節約の達人が伝授!ゼロから貯める節約術
【第36回】 2017年4月17日 風呂内亜矢

人口減少&少子高齢化時代のマイホーム購入術!
「フラット35」で住宅ローンを組んで、
「立地適正化計画」の指定エリアを狙え!

不動産は「好きだから」だけで買ってはいけない!
なるべく将来性を見て、買うかどうか判断を

 低金利の今、不動産を買うかどうか。あるいは住宅ローンの借り換えをするかどうか、といったことでお悩みの方が多いようです。そこで前回から、不動産を買うときの心構えや、注意点についてご紹介しています。

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低金利の今は「不動産」の買うべきタイミング? 不動産を買うときの心構えと、正しい住宅ローンの組み方を、元不動産会社勤務のFPが伝授!

 不動産を買うときに知っておきたい基礎知識は、前回の記事を参考にしていただくとして、今回はもう一歩踏み込んだポイントをご紹介していきましょう。

 まずは、どんな不動産を買ったらいいのか。人それぞれ、好みや事情があって不動産を選択すると思いますが、「好きだから」「この場所がいいから」というだけで不動産を決めてしまうのは危険です。なぜなら、将来的に見て、日本においては価値が大きく目減りする不動産が増えると考えられるからです。

 今は人口減少と少子高齢化の時代です。にもかかわらず、新築物件が販売され続けているため、空き家がどんどん増えています。総務省統計局の平成25年「住宅・土地統計調査」によると、日本全国の空き家率は13.5%。住宅・土地統計調査は5年に一度実施されていますが、この空き家率は過去最高水準です。

 空き家率が今後も高くなっていくことは確実視されており、野村総合研究所の試算によると、2020年代の空き家率は20%台、2030年代には30%台になる――とのこと。そう遠くない将来、2~3割もの家が空き家になると考えると、なんだかゾッとしてしまいますね。

空き家急増エリアでは、近隣の商業施設などの撤退で、
自宅を売るに売れない状況になるリスクも高い

 しかしながら、日本中でまんべんなく空き家が増えるかと言えば、そうとも限りません。一部ではごっそり人がいなくなり、空き家だらけになる地域が出てくる反面、それほど人口が減少しない地域もあるはずです。少なくとも、今、人口が集中している都心部や、郊外都市でもある程度は賑わっている駅前であれば、この先10~20年で空き家だらけになることは考えにくいでしょう。

 ですが、駅からかなり遠い郊外エリアでは、現時点では人口が多い住宅街であっても、いずれ櫛の歯が欠けたように空き家が目立つようになり、もっと年月が経過すると、街全体の人口が大幅に減少するところがある可能性も。日本全体の空き家率が30%台になる時代、都心部の空き家は10%程度にとどまっても、郊外エリアは空き家率50%――といった状況になることも考えられます。

 空き家率が高くなると、そのエリアの近隣にある商業施設は売上がダウンするため、移転したり、廃業したりしてしまう可能性も。となると、もともと駅から遠いうえに、買い物もしづらくなってしまいます。さらに、家の周辺が空き家だらけだと、放火や不審者の侵入といった犯罪の不安も高まります。住みづらくなって売りたいと考えても、そんな状況だと、希望価格で買ってくれる人はなかなか見つからない恐れがあります。

 暗い話になってしまいましたが、場所をきちんと考えて買わないと、将来的に「不動産を売りたくても売れず、引っ越せない」という袋小路に迷い込むリスクがあります。不動産は価格やモデルルームのきれいさなどだけに惑わされず、いつか売却する可能性まできちんと考えて選ばなければなりません。

人口減少時代に備えて「立地適正化計画」が進行中!
家を買うなら自治体の計画内容を必ず確認しよう

 いつか売却する可能性を考えるなら、政府の都市計画についても、ある程度の知識を持っておきたいところです。

 国土交通省では、都市計画の一環として、日本全国の自治体と協力し、「立地適正化計画」を進めています。「立地適正化計画」とは、コンパクトな街づくりを促進するための計画です。

立地適正化計画のイメージ図立地適正化計画のイメージ図。水色の部分が対象エリア。(国土交通省サイトより)
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 今は、駅前などの主要エリア以外でも、不便な場所にポツンポツンと住宅が点在しているような地域がたくさんあります。そのような状態だと、自治体は広範囲にわたって街の整備に税金を投入し続けなければなりません。

 しかし、街をコンパクトにまとめ、「対象エリアのみ開発や整備を強化する」と決めてしまえば、資金効率がよくなります。財源が不足しているうえに、人口減少が進んでいる今、こうしたコンパクトシティ構想は注目を浴びています。

 ただ、問題なのは「立地適正化計画」区域以外のエリアです。対象外エリアは、開発にも整備にも力を注いでもらえないため、いずれ荒廃してしまいます。そして、このエリアに買った家の価格は暴落するでしょう。そのため、家を買うにあたり、その自治体の「立地適正化計画」がどのように考えられているか、必ずチェックする必要があります。

 もっとも「立地適正化計画」は比較的新しいものなので、まだ日本全国すべての自治体が発表しているわけではありません。しかし、各道府県の主要都市(たとえば、札幌市仙台市名古屋市など)、東京でも日野市福生市が早々と取り組みに着手するなど、着実に進捗はしています。各自治体のホームページを見れば、どのエリアを「立地適正化区域」とし、どのエリアを外しているかがわかります。

 それでは「立地適正化計画」をまだ発表していないエリアで家を探している場合は、どのようにすべきでしょうか。これは難しいところですが、基本的に現時点で人口が集中している駅に近いエリア、市区町村役場、病院などが集まっているエリア(ショッピングセンター、私立の学校などは移転する確率があるので除く)などは、対象外区域に指定される可能性が低いと考えられます。

 よって、結局のところ、当たり前ではありますが、「駅近で利便性が高い場所」を選択することが、将来の不動産価値の暴落を予防する最善策と言えるのです。

「住まなくなったら貸せばいい」と言われたら要注意! 
通常の住宅ローンは「自分が居住すること」が前提条件

 さて、話はがらりと変わりますが、みなさんは新築マンションや戸建のモデルルーム・モデルハウスを見学に行ったことはありますか? モデルルーム・モデルハウスはスタイリストが入っておしゃれな空間を演出しているので、眺めていると思わず購買意欲を刺激されるものです。

 そんな、モデルルームでよく耳にし、気をつけておきたい言葉があります。それは、「住まなくなっても、貸すという選択肢もありますよ」というもの。

 マンションを買った後のライフプランがどうなるか、はっきりしていない人も多いでしょう。結婚や転勤、介護など買ったマンションに住み続けられなくなる可能性もあります。そうしたときに、「そうか、貸せばいいのか」という選択肢は心強いでしょう。

 ただ、「(自分が)買いたい物件」と「(他人が)借りたい物件」は、異なる場合が多いことを知っておく必要があります。買いたい物件は広さや豪華さを求めがちですが、借りたい物件は狭くても利便性が高く、家賃が抑えられるものが好まれることが多いです。貸すことを考えるのであれば、購入時から貸しやすい物件を選ぶことも大切です。

 また、そもそも住宅ローンを組んで買った不動産に自分が住まず、他人に貸して賃料を取る行為は、基本的にルール違反であるということも知っておいた方が良いでしょう。住宅ローンは、あくまで自分の居住用の住宅であることが、借入の条件だからです。また、物件を他人に貸す場合は、住宅ローン控除が受けられなくなる点も覚えておきましょう。

 最初は居住用として買った住宅であっても、事情が変わって人に貸すことが不可能なわけではありません。ローンを借りている金融機関に相談するなどして対応することになります。「最初から貸すつもりで住宅ローンを借りるのがいけないことである」と知っておけば、後から驚かずに済みます。

「フラット35」は途中から賃貸に出してもお咎めなし!
超低金利の長期固定の中でも、フラット35はおすすめ

 金融機関に相談した場合、“本当はダメだけど、お目こぼし”というようなニュアンスで、当初の住宅ローンを組んだまま人に貸してもOK、となることもあります。しかし、場合によっては、アパートローンなど、不動産投資用のローンに移行するように言われることもあるでしょう。不動産投資用ローンは、住宅ローンよりも適用金利がかなり高くなります。

 また、最悪の場合、そのときに借りている住宅ローンの残債を一括返済することを求められるケースもあります。貯蓄でまかなえなければ、別の金融機関に借り換えをしなければなりません。その場合は、基本的に不動産投資用ローンを選択することになり、やはり金利はアップするでしょう。

 例外的に「フラット35」であれば、「途中で(住宅ローンを借りたまま)賃貸に出してもOK」というルールになっています。ただ、「フラット35」の住宅ローンを組んだ金融機関に連絡し、所定の手続きをすることは忘れないでください。

「フラット35」は長期固定金利の住宅ローンですが、今は超がつく低金利時代なので、これから長期の住宅ローンを組むなら、「フラット35」のような全期間固定金利の住宅ローンがおすすめです。ただし、フラット35では「団体信用生命保険料」を別途支払いすることになります。一方、民間金融機関の全期間固定商品では金利に団体信用生命保険料が含まれていることが多いため、金利を比較する場合は注意してください。

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 変動金利のほうが金利は低いため、今は変動金利で住宅ローンを組んでいる人が多くなっています。しかし、変動金利で住宅ローンを組んだ場合、金利上昇のリスクや借り換えに備えて、常に金利の動向をウォッチする手間がかかります。全期間固定金利であれば、そのようなわずらわしさがないところがメリット。今変動で組んでいる人は、固定金利の住宅ローンに乗り換えるにも良いタイミングです。

 そして、「将来賃貸に出す可能性が高い」「全期間固定金利の住宅ローンを組みたい」という人は、フラット35を検討してみるとよさそうです。

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 今回は、不動産を買うときの注意点を紹介しました。よく言われる言葉ですが、不動産は多くの人にとって人生最大の買い物です。悔いの残らないよう、今回挙げたポイントなども念頭に置いて、外的要因に振り回されず、ベストな選択をしてください。

 なお、次回はフラット35について、もう少し掘り下げてみたいと思います。フラット35は、2017年3月末の制度改正により、売却時、売り主が組んだ住宅ローンの金利を引き継げることができるようになりました。この点も含めて、次回詳しく解説します。

(取材・構成/元山夏香)