAFA」とも称されるエムスリー(詳細は本特集#3『エムスリー「医師の9割わしづかみ」の理由、上場16年で売上高87倍&株価92倍』参照)は、医療従事者専門サイト「m3.com」を運営し、国内29万人の医師の9割が登録するという圧倒的なシェアを誇る。「工具界のアマゾン」などと呼ばれるMonotaRO(本特集#18『工具通販MonotaROが「株価100倍&時価総額楽天超え」できた理由』)も勝ち組企業の一つ。こうした企業は変化への適応力にも優れ、難局でも安定して高収益をたたき出してきた。
次に、競争力の高いグロース株(成長株)であることだ。