多くの投資家は合理的行動ができない。株が暴落すると売り、急騰すると買うという衝動的行動をとってしまう
投資の世界では、最も大切なのは「自分の利益のために合理的に行動すること」です。しかし、実際には多くの人がそうできていません。特に市場が大きく動いたとき、人は驚くほど簡単に「衝動的」に行動してしまいます。
株が暴落すると不安になって売り、急騰すると欲が出て買いに走る――これは理性的な行動ではなく、感情と衝動に支配された行動です。
非合理的な行動をとってしまう理由は「進化」の中にある

なぜ、私たちはこのような非合理的な行動をとってしまうのでしょうか?
答えは「進化」の中にあります。
人間の脳は、生存本能に基づいて進化してきました。大昔の狩猟・採集時代には、目の前に危険が迫ればすぐ逃げ、食料があれば今のうちに確保する――そんな「短期的な行動」が、生き残るためには有効だったのです。
市場の下落時にチャンスを見出し、上がりすぎた時は冷静に利益確定。衝動に逆らうことこそが成功への鍵
しかし、現代の経済社会や投資環境は、そうした本能とは正反対のしくみで動いています。
良い投資とは、短期的な感情を乗り越え、冷静に長期的な利益を見据えることです。
優れた投資家は、市場が下がったときにこそチャンスを見出し、上がりすぎた時には冷静に利益確定します。つまり、「衝動に逆らう」ことこそが成功への鍵なのです。
衝動的な行動をとると、投資でも人間関係でも「自分が本当に求めている結果」に逆行してしまう
そして、これは投資だけに限った話ではありません。衝動的に行動することのリスクは、私たちの人間関係や人生のさまざまな場面にも当てはまります。
感情のままに怒りをぶつけたり、不安から逃げたりすることで、大切な関係を壊してしまったり、望まない結果を招いてしまうことがあります。
本当は「仲直りしたい」「信頼されたい」「理解されたい」と思っていても、感情に任せて攻撃的になったり、無視したりする――それは、自分の望みとは逆の行動です。
つまり、衝動的な行動は、投資においても人間関係においても、「自分が本当に求めている結果」に逆行してしまうのです。
だからこそ、何か行動を起こす前に、一度立ち止まって「これは自分の本当の望みに近づく行動か?」と考える習慣を持つことが大切です。
人は誰しも感情を持っています。しかし、感情に気づき、それに支配されずに「選択する」ことができれば、投資でも人生でも、大きな違いが生まれます。
最も強い者が勝つのではない。最も冷静で、自分の本当の望みに忠実でいられる者が成功をつかむ
特に人との関わりにおいては、「理性的であること」が長期的な信頼関係を築く上で不可欠です。感情に任せて言いたいことをぶつけるのではなく、冷静に相手の立場や自分の目的を考えること――それが人間関係における「合理的な行動」であり、結果的に自分にとって最善の未来を引き寄せる力になるのです。
最も強い者が勝つのではありません。最も冷静で、自分の本当の望みに忠実でいられる者が成功をつかむのです。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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