2023年の5月から7月にかけて、「世界一周航空券」を使ってヨーロッパ(フランス、イギリス、スペイン)と米国のいくつかの都市を旅してきました。世界一周航空券については前回詳しく紹介したので、今回は海外旅行での“外貨の調達”についてお話ししたいと思います。
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旅行のしばらく前から「外貨預金」をしておこう!
海外旅行中の決済手段として、もっともオーソドックスなものはクレジットカードでしょう。最近では、クレジットカードとほぼ同じ感覚で利用できる、国際ブランドデビットカード・プリペイドカードという選択肢も増えてきました。
国際ブランドデビットカードは、VISAやMastercardといった国際ブランドのネットワークが利用でき、各ブランドの加盟店で利用可能。決済金額は即時、預金口座から引き落とされる点が、クレジットカードとは大きく異なるところです。国際ブランドプリペイドカードの場合も同様に、各ブランドの加盟店で利用でき、あらかじめチャージした残高の分だけ買い物することができます。
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加えて、多くの人は銀行や空港の両替所などで、外貨の現金も用意するはずです。このところ、世界的にキャッシュレス決済が浸透していますが、チップの支払い時や屋台、コインランドリーの利用時など、現金を使う場面にもまだまだ遭遇します。
今回の旅行に際して、私もさまざまな決済方法を検討・準備しましたが、特に役に立ったのが外貨預金です。外貨預金というと、資産運用を目的に預金するイメージがあるかもしれませんが「利息は高くても為替レートで元本割れする可能性がある」「外国株式型の投資信託などでも外貨の運用は可能」などの観点から、運用対象としてはあまりおすすめできません。
ですが、外貨預金を円に戻さず、外貨のまま引き出して海外で使うのであれば、用途が生まれ、デメリットも小さくなります。もっとも、日本にいるときに外貨預金を外貨のまま引き出すことは、原則としてできません。海外に行って現地のATMを利用する場合には、外貨のまま引き出すことも可能です(※銀行によって異なり、海外ATMでの引き出しも「不可」としているところもありますし、別途手数料がかかるところもあります)。
外貨預金をするなら「円高」のタイミングが有利ですが、2023年11月時点のドル円レートは1米ドル=150円を挟む記録的な円安水準。対ユーロや豪ドル、さらに近隣のアジア諸国(韓国やタイなど)の通貨に対しても、このところの円は安く、日本に住んでいる人が海外旅行をするには、やや不利な状況となっています。
旅行するタイミングで為替レートがどうなるかは誰にもわからないので、旅行直前や旅行中に両替しようとすると、有無を言わせず不利なレートが適用される場合があります。そのため、だいぶ前から旅行の予定が決まっている場合には、為替レートが円高になったときを狙って、外貨預金をしておくといいでしょう。
外貨預金をするなら、外貨取引に強い「ソニー銀行」がおすすめ
外貨預金をする際は、一度にまとめて預けると、その後もっと円高になったときに追加のお金を入れられなくなる可能性があります。日々為替のニュースを眺め、何回かに分けて預金するのがベターでしょう。
もちろん、せっかく準備しても、渡航のタイミングのほうが円高になっていることもあるかもしれません。そのため、この方法は絶対にお得とは言い切れないのですが、今回の私のケースに関して言えば、準備した時点のほうが渡航のタイミングよりもだいぶ円高だったので、かなりお得に外貨調達できました。
外貨預金は“外貨に強い銀行”として定評があるソニー銀行で準備しました。ソニー銀行は、取り扱う外貨の種類が多いのが特徴。円から外貨に両替するときの手数料も、業界最安水準です。海外ATMからの外貨の引き出しにも対応しているので、どこで外貨預金をするか迷ったら、ソニー銀行がおすすめです。
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円高のタイミングでは、外貨預金のほかに、旅先で行く予定のツアーの申し込みなども済ませておくといいでしょう(※現地通貨決済の場合)。また、早期にフライトの予約をしていて、実際に旅行に行くまでの間に円高が大幅に進んだ場合などには、価格差を計算してみると、予約を取り直したほうがお得という場合もあります。旅行前は、為替の動きに敏感になっておいてください。
国際ブランドデビットの決済額を、外貨預金から引き落とせる銀行も
日本で用意した外貨預金を海外で使うには、先ほど紹介したように、海外ATMで引き出すというのが一つの方法。ただ、多額の現金を持ち歩くのはリスクがありますし、逆に余らせてしまうと、再び円に両替するには手数料がかかります。
そこでおすすめしたいのが、国際ブランドデビットカードで決済し、外貨預金の残高から直接支払いをすることです。国際ブランドデビットカードは多くの銀行が発行しているものの、海外での決済金額を即時、外貨預金から引き落とせるものは、それほど多くありません。
外貨預金からの支払いに対応していない国際ブランドデビットカードの場合、海外で利用すると、円建ての普通預金口座から料金が引き落とされることになります。外貨預金をせずに、国際ブランドデビットカードを海外で使ったときも、同様に円預金から引き落とされます。
この場合、現地通貨から円に換算するための手数料(海外手数料)が発生します。手数料率はカードごとに異なりますが、だいたい1.6~2.0%強の手数料が請求額に上乗せされるイメージです。これは、海外でクレジットカードを使うときにも同じことが言えます。日本では、1回払いだと手数料の上乗せはありませんが、海外で利用した場合には、支払い回数にかかわらず1.6~2.0%強の海外手数料が上乗せされます。
一方、ソニー銀行の国際ブランドデビットカードである「Sony Bank WALLET」だと、海外での外貨預金からの支払いについては、海外手数料が無料です。預入時に円を外貨に換えた段階で為替手数料はかかっていますが、米ドルの場合で、1ドルあたり15銭程度(通貨と取引度合いに応じて手数料が変動)。仮に100ドル分の買い物をした場合、外貨預金から支払うときのコストは15円程度ですが、同額を手数料2.0%のクレジットカードで支払うと、2ドル(300円相当)ほどの手数料が上乗せされます。比較してみると、外貨預金からの支払いのほうが、コスト面でだいぶお得なことがわかりますね。
ソニー銀行のほかにも、手数料や取り扱い通貨などの違いはありますが、国際ブランドデビットカードの利用額を外貨預金から直接引き落とせる銀行はあります。また、「JAL Pay(JAL Global WALLET)」や「Revolut」などの国際ブランドプリペイドカードも、円高の際に残高をチャージ・両替しておくことで、同様の効果を得ることができます。
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クレジットカードの「タッチ決済」を利用できる場所が増えている
このように、とても便利な外貨預金と国際ブランドデビットカードの組み合わせですが、紛失などのリスクに備えて複数の決済手段を用意するという意味合いで、クレジットカードも準備しておくのが安心です。
私も、旅行中は国際ブランドデビットカードとクレジットカードの両方を使いました。個人的な印象としては、ヨーロッパのパリ、ロンドン、バルセロナでは、クレジットカードのタッチ決済が使える場所が多いと感じました。タッチ決済は、自分で店頭の読み取り端末にカードをかざすだけで決済でき、他人にカードを渡す必要がないところがメリットです。
ロンドンでは公共交通機関を多く使いましたが、クレジットカードのタッチ決済に対応しているところが多く、カードを登録してあるiPhoneを改札でかざすだけで、切符などを買う必要もなくスムーズに乗り降りできたのが便利でした。
一方、米国に入ってからは、タッチ決済の読み取り端末が設置されていないことがよくありました。クレジットカードのスキミングなどの被害を予防するためにも、決済時はなるべく他人にカードを渡さないようにしたいところですが、タッチ決済の読み取り端末がない場合は渡さざるを得ません。
自衛の策として、おすすめしたいのがカード表面にカード番号などの重要情報が刻印されていない、ナンバーレスカードを使用することです。最近は、カードの表裏ともにナンバーレスで、必要データは持ち主が連携アプリなどで確認する方式をとるカードも増えています。見た目もスタイリッシュです。新しくクレジットカードを選ぶときには、こうしたセキュリティ面への配慮も、判断基準の一つにするといいでしょう。
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ちなみに、海外でクレジットカードを使って買い物する際は“現地通貨払い”にするか“円払い”にするかを選べることがあります。どちらにするか悩んだことがある人も多いかもしれませんが、一般的には、現地通貨払いを選んだほうがよいと言われています。なぜなら、円払いでは各店舗がレートを決められることになっており、そのレートがよくないケースが多いからです。
また、デビットカード、クレジットカードのどちらを利用するにしても、カードに付帯する「海外旅行保険」の内容には注意が必要です。従来は海外旅行保険が「自動付帯」だったカードでも、旅行代金などを決済しないと保険適用にならない「利用付帯」に切り替えられる事例が増えているので、必ず最新情報を確認して持って行くようにしましょう。
さて、ここまで外貨の調達や支払いに関して知っておきたいことをご紹介しました。為替の関係で、海外旅行をしづらい状況ではありますが、少しでもお得に旅ができるように準備をしておきたいですね。
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(取材/元山夏香)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。会社員だった26歳のとき、貯蓄80万円でありながら自宅用としてマンションを衝動買い。物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯蓄を開始。年間貯蓄額を一年で6倍まで増やす。その後、自身の体験を活かしてマンション販売会社に転職。年間売上一位の実績を上げる。2013年、ファイナンシャル・プランナーとして独立。著書は『超ど素人がはじめる資産運用』(翔泳社)、『デキる女は「抜け目」ない』(あさ出版)、『ケチケチせずにお金が貯まる法見つけました!』(王様文庫)など多数。日常の記録にお金の情報を織り交ぜる「FUROUCHI vlog」を更新中⇒https://www.youtube.com/c/FUROUCHIvlog/
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