【1】今日の株式相場早わかり！
米ハイテク株下落が波及、東エレクなど大幅安！
日経平均株価は5日ぶり反落！ 前日の米国市場は7月の消費者物価指数（CPI）発表を前に様子見ムードが強く、方向感の乏しい展開となった。NYダウが小幅続伸となる一方、エヌビディアの業績下方修正を受けハイテク株は軟調。ナスダック総合指数は小幅続落となった。
米国市場の流れは東京市場にも波及。前日の取引終了後に発表した決算が低調だった東京エレクトロンが8.25％安になるなど、値がさハイテク株が売られた。4～6月期の税引き前損益が3兆2924億円の赤字と発表したソフトバンクグループも7.02％安となり、相場全体の足を引っ張った。マザーズ指数は反発した。
【日経平均】27999.96円↓（-249.28円）
【マザーズ指数】730.60↑↑（+10.13）
【NYダウ】32832.54ドル→（+29.07ドル、8日）
【ナスダック】12644.459→（-13.096、8日）
■日経平均株価チャート／日足・6カ月
（出典：SBI証券公式サイト）※画像をタップで最新データに飛びます
【2】今日の注目株！
主要企業の増配まとめ！ INPEXは自社株買いも
決算発表にあわせ、増配を発表する企業が相次いでいる。先週以降に増配を発表した企業のうち、主なものをピックアップしたのが以下の表だ。この中から、8日に業績上方修正と増配を発表したINPEXと日産化学に注目したい。
INPEXは8日、2022年12月期の営業利益が前期比91.8％増の1兆1330億円になりそうだと発表。従来予想から2090億円引き上げた。原油高に加え、円安の進展が収益を大きく底上げする見通しだ。同社としては初の営業利益1兆円超えとなる。
1株当たりの年間配当予想も従来の54円から「60円」（中間30円、期末30円）に引き上げた。2期連続の増配となる。加えて、1200億円を上限とする自社株買いの実施も発表した。同社の株価は9日の取引開始直後に急騰。原油価格の先行きに対する見方が分かれることからやや伸び悩んだが、市場では積極的な株主還元を評価する声が多く、前日比1.56％上昇した。
日産化学は8日、2023年3月期の営業利益が前期比8.1％増の551億円（従来予想比16億円増）になりそうだと発表。同社が開発した動物用医薬品原薬の世界での販売などが堅調に推移する見通しだという。年間配当予想も従来の154円から「162円」（中間70円、期末92円）に引き上げた。同社の株価は9日、前日比7.03％上昇した。
本日は住友林業、石油資源開発などが増配を発表。2社とも修正後の予想配当利回りは6％超となる。明日の株式市場での株価の反応に注目したい。
■INPEX株価チャート／日足・6カ月
（出典：SBI証券公式サイト）※画像をタップで最新データに飛びます
【3】火曜連載「ザイアナリスト海老澤界『週イチ！投信ランキング』」
人気投信「ソムリエ」の急落から得る教訓は？
複数の資産で構成するバランス型投資信託は資産形成のコアとなる重要な金融商品だ。純資産額が6000億円弱と、バランス型で最大となる投資のソムリエの運用成績に注目が集まっている。悪い時でも、概ねマイナス3％台にとどまっていた年間リターンが、7月末時点では9.2％のマイナス。今年前半（1～6月）に限ると下落幅は10％を超える。
投資のソムリエは、局面に応じて安全資産の比率を大幅に高めることで、価格変動リスクの抑制を目指す投資信託。リターンは低めだが、損失に敏感な個人の人気を集めてきた。誤算だったのが安全資産に為替ヘッジ付きの海外債券を含めていたことだ。昨今の金利上昇で債券価格が急落した上に、内外金利差拡大でヘッジコストも増大。ファンド全体の運用成績を押し下げた。事態を受け、運用会社のアセットマネジメントOneは、より積極的に現金を活用するモデルへの変更を決めた。
下のランキングからもわかるように、資産配分を機動的に変えるタイプの人気は根強い。これらを否定する必要はないが、想定外の事態において、モデルや手法が機能しなくなるリスクを抱えていることには留意しておきたい。年金積立金管理運用独立行政法人（GPIF）が実践しているように、あらかじめ決めた資産配分を愚直に守っていくのが複数資産運用の王道。地味だが、そんなバランス型にも目を向けてみるとよいだろう。
海老澤 界
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
横浜国大経済卒。産業専門紙記者を経て格付投資情報センター（R＆I）にて年金・投信関連ニューズレター記者、日本経済新聞記者（出向）、ファンドアナリストを務めたのち、現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト。
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