不動産投資をするときに切っても切れないのが、不動産会社との関係。物件を買いたい場合、不動産会社を経由しなければ物件は買えません。そして、優良物件を買うとなると、不動産会社との関係はとても重要になってきます。今回は、不動産投資における「不動産会社との付き合い方のコツ」についてのお話です。これから不動産投資を始めたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。
不動産会社に優良物件を紹介してもらうには、「不動産会社を味方につける」ことが最も効果的です。そのために私は不動産会社に“逆営業”をかけています。
不動産会社への"逆営業"の方法とは?
不動産業界は、人と人とのアナログな人間関係が重要です。他のお客より優先して貴重な情報をもらうためには、不動産会社の担当者との人間関係が大切。些細なことですが、私は不動産会社を訪れる際、必ず差し入れの「手みやげ」を持参しています。普通に考えれば、不動産会社にとって私は顧客ですから「手みやげ」を持参する必要はありません。しかし逆の立場で考えると、手みやげという心遣いをするだけで、お客としての印象がよくなると思うのです。
打算的といわれれば、そうかもしれません。しかし、人と人との良好なお付き合いには、こういった気遣いも大切になります。買い主と売り主で上下関係ができてしまうと、買い主は無意識のうちに上から目線になったり、言葉遣いが横柄になったりしがちです。これは私自身が証券会社で営業する立場として、イヤというほど実感しました。そうならないために、私は手みやげを持参しますし、丁寧な言葉遣いを心がけています。常に営業する立場になって考えることを忘れないようにしているのです。
間違ってもやってはいけないのは、「自分はお客なんだから」とふてぶてしい態度をとったり、高圧的な物言いをしたりすることです。不動産会社にしてみれば、どんな買い主も、たくさんいるお客の1人に過ぎません。「この人は面倒だ」と思われたら、優良物件が優先的に入ってこなくなるかもしれません。担当者に上から目線で接しても、一銭の得にもならないのです。
担当者の電話番号はフルネームで登録&提案には丁寧に返答
私は不動産会社の担当者の電話番号を、すべてフルネームでスマホに登録しています。電話がかかってきたときには、たとえば「斎藤さんですね、お電話ありがとうございます」というふうに真っ先に名前を呼んで、こちらからご挨拶します。すると電話をしてきた担当者は、「えっ、なんで名前がわかったの!?あっ、自分の名前をわざわざ登録してくれているんだ!」と好印象を持つと思うのです。
【不動産業者を味方につける3つのポイント】
●自分が希望する物件の条件をできるだけ具体的に伝える
●担当者に面会するときは「手みやげ」(差し入れ)を持っていく
●どんな物件案内にも丁寧に返答する
こうした積み重ねで、「いい物件が出てきたら、最初に案内してあげよう」と、すぐに私の顔を思い出してもらえることを期待しています。不動産会社の担当者には、「私がお渡しした物件要望書に合う物件が出たら、すぐにメールでお知らせください」とお願いしておきます。
実際のところ、希望条件にバッチリ当てはまる物件はなかなか出てきません。ときには的外れの物件情報が送られてきたりもします。それでも、物件案内のメールは1件もスルーすることなく、丁寧に返信します。興味のない物件案内のメールは既読スルーして返信しない人が多いようなので、不動産会社からのメールに丁寧に返信するだけでも、他のお客と差別化できるのです。
送ってもらった物件を見送る返事をメールするときも、配慮を欠かしません。
まずは物件を案内してくれたことに感謝し、購入できないことをお詫びします。そして希望に合わない条件を具体的に説明すると、担当者が次に物件を選ぶときの判断材料になるでしょう。案内していただいた物件に関するやりとりを通して、担当者と密に連絡をとるようにして関係を深めていくのです。
【不動産会社へのメール返信例】
「A様
いつもお世話になります。
ご案内ありがとうございます。
積算オーバーの物件はよいですね。
こちらのエリアですと、利回りがもう少し高いと嬉しいです。
指値交渉は可能でしょうか。
ご確認お願い致します。
八木」
「よい担当者」を見分けるための意地悪な質問とは?
ここで1つ、不動産会社にとっては、ちょっと意地悪な「よい担当者の見分け方」を紹介しましょう。気になる物件について、物件概要に載っていないことを尋ねてみるのです。たとえば、「この物件には、どんな人が入居しているのですか?」と尋ねてみます。こうしたことは、大家さんや管理会社にわざわざ確認しないとわからないので、すぐには返答できません。それでもちゃんと確認して後日きちんと連絡があれば、誠意があって信頼できる担当者だと思っていいでしょう。
【ポイント:不動産会社の担当者には敬意を持って接して味方につける】
私は7棟目に購入した物件で、「売り急ぐ物件での値引き交渉」を経験しました。当時、「売り主さんが相続税を支払うために売り急いでいます」と不動産会社の担当者から聞いたので、「○月×日に入金するので、少し値下げできますか?」と交渉しました。すると、億単位の物件価格の端数分を切って数百万円もディスカウントしてもらえたのです。
相続税は、被相続人が亡くなった日の翌日から10カ月以内に全額支払わなければいけません。仮に2億円の不動産を配偶者が相続すると相続税は数千万円単位に及びますから、預貯金から支払えない人は、不動産や株式などを売却して納税しなければなりません。私はそういう売り主とのご縁をいただいたわけです。
売り主には、「希望の価格より多少安くなってもいいから一日も早く売りたい」という人もいれば、まったく急ぐ必要もなく「とりあえず売りに出してみようか」と余裕のある人もいます。前者の場合、なんらかの金銭的事情を抱えて売り急いでいるため、スピード勝負で手続きすると値引き交渉がうまくいくことがあります。
不動産を売り急ぐケースは他にもあり、たとえば離婚して夫婦の共有名義で購入した物件を売却したい人。人生の幕引きを事前準備する「終活」で、生前に自宅を引き払って老人ホームなどの終の住処に移りたい人。テナントビルであれば、業績不振で自社所有の事業所を清算したい経営者などもいます。前述したように不動産は、上場株式のような公開取引ではなく、仲介業者を通じた売り主と買い主の相対取引です。ある程度の相場はあるものの、「適正価格」というものはあってないようなものなのです。
【ポイント:売り急ぐ不動産はスピード勝負で割引交渉】
今回は、不動産会社との付き合い方のコツとして、「不動産会社に「手みやげ」を持参して逆営業」「売り急ぐ物件での値引き交渉」についてお話しました。特に、これから不動産投資を始めたい人は「不動産業界は人と人とのアナログな人間関係がモノを言う業界」であることを、ぜひ頭に入れておいてくださいね!
●八木エミリー 投資家。野村證券に入社後、新人で東海地区の営業成績ナンバーワンとなり、最年少講師に。26歳で辞めた後は、不動産投資を開始し、7棟の不動産を所有(購入額7.5億円)。不動産投資の自己資金は徹底した節約で貯めたもの。現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として中立の立場で金融商品のアドバイスなども手掛けている。20代30代を中心に経済的自立を目指すお金ビギナーを救う活動を「マネ活」として、メルマガ配信などを行なっている。著書に『今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!』。最新刊は書籍『元証券ウーマンが不動産投資で7億円』(ダイヤモンド社)。
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