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今なら絶対にやらない! 2つの失敗投資とは? 不動産投資で勝ち続けるコツも伝授!

2022年4月19日公開(2022年4月19日更新)
八木 エミリー
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 私は、これまで7棟の物件に不動産投資をしてきて、それぞれの不動産賃貸業は順調です。でも、「2度と同じようなことはしない!」と思った2件の失敗をしています。今回は、不動産投資での失敗経験と、失敗しないように気を付けていることについて話をしていきます。これから不動産投資を始めたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。

イラスト :とーふねこ / PIXTA(ピクスタ)

土地から新築するアパートは収入が入るまでの期間がもったいない!

 いまだったら同じ物件は買わないと思っている物件とは、2015年に私が2棟目に購入した、愛知県某市にある8部屋の新築木造アパートです。最寄り駅から徒歩3分で好立地の土地を購入。購入した土地に上物(土地の上に建てる家屋)を建てるという条件で価格8400万円・利回り7.6%・自己資金100万円で、不動産会社から紹介された金融機関から1.975%での低利で融資を受けました。不動産会社に建築士も紹介してもらい、上物を設計してもらいました。当時はほとんど知識がなかったので、建築士の意見をそのまま反映。このアパートはシックでスタイリッシュな印象にしたかったので、ブラックが基調の外観にしました。

 ずっと満室続きなので、大きな苦労はしていません。では何が不満なのかというと、前述のように購入を決めてから物件が建つまでに、8カ月ほどかかったのです。
新築物件は、購入してから入居者が入って家賃が入るまでのスピード感に欠けます。それだけ時間を費やすのなら、他の中古物件を探して不動産投資を加速することができたのに........と思いました。

よく調べずに投資してしまった事業投資案件

 それともう1つの失敗として、商業施設への事業投資の話に騙された苦い経験があります。2棟目を買って購入資産1億円超えとなり、気分が高揚していたときのこと。たまたま参加した不動産投資セミナーで、「地元を活性化したい」という将来の夢をお話していました。するとセミナーの講師が私の夢を上手に絡めながら、「不動産投資もいいですが、事業投資をしてみませんか?」と声をかけてきたのです。

 詳しい話を聞くと、「新しくオープンする商業施設のプロジェクトがあるので、そのうちの1店舗分のオーナーになってみては?」という内容でした。「店舗運営は店長を別に雇って任せることができる。そこの初期投資分に出資すれば、地域活性化にも貢献できると思いますよ」と、私のツボを押さえた巧みな勧誘。「たしかに、それならいいかも」と、すっかり乗り気になってしまいました。不動産投資が順調に進んでいた私からすると、打診された金額は出せない範囲ではなかったので、「これもご縁かな」と思って軽い気持ちで出資を決めたのです。

 ところが、いつまで経っても、その商業施設の建設は進む気配がありません。セミナー講師に連絡してもなしのつぶて。結果、オープン予定日になっても商業施設は柱と床だけの空っぽの状態で、がく然としました。被害に遭ったのは私だけではなく、その後「被害者の会」もできたのですが、ちょっと高い勉強代だったと割り切りました。勧誘された事業のことをよく調べもせず、きちんと途中経過も追わなかった私にも落ち度があると思っています。

 この2つのミスから学んだことは、「自分でよく理解できないもの、完成した現物を確認できないものには投資をしない」ということです。これは不動産投資だけに限りません。私の周りには、保険や金融商品の話に騙されたことのある人が、少なくありません。少し預貯金が増えてきて、「そろそろ投資でもはじめようかな」と思っている20~30代の会社員や主婦層が被害に遭う傾向があります。

 「マレーシアの金融商品に投資してみたら、マイアミのマフィアとつながっている詐欺商品だった」という怖い話を聞いたこともありました。騙されていることに気づいて途中でやめられる人はまだいいほうで、騙されていることにすら気づいていない人も多いようです。被害の内容を聞いてみると、私と同じように投資セミナーで講師から話を持ちかけられたケースがほとんどでした。

 このような被害に遭わないためには、金融庁の登録を受けている業者が販売する金融商品以外には手を出さないことです。投資セミナーに参加する場合も、甘い勧誘には乗らないでくださいね。これといった実績や資格がない怪しげな個人が主催しているセミナーや、「節税になる」などと謳っていたりする怪しい金融商品を案内するセミナーには、参加しないほうが無難でしょう。

【ポイント:自分が理解できず実物を見られない物件には手を出さない】

「積算価格」が高い物件を買い続けることで融資が引ける

 不動産投資で失敗しないために気を付けていることとして、「積算価格」が高い物件を探すことを意識しています。金融機関から融資を受ける際、銀行は貸し倒れを防ぐため、不動産の「担保価値」を評価することが一般的です。そして、万が一返済できなくなった場合(債務不履行)に備えて、土地や建物を担保に「抵当権」が設定されます。そうした土地・建物の担保価値には「積算価格」と「収益価格」があり、「積算価格」は、シンプルに土地・建物の評価額を足し合わせると計算できます。

 一方の「収益価格」は、家賃収入から計算された不動産価格で、諸経費(運営費)を差し引いた年間利益を計算し、そこから期待できる利回りから、不動産価値を算出した価格です。将来的に得られる予定のキャッシュフローから、現在の物件価値を評価した価格ともいえます。

 「積算価格」と「収益価格」
・積算価格=土地価格+建物価格

土地価格:(土地単価×土地面積)
建物価格:再調達価格×延べ床面積×建築単価×(残存法定耐用年数÷法定耐用年数)

・収益価格=1年間の物件の「純利益」÷還元利回り

純利益:(年間家賃収入ー諸経費・公租公課などの年間運営費)
還元利回り:地域ごとに決められた利回り

※主な数値は金融機関によって評価が異なります

 私の不動産投資法は、ひと言でいうと「積算価格が高い物件の1棟買い」です。
これまで投資した7棟の物件は、すべて“積算価格重視”で選び、純資産(自己資金)を順調に増やし続けてきました。将来的な家賃収入から計算する収益価格ではなく、いま確実にある土地・建物の積算価格で、金融機関から合格点をもらえる物件を買う。

 そうすることで、その担保価値をもとにさらに融資を受けて、どんどん不動産(資産)を増やしていくのが私のビジネスモデルです。1棟買いした純資産は金融機関からの借り入れの際、担保になります。積算価格が高い物件を所有していれば、担保としてのレバレッジが効くので、借入金が増えても不動産投資を拡大できるのです。私のように純資産を増やしていくなら、「積算価格」が高い物件を1棟買いするほうが断然有利になります。

 積算価格が高い物件を探すために、まず土地の価格を調べます。

 土地価格の評価方法は、国税庁の「路線価」(路線もしくは道路に面する標準的な宅地の1m2あたりの価格)や、国土交通省の「公示地価」(地価公示法にもとづいて土地鑑定委員会が公表する土地の価格)を利用して計算。「路線価」や「公示地価」は毎年更新されるので、その年の最新の価格を確認します。

 両方とも大まかな住所(例:千葉県千葉市稲毛区)と年度(例:2021)からインターネットでのキーワード検索が可能です。参考までに私が買った不動産を例に、実際の数字を当てはめて計算してみましょう。

 「積算価格」の計算方法
・土地価格の計算
土地路線価×土地面積

土地路線価:1m2あたり8万7000円
土地面積:838.13㎡

8万7000(円)×838.13(m2)=7291万7310円

正方形の土地ならこれでOK
角地や間口が狭く奥行きが長い「旗竿地」の場合
評価が変わる場合もある

・建物価格の計算(築27年鉄筋コンクリート造の例)
再調達単価×延べ床面積×(残存法定耐用年数÷法定耐用年数)

再調達単価※1:20万円
建物面積,延べ床:915.12㎡
残存法定耐用年数:20年
法定耐用年数:47年

20万(円)×915.12(㎡)×(20÷47)=7788万2553円

積算価格=土地価格+建物価格=7291万7310円+7788万2553円=1億5079万9863円

積算価格:約1億5000万円と判断できる

※1「再調達単価」とは建物を再び新築した場合の1㎡あたりの価格
(鉄筋コンクリート造の場合は20万円/㎡、重量鉄骨造は18万円/㎡、軽量鉄骨・木造は15万円/㎡)

 一方、家賃収入から計算された収益価格で融資を受けた区分(1部屋)マンションは、いざ次の物件を買おうとしても担保が足りなくなりがちです。結局は、給与やボーナスなどの収入を当てにされてしまう可能性があります。例えるなら、私が積算価格をベースに購入した物件は、現在価格が110とか120のものを100で買っているようなイメージ。これに対して収益価格をベースに買う区分マンションは、担保価値が100欲しいところを70、80のレベルで買っているイメージです。そのマイナス20、30のリスクが将来的に膨らみかねません。不動産投資という事業を拡大させていきたい人にとって、赤字決算にならないようにするのはとても大事になります。なぜなら、金融機関は赤字決算で担保もないオーナーにはなかなか融資をしてくれないからです。私自身はそういった先々のことまで考えて、積算価格重視で1棟物件に投資し続けています。

【ポイント:純資産を増やすなら「積算価格」が高い物件を1棟買い】

 今回は不動産投資での2つの失敗経験と、失敗しないように気を付けていることについてお話しました。特にこれから不動産投資を始めたい人は、騙されないために実物を見られない物件には手を出さないこと。そして資産を増やすためには「積算価格」が高い物件を1棟買いすることを、ぜひ頭に入れておいてくださいね!

 

●八木エミリー  投資家。野村證券に入社後、新人で東海地区の営業成績ナンバーワンとなり、最年少講師に。26歳で辞めた後は、不動産投資を開始し、7棟の不動産を所有(購入額7.5億円)。不動産投資の自己資金は徹底した節約で貯めたもの。現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として中立の立場で金融商品のアドバイスなども手掛けている。20代30代を中心に経済的自立を目指すお金ビギナーを救う活動を「マネ活」としてメルマガ配信などを行なっている。著書に『今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!』『元証券ウーマンが不動産投資で7億円』(ダイヤモンド社)。最新刊は、『放置しておくだけでふつうにお金が増える投資術』(ビジネス社)

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