3月の訪日客数は181.7万人。コロナ前2019年3月比66%の水準まで回復
3月の訪日客数は181万人、前年同月比27倍と急速に増加―。
コロナ禍の影響で一時はほぼゼロの需要にまで追い詰められていた訪日外国人(インバウンド)が急速に巻き返している。日本政府観光局(JNTO)が4月19日に発表した3月の訪日客数は181.7万人となり前年同月比で27.5倍、コロナ前の2019年3月に比べると66%の水準にまで戻った。このまま順調にいけば2023年の訪日客数は2000万人を超えることは確実だ。
コロナ前までの訪日客の象徴と言えば、何と言っても中国人であり、「爆買い」という言葉がブームとなった。2007年の中国人観光客は94万人だったがコロナ前の2019年には959万人と12年間で10倍も増加した。2019年の訪日客全体3188万人の30%を占め、この年の消費額は1.77兆円と全体の37%を占めるまさに「お得意様」であった。
訪日客数の上位は韓国や米国が占め、中国はわずか4%。激減した理由は?
一方、足元の様子はかなり異なる。3月の訪日客の国・地域別の内訳を見ると韓国46.6万人(2019年3月比-20.3%)、台湾、27.8万人(同-30.7%)、米国20.3万人(同+15.0%)となっており、中国は7.5万人(同-89.0%)と全体に占める比率はわずか4%に過ぎない。一方、米国はコロナ前と比べてすでに増加しており対照的である。
中国の7.5万人も前月(2月)と比べると倍増している。その理由は日本政府が3月1日に中国からの渡航者に対する水際対策を緩和(中国との直行便を成田、羽田、関西、中部の4空港に限定していた措置を撤廃)したためである。とは言え、日本を訪れたい中国人は非常に多いはずなのに、なぜこんなに低水準なのか? それは中国政府が中国人に対して日本への団体旅行を許可していないためである。
インバウンド消費は絶好調。2023年の消費額はコロナ前を超す見方も
インバウンド消費は好調だ。円安を背景に訪日客1人あたりの消費額は大きく増加している。2023年1~3月期の訪日客1人あたりの旅行支出は21万2000円となっており、2019年の通年実績15万8000円から3割も増えている。オーストラリア(35万8000円)やフランス(30万円)などの訪日客が高額消費し、全体の単価を引き上げている。2023年の消費額はコロナ前を超すとの見方も出てきているほどだ。
当然、恩恵を受けるのはインバウンド関連である。小売、観光、陸空運などが売上高を伸ばしており、株式市場でも注目されるセクターとなっている。ピンポイントで特に目立つのは、百貨店の免税品の売上高だ。三越伊勢丹、高島屋、大丸松坂屋などでは免税売り場を拡大して需要の取り込みに躍起である。ちなみに大丸松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングでは、2024年2月期の免税売上高を前期比2.3倍の440億円を見込み、過去最高の2020年2月期の601億円に対して7割強の水準まで回復すると予想している。
中国政府が団体旅行を許可すればインバウンド需要の盛り上がりは必至
ところで、中国政府は外国への団体旅行を全面的に禁止しているわけではない。東南アジアやアフリカ、南米などの新興国を中心に60ヵ国は許可している。一方、日本を含む米国、英国、オーストラリア、韓国など現時点で政治および外交上、門戸を開きたくない先進国は許可しないという態度をとっている。許可が下りるタイミングは読めないが、団体旅行が許可されれば非常に多くの中国人が日本を訪れることは確実だ。インバウンド需要は一層盛り上がりを見せるだろう。
もちろん訪日客の急増は喜ばしい点だけでなく、いろいろ困った問題が起きている。コロナ禍で真っ先に人手を減らされたのはインバウンド関連の業種であり、急激な需要回復によって日本各地の観光現場では人手不足が深刻化している。帝国データバンクが今年1月、全国約1万社に行った調査によると、「正社員の人手が足りない」と回答した旅館・ホテルは78%あり、1年前と比べて9割近く上昇。アルバイトなど非正規社員の人手不足は81%ときわめて高い。インバウンド需要が活況だった2019年以前と比べても過去最高の人手不足の状況だ。訪日客4000万人を目指していたコロナ前と同程度の労働供給力を取り戻すには時間がかかる。
ところで、マクロ経済の視点で見れば、訪日外国人の日本での消費はサービスの「輸出」であり、一方で日本人の海外での消費はサービスの「輸入」に該当するのをご存知だろうか? 訪日外国人はドルなどを円に換えて日本でモノやサービスにお金を払ったりする…ということは外国で日本製品が売れるのと同じ形になり、日本人の海外での消費は海外製品を買うのと同じことだからだ。日本旅行をする際に円安は外国人にとってはお得感、反対に日本人が海外旅行をするのは割高感になり、旅行収支(輸出から輸入を引いた値)は足元で2000億円の黒字だ。しばらくはこの状況が続くと思われる。さらに外国人がドルを円に換えるのは「円買い・ドル売り」、日本人が円をドルに換えるのは「円売り・ドル買い」に相当し、為替相場にも影響を与えているという点も知っていただきたい。
「勝者のポートフォリオ」の会員数は昨年末比82%増。女性が4割占める
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。先週も週間ベースで過去最高値を更新し、年初来高値も6銘柄と前週の3銘柄より倍増となり、引き続き好調である。今回のテーマであるインバウンド関連の保有銘柄も活躍している。
「勝者のポートフォリオ」の会員数は昨年末から82%も増加しており、資産運用に対する関心の高さや「勝者のポートフォリオ」への期待を感じる。大きな特徴は女性会員の比率が4割を占めていることだ。有料投資情報サービスでこれだけ女性比率が高いのはほとんどお目にかからない。マーケットや投資戦略レポートの発行、個別銘柄の推奨といった投資助言サービスとどまらず、毎月開催のWebセミナーや投資に重要な知識をピンポイントで解説するスペシャル講義の提供、そして会員からの疑問や質問にすべてお答えするQ&Aコーナーといったきめ細かなサービスが支持されていると考えている。引き続き、良質のサービスを提供していきたいと思う。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。
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