インデックスファンドの代表的な運用会社バンガードの運用資産が10兆ドルを突破
バンガードは世界で初めて個人投資家向けにインデックスファンドを提供したことで知られており、インデックスファンドを提供する代表的な運用会社です。そのバンガードの運用資産がついに10兆ドル(約1460兆円)を突破しました。インデックスファンドは低コストで知られていますが、同社は今後さらに手数料を下げる方針です。

このような流れの中、運用会社の中には競争力が急速に弱まっているところがあります。特にキャピタル・グループのマーケットシェア急落は象徴的です。その大きな要因は同社がETF戦略で出遅れ、パッシブ運用への対応が遅れたことにあります。
フィデリティやブラックロックはこうした流れに対応し、ETF・パッシブ運用の拡充に加え、コスト構造の改革によって一定の存在感を維持しています。
フィデリティは特に、アメリカの大手証券会社でもあるので、証券事業と連携しながら、アクティブ運用とパッシブ運用を柔軟に組み合わせる戦略をとっています。

つまり、資産運用業界は明らかに「低コスト・パッシブ優位」へと再編されつつあるのです。
「もうアクティブ運用は終わりだ」との声もあるが、重要なのは「どんなファンドを選ぶか」ではなく、「誰に任せるか」
こうした状況の中で、「もうアクティブ運用は終わりだ」「人間は勝てない」といった言説も増えています。ですが、それはアクティブ運用を一括りにした誤解です。
アクティブファンドのすべてが平均を下回るわけではありませんし、逆にパッシブ運用が万能というわけでもありません。
重要なのは「どんなファンドを選ぶか」ではなく、「誰に任せるか」です。
パッシブ運用に対比すべきはアクティブ運用全般ではなく、才能あるファンドマネージャーであり、ストックピッカー
確かに無作為に選んだアクティブファンドがインデックスに劣ることはよくあります。しかし、優れたファンドマネージャーを見極めて選べば、リスク調整後リターンにおいて、パッシブ運用を上回る可能性は十分にあります。
銘柄そのものではなく、銘柄を「選ぶ目」の勝負。つまり、どの運用者に資産を託すか、運用者を選び抜く行為が、アクティブ戦略の成否を分けるのです。
[参考記事]
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平均では満足できない投資家にとってのアクティブ運用の価値
資産運用の世界全体がパッシブ運用重視の方向へ向かう中、むしろアクティブ運用の真価が問われる時代となっています。
もはや「なんとなく人に任せる時代」は終わり、本当に才能ある個人や少数のチームが、マーケットにおける差別化要因として光る時代になりました。
結論:パッシブ運用全盛の今こそ、「人を選ぶ力」がリターンを左右する
資産運用業界内の勢力図が変化していることは明らかであり、キャピタル・グループのようにアクティブ運用一本で勝負してきた企業は構造的に厳しい立場に追い込まれています。
しかし、「アクティブ運用=劣っている」という単純な図式は誤りです。
比較すべきは「パッシブ運用 vs 才能ある運用者」であり、その見極めこそが、これからの投資家に求められるスキルです。
[参考記事]
●私が配信してきたFIREポートフォリオのパフォーマンスはS&P500を大きく上回り、2年5ヵ月の累計リターンは140%超! その成功の要因はどこにあるのか?
パッシブ運用に流れるのが“無難”なら、アクティブ運用で勝ちにいくのは“選ばれし投資家”だけの特権かもしれません。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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