ゼネコン 地縁・血縁・腐れ縁#4

超高層オフィスビルが林立する東京や大阪の中心部。財閥系を中心とした不動産大手が開発に取り組んだ結果だが、ゼネコンが血みどろの受注競争の果てに、大赤字で完成させたものも多い。特集『ゼネコン 地縁・血縁・腐れ縁』(全15回)の#4では、過去の系列やしがらみとは無関係の苛烈な受注競争を、ゼネコン各社はどのように戦っているのかを取り上げる。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

大手ゼネコン社員
「頼むから受注しないでほしい」

「取りあえず五輪関連の建築工事が一段落し、受注意欲は非常に旺盛」――。11月10日、2022年3月期中間決算の発表記者会見で、三菱地所の片山浩専務は、ゼネコン側の受注姿勢を問われ、そう答えた。

 同社は中間期の営業利益が1116億円と過去最高だったが、ゼネコン各社で赤字工事への危機感が強まっていることを聞かれると「従来のようなディスカウントのお願いは難しい。われわれとしても工夫できる余地はあり、ゼネコンに受け入れてもらえるデベロッパーでありたいと思う」と慌てて付け加えた。

 従来ゼネコンに工事費用のディスカウントをお願いしてきたことを図らずも明らかにしたわけだが、三菱地所がとりわけ多くの超高層ビルを建設してきた東京の大手町・丸の内エリアは、赤字受注は当たり前。それでも「どこまで突っ込めるか」(元大手ゼネコン幹部)という覚悟がゼネコンに問われた。日本最高クラスのオフィス街に“わが社の金字塔”を打ち立てることが、ゼネコン各社の経営を差配する技術系幹部の至上命令となり、各社が受注合戦を繰り広げる舞台となってきたのである。

 そんな丸の内のビル群の中でも日本最高峰となるのが、JR東京駅北側向かいにある常盤橋の再開発エリア「TOKYO TORCH」に27年竣工予定のトーチタワーB棟だ。

 このトーチタワーB棟について、大手ゼネコンの事務系社員は「頼むから受注しないでほしい」とこぼす。その理由もまた切実だ。