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前大統領トランプ起訴! でも白黒つけるのは難しい。
トランプ当選か、落選か、有罪か、無罪かによって、
考えられるシナリオは?

2023年6月15日公開(2023年6月14日更新)
ポール・サイ
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 先日、トランプが起訴されたというニュースが入ってきました。このことにはいくつかの意味があります。この機会に、今回はアメリカの政治についてコメントしたいと思います。

トランプが起訴されたのはかなり細かい、ややこしい話。簡単に白黒をつけられるものではない

 まずは、トランプが起訴された事柄には厳密な法解釈に基づくものが多いということに触れておきたいと思います。

 その内容は細かすぎるので、大衆は自分でよく理解することが難しく、メディアと政党が流す情報に影響されやすいでしょう。

 そして、司法の中立性は失われ始めていると思います。

 誰でも細かく調査されたら、何らかの罪はあるだろうと思います。

 トランプは特に乱暴だったとは思うものの、今回起訴されたことはかなり細かい話です。細かいところを攻められていると思います。

 トランプは持ち出してはいけない機密文書を持ち出してしまったのですが、そのことをFBIに聞かれた時、持ち出したことは否定し、それがバレたら、すぐには機密文書を返しませんでした。

 持ち出したことは違法です。FBIに嘘をついたのは違法です。すぐに返さなかったのは違法です。1917年制定のスパイ活動法に違反したということです。しかし、1978年発令の大統領記録法では、前大統領は機密文書を所持してもいいことになっています。

 ここではごく簡単に説明しましたが、今回の件は実はかなり奥の深い、法律的議論が必要な事柄なのです。簡単に白黒をつけられるものではありません。細かい、ややこしい話なので、アメリカ国民は細かいところまではほとんど理解できないと思います。

 トランプがいいとは思いませんが、前大統領、しかも現大統領の一番強い政敵が司法省に起訴されるのはアメリカの歴史上、これまでなかったことです。

アメリカ司法省の公式サイトアメリカ司法省の公式サイト

法律は白黒をハッキリつけてくれるものとは限らない。また、「勝者であれば正しい」ということもある

 私は法律とはあまり接点がなかった若い頃、法律は白黒をハッキリつけてくれるものだと思っていました。しかし、法律は人間が作ったものなので、絶対的な真理に基づくものではありません。

 法律を実際に運用するにあたってはどう解釈するかという問題がありますし、法律がどうあろうと、「勝者であれば正しい」ということもあります。これは歴史上、そう証明されています。たとえば、アメリカが第2次大戦の敗戦国だったら、東京裁判ではなく、ワシントン裁判が行われ、アメリカの将軍たちは有罪になっていたことでしょう。

 トランプはアメリカの政治的に重要な要人ですから、仕方なく、特別扱いしないといけません。トランプが悪いのだとしても、彼は簡単に起訴されるべき存在ではないのです。

 もちろん相当ひどく法律を犯して、国民皆がそれはいけないと思うようであれば、そのことは追求しなければいけません。しかし、トランプの今回の件で、起訴すべきラインは明確に白黒がつけられるものではなく、グレーゾーンにあります。となると、政治的に考えなければいけません。そう考えるのは合理的なことです。

 たとえば、東京裁判では天皇は裁かれませんでした。法律の下ですべては平等だと言っても天皇を裁判にかけるのは日本にとっても、アメリカにとっても正しくないことだったのです。

 トランプは天皇ではないですが、この日本の例から見ると、法律はいつも白黒をはっきりさせて執行されるとは限らないことがわかります。

 今の状況では、もしバイデンが大統領選に勝っても、ほぼ半分のアメリカ人はその選挙は公平ではないと思ってしまう可能性が高いでしょう。

トランプ当選か、落選か、有罪か、無罪かによって考えられるシナリオは?

 トランプが起訴されたことで、今後の展開には、いくつかのシナリオが考えられます。

(1)トランプが大統領に当選したら、有罪でも無罪になり、司法省を使って復讐するだろうと思います。政治家であれば、ずっと調査されたら、何かは出ると思います。そうなると、政治的な妥協などは少なくなると思います。死活問題になります。アメリカの政策はこれからもっと不安定になり、極端になる可能性があります。

(2)トランプが大統領に当選せず、有罪となったら、先ほども書きましたが、アメリカ国民の半数はこれを不公平と思い、暴動などが起こって、政府の信頼性はさらに失われると思います。

(3)トランプが大統領にはならないけれど、無罪になったとしたら、司法省のメンツは潰され、司法省への信頼性は失われます。

(4)今回の件は原子爆弾を使ったようなものとたとえられるでしょう。これからアメリカでは政争がますます激しくなると思います。原爆の使用は本来避けるべきものですが。

アメリカ政治は不安定となり、外交面にすぐ影響が出てくるだろう

 すでに最高裁の中立性に対して、国民の中で疑問が高まっていますが、これで司法省の中立性についても、疑問が高まる可能性があります。

 なぜ、ここまで踏み込んだのか。1つにはバイデンが結構弱い候補ということがあると思います。何もしないと、大統領選でバイデンがトランプに負ける可能性が出てきます。何もしなくても、バイデンが負ける恐れは低いと思うものの、絶対負けないとは言えません。

 アメリカ政治は不安定になるでしょう。

 しかし、すぐ影響が出てくるのは、アメリカ国内よりも、外交の方でしょう。アメリカ国内が混乱していると中国などが見たら、台湾を攻めても大丈夫かもしれないと思い込んでしまいます。

 あるいはトランプが大統領になると、中国ともっと対立する可能性があり、間違った決断もするかもしれません。

あまりいい大統領選にはならなさそう。こんな時、投資家はどう対応したらいいのか?

 一方、バイデンは高齢で、能力がある程度、下がっていると思います。高齢になると人間は皆、そうなります。バイデンが再選したら、それだけで不確定要素が増えます。

 トランプが起訴されたことで、共和党の候補はトランプになる可能性がさらに高まりました。これでもっと若い、他のいい候補は出馬しにくくなります。

 民主党も同じです。バイデンがいると、他の候補は出馬しづらいです。

 全体的にあまりいい大統領選にはならなさそうだと思います。

 では、投資家としては、どう対応したらいいのでしょうか?

 一番いいのは「資産の分散・リスクの分散」だと思います。これからの不安定な状況下では、安定期よりもリスク管理を強化しなければいけないでしょう。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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