投資信託おすすめ比較[2020年]
2013年4月1日 深野 康彦

【第3弾】毎月分配型ファンドの分配金が「減らされる危険度」の判定法とは?

第1回では株式市場が上昇していても内容の危険度が改善されない毎月分配型投信が多いことを、第2回では分配金の健全性に着目する必要性をお伝えしました。第3回では「分配金が減らされる危険度の判定」についてお伝えしましょう。

★第1回 なぜ世界の株式市場が上昇しても、危ない毎月分配型投資信託がたくさんあるのか?
★第2回 毎月分配型投資信託の良し悪しがすぐにわかるポイントとは?

 毎月分配型投信を購入した方のほとんどは、毎月受け取る分配金が目当てです。仮に基準価額1万円で1万口あたりの分配金が100円なら「500万円分購入したら、毎月5万円の分配金かぁ」と誰しもが皮算用しています。

 それが毎月3万円に減ってしまった、「聞いてないよ~(泣)」となりますね。

イラスト/宗誠二郎

 昨年の11月までは分配金が減額されることは珍しくなかったのですが、みなさんもご存じのとおり株式市場の上昇&円安によって、多くの毎月分配型投信の運用成績は好転しました。

 しかし、第1回でもご説明しているとおり、減額寸前だった多くのファンドの中身は一朝一夕によくならず、現在は“なんとか”減額せずにいるのが実情です。

 いままではいつ減額されるかはまったく見当が付きませんでしたが、今回私が書いた『あなたの毎月分配型投資信託が危ない!』でご紹介している方法では、かなりの確度でわかるようになったのです。今回は本稿でその一端をご紹介します。

ファンドの“金庫の残高”がわかる数値があった!

 それでは減額の可能性が近づいていることがわかるものとはなんでしょうか? 第1回でご説明した、「分配金余力」がそれです。

 分配金というのはカンタンに図式化すると、いままでに運用益等を貯めた中から支払っています。

 記事の第1回第2回の繰り返しになりますが、分配金の健全性を判断するには「分配金健全性」と「分配金余力」があり、

分配金健全性……ファンドの毎月の分配金が毎月の収入で賄われているか?
・分配金余力……いまと同額の分配金を支払った場合、あとどれぐらいの期間支払えるか?

 家計に例えると
・お給料→ファンドの収入
・支出→分配金
・貯金→翌期繰越分配対象額
となります。

 上記の例でも挙げているように「貯金が200万円あれば、毎月の赤字が10万円でも、20カ月は同じ生活ができる」ということなのです。

 そして、この“貯金額”は一般のわれわれでも見られる場所(運用報告書)に載っており、この数値を

貯金÷(収入-支出)⇒翌期繰越分配対象額÷(ファンドの収入-分配金)

 で計算することで、「あと、どれぐらいの期間、現在の分配金を支払うことができるか」がわかるのです。

分配金を減額すれば、支払える期間が延びる

 仮に下記のようなファンドがあったとしましょう(数字はすべて1万口あたり)。

・翌期繰越分配対象額……2000円
・分配金……100円
・ファンドの毎月の収入……60円

 毎月のファンドの収入が60円しかないのに、100円を支払っています。それでは足りない40円はどこから捻出しているのでしょう?

 それが「翌期繰越分配対象額」です。

 今後毎月40円ずつ取り崩した場合、2000円÷40円=50カ月 となり、あと4年ちょっとは同じ金額を毎月分配金として受け取れそうだ、ということがわかります。

 ひとつお断りしておきたいのが、これは現時点でのあくまでも目安だということです。ただ、この残り期間が短くなったファンドの多くは分配金の額を引き下げる傾向にあります。

 なぜなら上記の場合、分配金を70円にすると毎月の不足分は10円になり、支払える期間は 2000円÷10円=200カ月 に延びるからです。

 分配金を減額する意味はこういうところにあるのです。

貯金はすぐには増えない

 昨年末からの株式市場の上昇で減配するファンドがほとんどなくなったことはすでに書いたとおりですが、ここまで読んでいただいた方は分配金を取り崩す「翌期繰越分配対象額」がすぐに増えないことを直感的に理解できていると思います。

 つまり、家計に例えると一時的に収入は増えているものの支出は変わらず、貯金もそれほど増えていない、となります。このような家計が危ういことはあらためていうまでもありませんね。

 ちなみに「分配金健全性」と「分配金余力」だけでもファンドの信頼性のかなりの部分がわかりますが、本書『あなたの毎月分配型投資信託が危ない!』ではグロソブや短期豪ドル債オープンなど資産総額が大きいファンド21本について、さらに詳しい分析と見通しを記しています。

 また「分配金健全性」と「分配金余力」に加え、いままでの運用成績などを加味したおススメファンドも8本紹介していますので、ぜひご覧ください。

◎Profile
深野 康彦(ふかのやすひこ)
有限会社ファイナンシャルリサーチ代表。クレジット会社を経て、1989年4月に独立系FP会社を経て独立。現在のファイナンシャルリサーチ(2006年設立)は2社目の起業。著者に『これから生きていくために必要なお金の話をしよう!』(ダイヤモンド社)など多数。