
ポイント業界周辺を常にウォッチしている筆者だが、大きくステージが変わったタイミングは3つあると考えている。
1つ目は、2010年にPontaポイントが開始されたこと。これにより、「Tポイント vs Pontaポイント」と言われ、共通ポイントが注目されるようになった。
2つ目は、2013年にTポイントとYahoo! JAPANが提携したこと。インターネットとリアル店舗のポイントが1つになり、利用可能な店舗が一気に増えた。その後、楽天もインターネットだけではなく、リアル店舗でもポイントが貯まる「Rポイントカード」を開始した(現在の名称は「楽天ポイントカード」)。
(関連記事⇒「Yahoo! JAPANカード」はTポイント利用者必携!年会費無料で還元率1%、Tカード機能も搭載し、Yahoo!ショッピングではポイント3倍の高スペック!)
3つ目は、2014年に「au WALLET」が開始されたこと。携帯電話キャリアのポイントが共通ポイントのように使いやすくなり、他キャリアも追従せざるを得なくなった。ソフトバンクがTポイントと提携、ドコモがdポイントを開始と、たった5年間の動きとは思えないような激しい闘いが繰り広げられている。
(関連記事⇒ドコモとPontaが提携し、ポイントの相互交換へ!au、ソフトバンクに続く携帯ポイントのオープン化で群雄割拠のポイント戦国時代が始まる!)
すでに「ポイント=おまけ」ではなくなり、企業にとって、ポイントをどう活用するかは最重要課題になっているはずだ。ポイント業界の動きを見ているだけで、ある程度は企業の動きも予想できる。投資家もポイント業界の動きに注目したほうがいいだろう。
今回は、ポイントという観点から、2016年に筆者が注目している業種を4つ紹介したい。
【注目すべき業種・その1】
ポイントとは切っても切れない関係の「コンビニエンスストア」
「共通ポイントといえばコンビニエンスストア」と言っても過言ではないほど、共通ポイントとコンビニエンスストアは切っても切れない関係だ。
(関連記事⇒ローソンで「おさいふPonta」、セブン-イレブンで「au WALLETカード」など、コンビニで得をするプリペイドカードやクレジットカードを総まとめ!)
2015年は、ファミリーマートとサークルKサンクスが統合を基本合意したり、ファミリーマートがココストアを吸収合併したりするなど、コンビニエンスストア業界が大きく動いた年だった。
ファミリーマートとサークルKサンクスが統合すると、コンビニエンスストア業界における売上高の順位が変わって、1位がセブン-イレブン、2位がファミリーマート(+サークルKサンクス)となり、現在2位のローソンは3位に落ちてしまう。
3位転落が確実となったローソンが取った行動が、ドコモとの提携だ。
ローソンでは、「Pontaカード」を提示するとPontaポイントが貯まるサービスを従来から行なっているが、2015年12月からドコモの「dポイントカード」を提示するとポイントが貯まるサービスも開始した。また、同月からイオンの電子マネー「WAON」でも決済できるようにするなど、ドコモユーザー5400万人とWAONを利用する主婦層を取り込む戦略を取っている。
次に注目すべきは、現在、サークルKサンクスで利用可能な「楽天ポイントカード」だろう。ファミリーマートとサークルKサンクスが統合すれば、屋号はファミリーマートになる可能性が高い。問題は、「Tカード」と「楽天ポイントカード」が併用可能になるかどうかだ。
ファミリーマートはTポイント・ジャパンに出資しているため、ファミリーマートとサークルKサンクスが統合すると、おそらく「Tカード」の利用のみになり、「楽天ポイントカード」は利用できなくなるのではないだろうか。
冒頭でも書いたように、「コンビニエンスストア=共通ポイント」なので、コンビニエンスストアで利用できない「楽天ポイントカード」は魅力がなくなり、共通ポイントサービスの戦国時代とも言える現代では“負け”となるだろう。この“負け”を取り返す方法としては、どこか他のコンビニエンスストアと提携するしかない。筆者は、3位に転落するローソンで「楽天ポイントカード」を利用できるようになるというのが、一番可能性が高いと考えている。
2016年も、共通ポイントサービスの生命線とも言えるコンビニエンスストア業界に注目したほうがいいだろう。
【注目すべき業種・その2】
ポイント付与が自由化のカギを握る「電力・ガス」
2016年4月に電力自由化、2017年にはガス自由化が開始する。
既存の電力会社各社は、ポイントで利用者の囲い込みを開始する。東京電力は2016年1月から、電気料金の支払いやWebサービスの利用などでTポイントかPontaポイントを付与するサービスを開始した。
(関連記事⇒電力自由化によって「WAON」の存在感がアップ!「Tポイント」「Ponta」「楽天スーパーポイント」の3大共通ポイントのライバルとなれるのか?)
中部電力は、Webサービスの利用で貯まるカテエネポイントの交換先を、従来のWAONポイント、nanacoポイント、ユニコポイントだけではなく、dポイント、えんてつポイント、LuLuCaポイントなどにも拡大。四国電力も、よんでんポイントを開始すると発表している。
新電気事業者で注目すべきは「ENEOSでんき」だろう。ENEOSのガソリンスタンドと同様、Tポイントの付与を発表している。また、「ANAカード」、「エポスカード」、「TS CUBIC CARD」、「レクサスカード」でポイント倍増、またはマイルアップの提携も開始予定だ。
■ANA VISA Suicaカード | ||
還元率 | 1.5% (※ 1マイル=1.5円換算。「10マイルコース」申込時) |
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発行元 | ANAカード | |
国際ブランド | VISA | |
年会費(税抜) | 初年度無料、2年目以降2000円 (マイル移行手数料は年6000円) |
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家族カード | なし | |
ポイント付与対象の 電子マネー |
モバイルSuica | |
(関連記事⇒「ANAカード」のコストと獲得マイルを徹底比較!「ANA VISA Suicaカード」と「ソラチカカード」で低コスト&高還元でANAマイルが貯まるのはどっち?)
■エポスカード | ||
還元率 | 0.5~10% (通常時にマルイで提示して現金で支払うと還元率0.5%、クレジット利用で還元率1%。年4回の「マルコとマルオの7日間」開催時は還元率10%。一般店舗では還元率0.5%) |
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発行元 | エポスカード | |
国際ブランド | VISA | |
年会費(税抜) | 永年無料 | |
家族カード | なし | |
お得な優待サービス | ビッグエコーやシダックスなどカラオケの室料30%オフ、ロイヤルホストや居酒屋チェーンなどで飲食代10%オフなど、全国1万店舗以上の飲食店、レジャー施設を割引価格で利用できる。また「楽天Edy」チャージ分も0.5%還元される | |
(関連記事⇒「エポスカード」はマルイ以外でもメリットあり!年会費無料+高還元の「エポスゴールド」、高還元+サービス充実の「エポスプラチナ」も魅力!)
さらに、丸紅は楽天と提携し、楽天スーパーポイントが貯まるサービスを検討している。東急パワーサプライは「TOKYU CARD」の会員向けにTOKYU POINTが最大1%貯まるサービスを発表するなど、既存電力も新電力も“ポイント”がキーワードになっている。
■TOKYU CARD ClubQ JMB | ||
還元率 | 1.0% | |
発行元 | 東急カード | |
国際ブランド | VISA、Master | |
年会費(税抜) | 初年度無料、2年目以降1000円 | |
家族カード | あり(年会費300円、税抜) | |
ポイント付与対象の 電子マネー |
PASMO | |
(関連記事⇒マルイの「エポスカード」のゴールドカードがお得!東急や小田急など、定期券やPASMOのほか百貨店やスーパーでも得する電鉄系カードにも注目!)
電力会社にとっても、ポイントの付与はメリットがあるだろう。電気料金の値上げ・値下げは経済産業省の承認が必要だ。しかし、ポイントの還元率の変更は経済産業省への申請が必要ない可能性がある。
つまり、ポイントの還元率を上げ下げすることによって、実質的に値上げ・値下げを自由にコントロールすることが可能かもしれないというわけだ。
以上、今回はポイントという観点から、2016年に注目すべき業種を解説した。コンビニエンスストアと電力・ガスは最も注目すべき業種だが、次回はさらに2つの業種を紹介したい。
(関連記事⇒ポイント業界で2016年に注目すべき業種は?(後編)ポイントプログラムを刷新した新生銀行や楽天銀行、三越伊勢丹でお得な「エムアイカード」に期待!)
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還元率 | 年会費 (税抜) |
ブランド | 電子マネー対応 (ポイント付与対象) |
カード フェイス |
◆OricoCard THE POINT (オリコカード・ザ・ポイント) |
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1.0~2.5% | 永年無料 | JCB Master |
Suica ICOCA |
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【OricoCard THE POINTのおすすめポイント】 年会費無料ながら新規入会後6カ月は2.0%の高還元率で、7カ月以降も通常還元率が1.0%の高還元クレジットカード。「オリコモール」活用で「Amazon」では還元率2%になるほか、各サイトで貯まるポイントも含めれば「楽天市場」では還元率2.5%、「Yahoo!ショッピング」では還元率3.0%、サイトによっては還元率15%以上に達するなど、ネットショッピングでは最強レベル。また、「iD」と「QUICPay」を搭載しているので少額決済でも便利。貯めたポイントは「Amazonギフト券」「iTunesギフトコード」なら即時交換ができるので、ポイントの使い勝手も◎! |
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◆dカード | ||||
1.0~3.0% | 永年無料 | VISA Master |
iD |
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【dカードのおすすめポイント】 テレビCMでもおなじみの「NTTドコモ」のカードだが、auやソフトバンク利用者でもお得! 通常還元率1%と高還元で、2019年9月16日以降の申し込み分から年会費が永年無料になり、ますますお得なカードに進化! さらに「dカード」で貯まる「dポイント」は携帯電話料金に充当できるほか、JALのマイルなどにも交換可能で、ドコモユーザー以外でもお得なクレジットカードだ。 |
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【関連記事】 ◆「dカード」は「dポイント」を貯める最強カード! ドコモ利用者以外は年会費実質無料の「dカード」、ドコモ利用者は「dカード GOLD」がおすすめ! ◆「dカード」はドコモユーザー以外にもおすすめの「高還元+実質年会費無料」クレジットカード!ドコモユーザーなら「dカード GOLD」を使い倒せ! |
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◆アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カード |
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1.5%~ | 1万円 | AMEX | Suica ICOCA |
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【アメリカン・エキスプレス・スカイ・トラベラー・カードのおすすめポイント】 「マイル系最強カード」との呼び名が高いクレジットカード。対象航空会社・旅行会社28社で航空券代金やツアー代金を決済すると通常の3倍のポイントが貯まるので、航空会社発行のカードよりもマイルが貯まりやすいのが魅力。さらに、貯まったポイントは提携航空会社15社のマイルに自由に交換可能で、しかもポイントは無期限で貯められるのも大きなメリット! 「長距離+ビジネスクラス」の特典航空券に交換すれば、還元率は1.5%よりも高くなる! |
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◆楽天カード |
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1.0~3.0% | 永年無料 | VISA JCB Master |
楽天Edy (楽天Edyへの チャージ分は 還元率0.5%) |
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【楽天カードのおすすめポイント】 楽天市場や楽天ブックス、楽天トラベルを利用している人はもちろん、楽天ユーザー以外にもおすすめの「年会費無料&高還元」クレジットカードの代表格。通常還元率は1.0%だが、楽天市場や楽天ブックスでは最低でも還元率が3.0%以上に! また、「楽天ポイントカード」や電子マネーの「楽天Edy」との併用で、楽天グループ以外でも還元率は1.5~2.0%以上になる! ゴールドカードの「楽天プレミアムカード」も格安の年会費で「プライオリティ・パス」がゲットできてコスパ最強! |
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◆JCB CARD W(ダブル) |
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1.0~3.0% | 永年無料 | JCB | QUICPay |
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【JCB CARD W(ダブル)のおすすめポイント】 年会費無料で通常還元率は1.0%、「ORIGINAL SERIESパートナー加盟店」のセブン-イレブンやAmazonなどでは還元率2.0%、スターバックスでは還元率3.0%になるお得なカード。しかも、大手カード会社のクレジットカードだけあって、ポイントの汎用性も抜群! |
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【関連記事】 ◆「JCB CARD W」は「楽天カード」などとほぼ同じ、年会費無料+還元率1~3%のJCBの入門用カード!Amazonやスタバをよく利用する20~30代は注目! ◆「JCB CARD W」は、年会費無料で還元率1%以上のお得な高還元クレジットカード!「JCB CARD W」のメリット・デメリットを他のカードと比較して検証! ◆JCB CARD W(ダブル)のメリットを解説!「年会費無料」「常に還元率1.0%以上」「ポイントの使い勝手が良い」と三拍子そろった高還元クレジットカード! |
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◆イオンカードセレクト | ||||
0.5~1.0% |
永年無料 | VISA JCB Master |
Suica ICOCA WAON |
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【イオンカードセレクトのおすすめポイント】 一般的な「イオンカード」ではポイントがつかない「WAON」チャージでポイントが貯まり、「ポイント2重取り」ができるのが最大のメリット。また、「イオンカードセレクト」の保有+月1回のカード(または搭載のWAON)決済+ネットバンキングに登録という3つの条件を満たすだけで「イオン銀行Myステージ」の「シルバーステージ」に到達し、「イオン銀行」の普通預金金利が通常の30倍=0.03%になる(こちらの記事を参照)。メガバンクの定期預金金利が0.002%の今、普通預金金利が0.03%になるのはお得!「イオンカードセレクト」以外の「イオンカード」保有者はすぐ切り替えよう! |
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