成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

日本人は、台湾と中国に近いという意味で、分散投資する価値はある! 債務上限問題や地銀問題があっても、米ドルは比較的安全で、金利も4.7%あっていい

2023年5月19日公開(2023年5月19日更新)
ポール・サイ
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

米国の債務上限問題や、地銀問題が懸念されるなか、日本人が投資すべきものとは?

 元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。

ポール・サイさんプロフィール

 今回の放送では、記録的な暑さとなったアメリカで、いま大流行しているという「あるもの」を作る会社に、ポールさんは注目。また、米国の債務上限問題について、マーケットがどれくらい深刻に受け止めているのかを詳しく解説し、地銀の預金流出問題も踏まえて、日本人が何に投資をすべきなのかを語ってもらったので、さっそくチェックしていこう。

【※関連記事はこちら!】
米大手銀行(JPモルガンなど)の決算発表開始!金利が魅力的なMMFに、銀行の預金が流れ込み、地銀だけでなく大手銀行にもダメージ!
銀行株は長期投資になぜ向いていない? 長期投資に向いているセクターや銘柄はどこ?元銀行株アナリストのポールさんが解説!

アメリカで売り切れが続出して、大流行しているアイスクリームメーカー「Ninja CREAMi」

 番組冒頭は、ポールさんが住んでいるシアトルの気候の話に。シアトルは先週末、32℃まで上昇して、1948年以来の記録的な暑さとなったそう。

 シアトルはアメリカ北部に位置することから、記者のなかでは暑いイメージがあまりなかったのだが、ポールさんによると、実際に夏でもそこま暑くならないとのこと。

 そんなシアトルで、気温が30℃あたりまで上昇したのは、過去70年で6回しか起きていない、珍しい現象だったようだ。

 ここで衝撃の事実が発覚する。シアトルは基本的に暑くないため、ほとんどの家でエアコンがないというのだ。

 これには、アシスタントの木村カレンさんも「えーっ!」とビックリ。エアコンなしでの30℃超えは、キツいのではないかと心配していた。

 そうした暑いなか、アメリカで売り切れが続出して、大流行しているものがあるという。それは「アイスクリームメーカー」だ。

 「Ninja CREAMi」という名称のアイスクリームメーカーで、事前に牛乳やフルーツをブレンドして凍らせ、それを削ってアイスクリームにする機械だそう。お店でも品切れで、Amazonでも到着まで3週間かかるほど、流行しているとのことだった。

 また、「Ninja CREAMi」の大流行には、SNSも大きくかかわっているようだ。好きなレシピを自分で作って撮影し、TikTokに投稿して拡散したり、「Ninja CREAMi」のFacebookグループも、20万人くらいメンバーがいるそう。

 その「Ninja CREAMi」を作っているのが、JS Global Lifestyleという中国の会社で、その株を買っても面白そうとポールさん。香港証券取引所に上場している、ティッカー1691の銘柄で、番組MCの渡部一実さんも「この夏、注目株かもしれない」と面白がっていた。

JS Global Lifestyle 日足 (出所:TradingView)

米国の債務上限は人為的、政治的に決められているもの。マーケットが考える本当の債務上限を超えない限り、国債を発行しても大丈夫

 続いては、米国の債務上限問題の話題に。

 債務上限問題は毎回毎回、なんだかんだで合意するけれど、今回はどう見ているのかと渡部さんに聞かれると、ポールさんは、今までと同じように合意するとは思うとコメント。

 米債務上限問題があっても、株式市場の大きな下落にはつながっていないし、債券市場もそこまで大きく動いていないことから、マーケットも少し心配している程度だという。

 仮に、米国政府の支払いが遅れるとしても、遅れるだけで、支払いしないということはなく、金融危機に陥る可能性もそこまで高くないとのことだった。

 そして、31兆4000億ドルという債務上限は、人為的、政治的に決められているものだとポールさん。マーケットが考える本当の債務上限、これ以上借り入れできなくなる水準は、「何らかの値」があり、それを超えない限り、国債を発行しても大丈夫だと、マーケットは考えているようだ。

 「何らかの値」がいくらなのか、推測するのは難しいけれど、本当に危険なのは、それを超えたときであり、そうなると、ギリシャやアルゼンチンなどで発生した国債危機のような問題に発展するという。

中長期で本当の問題は、アメリカ政府が老人へ支払う約束のお金が増え続けていること。2040年には支払いが税収を超えることに

 そして、今の債務上限問題は短期の、人為的、政治的な問題にとどまっているものの、中長期で本当の問題は別にあるとポールさんは話す。

 それは、年金問題やメディケア(65歳以上の高齢者及び障害者のための健康保険)など、アメリカ政府が老人へ支払う約束のお金が増え続けていること。

 ポールさんによると、アメリカ政府による年金などへの支払いは、2040年に税収を超えることになるそうだ。

 一般的に考えて、支払いが収入をはるかに超えると、返済能力がないと判断され、個人破産になる。国の場合だと、金利が上がり、インフレになるため、目先の債務上限問題より、そちらのほうが問題だとポールさんは言っているのだ。

 今回、債務上限を回避する方法として、バイデン米大統領は年金などへの支払いのカットをしたくないけれど、共和党は、税収とのバランスから支払いをカットしたいと考えており、来年(2024年)に米大統領選も控えて、政治的にもめているということのようだ。

 支払いとのバランスをとるために、どれだけ税金を引き上げなければならないのかを、数値で表したものをFiscal  Gap(フィスカルギャップ)というそうだが、その数値はアメリカが7.7%。

 これを言い換えると、税率を40%引き上げる、または支払いを35%カットするのと同じで、ギャップの大きさがアメリカは大きいとポールさん。

 フランスのギャップは、アメリカよりも小さい2.4%。にもかかわらず、引退の年齢を引き上げるという話で暴動が起こったり、社会問題になるなど、ギャップを埋めるのは、中長期の難しい政治問題なのだという。

 それは、年金問題を抱える日本も同じことだそう。今の老人は年金をもらえるけれど、若い人は将来、老人になったときにもらえないから、年金保険料を払わない人出てくるといったことだ。

預金が短期のものになってきたことが、銀行にとって予想外。著名投資家ウォーレン・バフェット氏も、銀行株は様子見

 次に、渡部さんが切り出してきた話題は、地銀問題だ。

 以前、ポールさんが出演した際、FRBがコロナ後、リバースレポをやって、MMF(マネーマーケットファンド)が流行り、MMFのほうが銀行より利息が高いため、預金がそちらに流れ、地銀が預金を集めづらくなっているという話があったが、これからの銀行はますますキツくなっていくのか、渡部さんは気になるようだ。

【※関連記事はこちら!】
米大手銀行(JPモルガンなど)の決算発表開始!金利が魅力的なMMFに、銀行の預金が流れ込み、地銀だけでなく大手銀行にもダメージ!
銀行株は長期投資になぜ向いていない? 長期投資に向いているセクターや銘柄はどこ?元銀行株アナリストのポールさんが解説!

MMF総資産 (出所:TradingView)

 それに対してポールさんはまず、いまお金を動かすのに、インターネットバンキングを利用すれば数秒でできて、そんなにめんどくさくないと指摘。

 そのうえ、銀行の利息が1%しかないなら、4.7%くらい稼げて、銀行よりむしろ安全なMMFに預金を移してしまうとコメントした。

 銀行から預金を動かさない理由としては、銀行からお金を借りたり、商売の関係で銀行とお付き合いがあることが挙げられ、利息が低くても、預金はそのまま動かさないようにしていた人も多かったとポールさん。

 つまり、銀行からすると、預金は長期なものと捉えられるため、銀行が保有する長期の国債の含み損が膨らんでも、期間が合っているため、バランスがとれていたという時代が長かったようだ。

 しかし、今は変わりつつあり、預金が短期なものになってきたことが、銀行にとっては予想外。長期の時間差で金利リスクを取って、お金を稼ぐ方法が圧縮されるうえ、預金の調達コストも上がるため、収益が厳しくなるという。そして、中長期では、経済全体にも悪影響が出てくるとのことだった。

 それを裏付けるかのように、著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、投資会社バークシャーの株主総会で、通常こういう時期は銀行株を買うのだが、今回はまだ様子見したい、という発言をしていたそう。

 これらのことから、ポールさんは「銀行はこれからが長い」と結論付けた。

日本人は、台湾と中国に近いという意味で、分散投資する価値はある! 債務上限問題や地銀問題があっても、米ドルは比較的安全で、金利も4.7%あっていい

 そういった状況のなかで、我々日本人は何に投資すればいいのだろうか。

 ポールさんは以前の放送で、分散投資として、日本の会社だけどグローバルである商社株をオススメしてくれたのだが、渡部さんは、通貨と株式の分散をどう考えればいいのか、聞きたいようだ。

 ポールさんがまず、大前提としたのが、MMFで4.7%の金利がもらえることで、そこを基準にしなければならないとのこと。

 日本では、4~5%の利率でも高配当ファンドと言うけれど、MMFはリスクなしで4.7%もらえるわけだから、それ以上でなければ高配当とは言えないと断言した。

 コロナ後の世界を地政学で見ると、米中問題、ウクライナ問題、米大統領選、債務上限も政治的な問題があり、少し不安定な状況にあるとのこと。

 特に日本は、不安定の震源の1つである台湾と中国の近くに位置しているという意味で、資産を分散する価値はあると、ポールさんは語った。

 第二次世界大戦後に、中国や日本の通貨の価値がかなりなくなったけれど、アメリカは真珠湾攻撃以来、戦争でやられていないし、債務上限問題や地銀問題があったとしても、米ドルは比較的安全で、金利も4.7%あっていいようだ。

 アメリカにインフレの問題があるときは、株など実物資産を持てば大丈夫とのこと。具体的には、アメリカに資産を持っている日本の会社や、アメリカの会社でもいいと教えてくれた。

 ここまで、5月16日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に電話出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。

 冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはメルマガ&オンラインサロン「米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオを見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。

(ザイ投資戦略メルマガ)

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ「米国株&世界の株に投資しよう!」を配信中

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。Youtubeチャンネルも開始。


ダイヤモンド・ザイ 2025年5月号好評発売中!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

株で1億円をつくるワザ
気の株500&
米国株150激辛診断

5月号3月21日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[株で1億円をつくるワザ]
◎創刊25周年企画
●桐谷さんと振返る日本株の25年史
25年で私たちの投資環境はかなり改善された!
◎第1特集
勝ち組の個人投資家8人に聞いた!
株で1億円をつくるワザ

●億り人の歩んだ道のりから学ぶ1億円への必勝法!
●これだけは押さえよう!1億円達成のための心構え8

●億り人に聞いた!暴落時にどうする?

◎第2特集
買っていい高配当株が94銘柄も!
人気の株500+Jリート14激辛診断

●儲かる株の見つけ方①旬の3大テーマ
今期も来期も連続増益の好調株/連続で増配予想の高配当銘柄/円高が追い風の株
●儲かる株の見つけ方②5大ランキング
来期に売上が大きく伸びる株/営業利益率が高い株/配当利回りが高い株/少額で買える株/理論株価より割安な株
●儲かる株の見つけ方③セクター別平均
株価は業種で騰落真っ二つ!
●2025年春のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株/新興株/Jリート

◎第3特集
今後25年も上がり続ける期待大!
人気の米国株150診断 2025年4-6月

●爆上がりの25年間を振返り!米国株の強さのヒミツ
●新政権でますます強く!2025年のS&P500を大予測
●GAFAMの最新決算判断も!Big8定点観測&買いの高配当株
●人気の133銘柄買い売り診断
●進化する指数だからS&P500は買い続けろ!

◎第4特集
NISA向き!インデックス投信より好成績!

運用実績25年以上!
儲かる長寿投信ベスト10

【別冊付録】
増益でさらに割安な株は1701銘柄
上場全3909社の最新理論株価

◎新連載・第3回

17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略
◎連載も充実!

●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年2月編
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.08
●おカネの本音!VOL.33 髙橋史好さん
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.101
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報