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【1】今日の株式相場早わかり!
解散見送りで一時下落も、金融政策維持でプラス転換
日経平均株価は反発! 15日の米国市場では主要株価指数がそろって上昇した。5月の小売売上高が予想外に増加し、ニューヨーク連銀の製造業景況指数も大幅に改善。他方で失業保険申請件数が予想を上回り、金利低下に伴って景気敏感株からハイテク株まで買いが入った。しかし、日本では昨晩、岸田文雄首相が今国会での衆院解散見送りを表明。解散・総選挙をめぐる思惑が後退し、東京市場は売り優勢でスタートした。後場に入ると、日銀が金融政策決定会合で緩和策の維持を決めたことが伝わってプラス転換。個別では、自社株買いの実施を発表したキヤノンなどが買われた。また、新興株中心のマザーズ指数は4%を超える上昇となった。
今晩の米国ではミシガン大学の6月消費者調査結果が発表される。また、先物・オプション取引期日の集中日(クアドルプル・ウィッチング)を迎え、株式需給(売りと買いのバランス)に変化が出てくるかも注視したい。
【日経平均】33706.08円↑(+220.59円)
【マザーズ指数】830.37↑↑(+35.44)
【NYダウ】 34408.06ドル↑↑(+428.73ドル、15日)
【ナスダック】13782.821↑↑(+156.344、15日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
海外勢の大幅買い越し「大量保有報告書」で探る
日本取引所グループが発表した6月第1週(5~9日)の投資部門別株式売買状況によると、外国人投資家は9854億円の大幅買い越しとなった。また、11週連続の買い越しはアベノミクス相場初期(2012年11月~2013年3月の18週)以来の記録だ。株価指数先物を手掛ける短期勢にとどまらず、幅広い海外投資家に日本株買いが広がってきたと言えそうだ。
では海外投資家が買い入れた銘柄はどれか? 6月に入り提出された「大量保有報告書」で探っていきたい。発行済株式の5%以上を保有する株主には大量保有報告書の提出が義務付けられている(その後、保有割合が1%以上増減した場合には「変更報告書」の提出が必要)。
米系のブラックロック・ジャパンはマツキヨココカラ&カンパニー、ディスコ、スズキ、JR東海で大量保有報告書を提出。マツキヨココカラやJR東海は「リオープン(経済活動の正常化)」関連銘柄として海外投資家からも注目されている。半導体製造装置のディスコは電気自動車(EV)などで拡大するパワー半導体向けに強い。スズキは高成長を続けるインドでの活躍が期待される。
英系オービス・インベストメント・マネジメントはINPEXやツルハホールディングスを購入。INPEXのPBR(株価純資産倍率)は1倍を下回るが、2023年12月期も減益予想ながら増配を計画(1株あたり年64円、前期は62円)するなど、株主還元への期待が強い。ツルハHDは8月開催予定の株主総会で、香港のオアシス・マネジメントが株主提案することが明らかとなっている。また、中堅~中小型株でもエクシオグループやデクセリアルズ、スカイマーク、インソースに大量保有報告書が提出された。
■マツキヨココカラ&カンパニー株価チャート/日足・6カ月
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【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『ホットなテーマ!』」
「骨太の方針」決定、国策に乗る銘柄は?
政府は16日にも「経済財政運営と改革の基本指針(骨太方針)」を正式決定する(本稿は決定前に作成)。その内容についてはすでに様々なメディアが報じており、関連銘柄とともに確認しておこう。
岸田首相が13日に記者会見を開いて強調したように、「少子化対策」が重要政策として位置づけられるようだ。会見では「若年人口が急減する2030年代に入るまでが少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」との認識を示し、「児童手当の大幅な拡充」などを掲げた。加速化プランの規模は3兆円半ばとする。少子化対策の関連銘柄については6月14日号でも取り上げたが、改めてベビー・子ども用品の西松屋チェーンやピジョン、保育・シッターのJPホールディングスやポピンズに注目したい。
「成長と分配の好循環」などをコンセプトとした「新しい資本主義」への取り組みも加速。人的投資やリスキリング(学び直し)を推進し、構造的な賃金上昇を目指していく。労働市場の改革は転職支援サービスのビジョナルなどにとって追い風となりそう。リスキリングでは、注目株コーナーにも登場したインソースなどが注目される。
また、グリーントランスフォーメーション(GX)や生成AI(人工知能)の開発・利活用などが「骨太の方針」に盛り込まれるようだ。今日はAppier Groupの株価が+10.22%、エクサウィザーズの株価も+9.09%という大幅高で、AI関連株の人気は半導体からシステム・ソフトウェアにも向きつつある。GXでは太陽光発電のウエストホールディングスや水素の岩谷産業などに注目したい。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社のフィスコなどを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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