「勝者のゲーム」と資産運用入門

人口減少が加速する日本。2056年には1億人割れ。
ヨーロッパ主要国並みの6000万~8000万人が適正。
人口減でも経済成長する日本を目指せ!太田忠の勝者のポートフォリオ 第82回

2023年5月3日公開(2023年5月3日更新)
太田 忠
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日本の人口減少が加速。2056年に1億人割れ、2070年には8700万人に

 先週は国立社会保障・人口問題研究所が4月26日に発表した、日本の長期的な人口を予測した「将来推計人口」の話題で持ちきりだった。現在の日本の総人口は1億2600万人。2056年に1億人を割り込み、2070年には現在の3割減の8700万人まで減少する予想が発表されたからだ。しかも、2059年には日本人の出生数が50万人を割り込む(2022年は79.9万人)との見通しも出されて、ますます少子高齢化が加速するとの実感をもった。

 ひとつ注意が必要だが、日本の総人口というのは日本に居住する人数の合計である。したがって、日本人のみならず外国人も含まれる。現在、日本に暮らす外国人の数は275万人で全体の2.2%にすぎないが、2070年の8700万人のうち外国人は939万人で10.8%まで比率はアップする。逆に言えば、日本人のみの人口は現在1億2340万人だが、2070年には7761万人へと37%も減少するということだ。

「日本の人口を1億人規模に維持する」という発想自体がおかしい

 少子高齢化は今後どんどん加速する。これはもう避けられないことだ。人口構成比を見ると0~14歳の人口割合は2050年に10%を割り込む。人数ベースでは2020年の1500万人から1040万人に減る。一方、65歳以上の人口割合は2020年の28.6%から70年には38.7%に上昇。2070年の高齢者数は3367万人となり、2020年に比べると200万人以上減るものの、人口減少のスピードの方が速く、社会全体に占める高齢者比率は高まる。もちろん高齢化は社会保障費の急増につながる。政府の試算では2018年度の121兆円から2040年度には190兆円まで膨らむとの数字が出されている。

 「総人口が1億人を割る時期までまだ30年以上ある」「政府は前向きに取り組みを進めよ」とのもっともらしい意見もあるが、人口減を根本的に解決する有効な対策が打ち出せるとは思えない。「人口減を食い止めて人口増を創出し、社会問題を解決する」というのは何とも昭和的発想であり、あたかも時代に逆行する考え方は間違っていると思う。

人口が大幅に減少しても労働生産性や付加価値を向上できれば問題ない

 以前のコラムで申し上げたことがあるが、「日本の人口を何とか1億人規模をキープしよう」という発想自体がそもそもおかしいというのが私の立場だ。なぜなら、今の人口水準はかなりいびつに作り上げられたものだということを認識しておく必要があるからだ。日本政府が掲げる2060年代に人口1億人を維持する目標を達成するためは出生率を1.80にまで引き上げる必要がある。もはや机上の空論のように思われる。

 日本の人口を歴史的に遡ってみると、江戸時代中期は3000万人程度の水準であり、明治維新の1868年になっても3330万人とあまり増加しなかった。ところが、2回の世界大戦を経て「産めよ殖やせよ」の国策(子どもを5人以上産むように、という政策)の下で日本の人口は爆発的に増加。第2次世界大戦が終わった1945年には7199万人となり、その後のベビーブームを経て2008年にはピークの1億2808万人を記録した。しかし、ここがピークとなった。本格的な高齢化社会を迎えて年間に産まれる人数よりも死亡する人数の方が多い局面に入った。客観的な視点で眺めると、やはり「産めよ殖やせよ」が異常過ぎる人口の上昇カーブを生み出し、それが修正される局面に入っていると思う。もし、軍事的な兵力・労働力の増強という特殊要因がなければ、現在の日本の人口はヨーロッパ主要国並みの6000万人から8000万人程度だったはずである。それが自然な流れだ。私自身はこれくらいの人口が日本にとってちょうど適正だと考えている。

 人口が減っても労働生産性や付加価値を上げていけば経済は成長し問題はない。だが、日本は今やその点において先進国から転落している事実がある。それに加えて急速な人口減。お尻に火が付いている状況だからこそ、日本は真剣に「生産性向上」に的を絞って舵を切る時代だと私は考えている。大きな予算を付けて、補助金や助成金を配って辻褄を合わせている場合ではない。日本政府のお金の使い方は結局、国会議員当事者が選挙で落選しないための政策に偏り過ぎで、「付加価値向上のために投資する」「将来のために投資する」という要素が乏しすぎる。

欧州が手本。人口500万人のアイルランドの生産性は日米の遥か上をいく

 仮に日本の人口が今の半分の6000万人程度になったとしても、ヨーロッパ並みでさほど悲観することはない。そのほうが自然だ。ヨーロッパの国々は日本のような人口の多い国はひとつもないが、各国とも知恵を働かせて効率的な政治運営をおこなっている。例えばアイルランドはドラスチックに変身した。国際通貨基金(IMF)が発表するデータを見れば一目瞭然だ。1980年代の国民1人あたり国内総生産(GDP)は米国の半分だったが、2022年は10万ドルとなり日本の3.9万ドルや米国の6.9万ドルの遥か上をいく高水準となっている。教育無償化で人的能力の向上を図り、大胆な規制緩和と減税によって積極的な外資誘致をおこなった結果、国力が飛躍的にアップした。アイルランドの人口はわずか500万人で、日本から見たらちっぽけな国だ。それが大きく変わった。経済成長で人口も増えている。

 多くの日本人のやっている仕事は単純作業、つまらない作業、無意味な業務、広がりのない業務、大きな仕事に繋がらない業務があまりにも多いと思う。だから年収も低い。当然だと思う。労働生産性と付加価値を向上しなければ、人口減で単に国力が落ちていくだけである。人口減は避けられない。人口減を前提とした生産性と付加価値の向上、これに尽きると思う。当然、社会保障制度にも関わってくる。日本の場合は人口増を前提に設計されており、人口減に対応することが急務である。外国人の受け入れ拡大も選択肢の一つだ。社会保障を巡る現役世代の負担を是正し、人口減でも経済成長を保たなければ社会機能の維持はままならなくなる。

「勝者のポートフォリオ」は過去最高値を更新。年初来高値も7銘柄!

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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

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