【1】今日の株式相場早わかり!
米株高を好感も、3万3000円に迫り失速
日経平均株価は小幅反発! 10日の米国市場では主要株価指数がそろって反発し、ナスダック総合指数は+2.04%となった。長期金利はやや上昇したが、以前のような大幅な変動は見られず、ハイテク株を中心に買いが入った。マイクロソフトは再び上場来高値を更新し、半導体のエヌビディアは8連騰した。また、週明けの東京市場では決算発表した東京エレクトロンが買われ、日経平均株価は朝方に一時300円超の上昇。ただ、3万3000円に迫る場面では利益確定の売りも出て失速した。MBO(経営陣による買収)実施を発表したベネッセホールディングスは買い気配のままストップ高比例配分。決算発表銘柄の動向はこの後の注目株コーナーで解説する。
今週は7~9月期決算発表の最終盤。また、国内では7~9月期の国内総生産(GDP、1次速報)、海外では米10月消費者物価指数(CPI)の発表など、重要イベントがまずまず多い。今週の予定と相場見通しはコラムコーナーで確認しよう。
【日経平均】32585.11円→(+17.00円)
【グロース250】678.06→(-1.10)
【NYダウ】34283.10ドル↑↑(+391.16ドル、10日)
【ナスダック】13798.108↑↑(+276.660、10日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
東エレクは期待つなぐ決算、消費関連は明暗
7~9月期の決算発表は終盤に入ったが、先週末10日の取引終了後も東京エレクトロンなど注目企業が多かった。値がさ株の東エレクは日経平均株価への影響が大きい上、半導体製造装置を手掛けており、先行きへの期待と足元の落ち込みへの懸念が交錯する。また、国内外の消費動向を占う上で注目される小売・外食の主要企業も散見されたことから、これらの決算内容と株価反応を確認しよう。
東エレクの2024年3月期上期(4~9月)の営業利益は前年同期比49.0%減の1785億円。通期の営業利益予想は従来の3930億円から4010億円(前期比35.1%減)に、小幅ながら上方修正した。先端半導体や受託製造企業で投資遅延が見られる一方、成熟世代では中国顧客の投資が大幅に加速。2023年の前工程向け製造装置(WFE)の市場見通しを引き上げ、それに伴い2024年については「微増」としている。業績の底打ち期待と、微細加工が可能な「エッチング装置」の先行きへの期待から、株価は朝方に一時2万3315円まで上昇。ただ、上場来高値(株式分割考慮)を付けると利益確定売りが出て伸び悩んだ。まだまだ強弱感が交錯している可能性もありそう。
小売・外食では、ディスカウント店「ドン・キホーテ」のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、牛丼店「すき家」のゼンショーホールディングスが業績・株価とも好調。一方で資生堂、ニトリホールディングスは減益決算や業績下方修正を受けて売りがかさんだ。化粧品では1日に決算発表した米エスティ・ローダーの株価急落も話題となり、国内外で「必要」か「不要不急」かによる消費の選別が広がっているように感じられる。
■東京エレクトロン株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
米中経済指標を受けた景気・金利動向に注目
先週の日経平均株価は+618.22円(+1.93%)。米雇用統計で雇用者数の伸びが市場予想を下回ったことで、米金利が低下し、週明けは大幅続伸。ただ、その後は短期的な過熱感を警戒した売りも出て、日経平均株価は週末までもみ合いが続いた。週半ばには米金利の低下を背景にバリュー(割安)株が大きく崩れる動きが見られた。
今週の焦点は海外の経済指標だろう。米国と中国では小売売上高など重要指標が多く発表される。米国の10月消費者物価指数(CPI)の食品・エネルギーを除いたコア指数は、前月と同じ伸びが予想されている。先週のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言を受けて米金利が反発してきているため、物価指標の上振れは一段の金利上昇と株安につながりかねない。一方、米国の10月小売売上高は、学生ローンの支払い猶予措置の打ち切りの影響などにより、前月比マイナスが予想されている。予想以上のマイナスになると、金利は低下する一方で景気後退懸念が強まり、結局、株式市場の重石になりそうだ。
中国の10月小売売上高は概ね前月と同程度の伸びが予想されているが、先週までの経済指標の結果は悪く、予想を下回った場合には景気後退懸念が一段と強まることになるだろう。17日(金)には米連邦政府のつなぎ予算が期限を迎える。米下院議長が新たなつなぎ予算を提示しており、警戒感は後退しているが、野党・共和党の保守強硬派の造反が長期化すれば政府機関閉鎖リスクが高まるため、予断を許さない。国内では7~9月期国内総生産(GDP)1次速報が発表されるが、4~6月期からの大幅な鈍化が予想されており、日本株の支援材料にはならないだろう。決算発表が週前半で一巡し、手掛かり材料が少なくなることも重石になりそうだ。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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