成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

中国のお金持ちは国外に資産を逃がしている!
中国株では大規模な売りが加速!
過度に売られた中国株に買いチャンスはあるのか?

2024年1月31日公開(2024年1月31日更新)
ポール・サイ
facebook-share
x-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

 中国の経済は最近、多くの問題に直面しています。そして、これが原因で中国経済は米国経済にさらに遅れを取り、中国の株式市場では大規模な売りが加速しています。

 このような中国株に買いのチャンスはあるのでしょうか?

 そのことを検討するため、今回は中国について、さまざまな観点から考察してみたいと思います。

中国が台湾を攻撃するのは、中国共産党が権力喪失を招く可能性が出てきた場合のみ

 まず、中国株を分析するときは、地政学と経済の両方を考慮しなければいけません。

 中国の経済的停滞は一時的なことだと思います。

 中国の経済規模がやがてアメリカを超えるのは驚くことではありません。中国は非常に多くの人口を有しています。中国の1人当たりGDPが中南米の国のレベルになれば、中国の経済規模はアメリカを超える計算になります。

 次に地政学的リスク、戦争のリスクについて検討してみると、私は戦争にはならないと思います。

 中国の指導者たちは、何よりも権力を保持することに関心を持っています。彼らにはアメリカを乗っ取る野望はありません。台湾問題に対してどれほど真剣かはわかりませんが、台湾への攻撃は、おそらく中国共産党が権力喪失を招く可能性が出てきた場合にのみ起こるでしょう。

 私は中国共産党の指導部は心配症だと思っています。ゼロコロナ政策に対して抗議デモが起こったことは、彼らの権力が彼らが考えるほど強固でないことを証明しました。

中国のお金持ちは国外に資産を移し、逃げようとしている

 中国の流行り言葉に「潤」という言葉があります。これは北京語で、発音が英語のRUN(走る・逃げる)と同じなのです。

 お金持ちは逃げています。最も裕福な人々が国外に資産を移している国がどれほど大変な状況か、考えてみてください。これが現在、起こっていることなのです。なので、中国の権力者は心配していると思います。国内のことを心配している間は台湾を攻めたりしないでしょう。

 最近、李稻葵(David Li Daokui)が書いた記事を読みました。李稻葵は中国で最も影響力がある経済学者です。彼は中国が尊敬を必要としている点を強調していました。これはシンプルな考え方だと思います。

 確かに、歴史的に見ると、中国は尊敬されることを求めているように見えます。かつての中国は日本、韓国などが朝貢を行っていれば満足していました。皇帝たちは尊敬を求めただけでした。

 ただ、「尊敬」には実際に経済的、政治的な利益があり、それは過去の中国にとっての利点だったのです。これは米ドルが基軸通貨であることがアメリカに利益をもたらすようなものです。結論は、中国は自国の周辺地域にある程度の影響力を保持することを望んでいるということです。

 中国が安全を確保する1つの方法は、中国の力を日本、台湾、フィリピンに及ぼすことです。これはアメリカがカナダ、メキシコ、カリブ海諸国などを基本的にアメリカの影響下に置く方法と同じです。特に新しい発想でもなく、合理的です。

アメリカが中国を攻撃するリスク。その可能性がより高いものだと中国は考えている

 中国は、アメリカが中国を攻撃するリスクがより高いと考えている可能性があります。

 アメリカは、ある国の政権がアメリカにとってより有利な存在となるように、政権変更を促すことを過去に何度も行ってきました。中国は、数十年前までヨーロッパ諸国・日本に半植民地として支配された経験から、外国勢力に対して猜疑心を持っています。

 これらの要素から考えて、米中間の緊張をやわらげる方法は、アメリカが何らかの形で中国を「尊重」することです。お互いがお互いを敵ではないと認識することです。

 これは、アメリカが中国の政治や中国内の出来事に干渉しないということ、チベット、新疆の独立などを支持しないことを意味します。中国にとって、チベットや新疆への干渉は、中国がテキサスの独立を支持したり、抑圧されているアフリカ系アメリカ人がアメリカで自国を形成することを支持するようなものと聞こえるのです。

 アメリカはサウジアラビアなどは権威主義体制であっても受け入れていますが、それと同じように、中国には中国の体制があるということをアメリカが受け入れれば、緊張はやわらぐでしょう。

 台湾の場合、事実上独立しているのと、テクノロジー面で利害関係があるので、現状維持がアメリカと中国の双方にとってメリットのあるメインシナリオだと思います。

アメリカが多民族化、多文化化することによって、アメリカとアジアの国々との関係が改善してくる

 中国とアメリカの緊張をやわらげるもう1つの要因は文化的なものかもしれません。

 「欧米」という言葉があるように、これまでのアメリカはヨーロッパと同じように括られる勢力でしたが、現在のアメリカは多文化の力を持った存在に変わりつつあります。

 アメリカのこのような変化によって、中国とアメリカはお互いを理解しやすくなるかもしれません。

 アメリカはドイツなどを除いて欧州の勢力とは、今の米中の緊張関係と同じような緊張関係を持っていませんでした。ドイツなどについても戦争が終わったあとは、結局、友好的な存在になるのが一般的でした。欧米間で戦争があっても、それは家族間の喧嘩であり、長期的な敵対関係ではないようです。

 そう考えると、アメリカが多民族化、多文化化することによって、アメリカはアジアの国々との関係が改善してくることでしょう。

 それと、中国がアメリカから技術を盗むことは過大評価されている可能性があります。アメリカで授与されている科学技術系の博士号は、そもそも中国人に数多く授与されているのです(以下の2つのグラフ参照)。

過度に売られた中国の優良株を安値で買えるタイミングは遠くない!

 結論をまとめましょう。

 中国は不動産バブルが弾けたことによって、経済が減速しています。この調整はいつか終わります。地政学的な面についても、中国がアメリカと戦争する根本的な理由がないです。なので、地政学の問題も時間が経つと、緩和してくると思います。

 過度に売られた中国株を安値で買うタイミングはそこまで遠くない将来に来るでしょう。いい企業を安く買うチャンスが近づいていることを意識しておいてください。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。


ダイヤモンド・ザイのウェブ会員登録はコチラから 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!NISAは全商品が手数料無料!「クレカ積立で最大3%還元!」「普通預金金利が大幅アップ!」などメリット多数! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!NISAは全商品が手数料無料!「クレカ積立で最大3%還元!」「普通預金金利が大幅アップ!」などメリット多数! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

10倍株の見つけ方&
プロ厳選62銘柄
理論株価より割安な株

12月号10月21日発売
定価990円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[10倍株の見つけ方&プロ厳選]
◎巻頭特集
手遅れにならないよう今から着手!
2025年NISA年末戦略
●[戦略1]儲かっている/損している株・投信は?今の資産をどうする?
●[戦略2]投資先の内訳をチェック!来年に向けてどうする?
●[戦略+α]2021年の投資分は売却もアリ!期限切れになる旧NISAどうする?

◎第1特集
アナタの身近にもある!
10倍株の見つけ方&プロ厳選銘柄62
5年で1億円作ったkenmoさん
10倍株の見つけ方講座
プロイチオシの今年のIPO4銘柄も!
●爆速成長・ストーリーで買う10倍株

人気テーマ・海外で躍進する10倍株
●収益拡大・決算書から見抜く10倍株

●IRイベントで10倍株を発掘する
●赤字のボロ株5銘柄で一発逆転を狙う

◎第2特集
初心者でもわかる!桐谷さんも愛用!
ザイの理論株価の使い方&注目の割安株28

●理論株価のしくみを大公開
●使い方&注目の割安3パターン
●優待名人・桐谷さん流3つの活用術

●実力も株価も成長!割安成長株
●買い時到来!割安転換株
●東証改革を機に見直し!株価改善株

◎第3特集
節約って実はこんなに楽しかった!
松本明子流ケチ道節約術26

●ストレスフリーなケチ道5カ条
●食費/日用品代/掃除/光熱費の節約術
●節約のプロに聞く!効果抜群の節約ワザ

【別冊付録】
利回り5%と値上がり益が同時に狙える!
NISAなら税金ゼロ!Jリート入門

●Jリートのすごさのヒミツ&まだ上がる理由
●投資先6タイプを徹底解剖
●Jリート選びのポイント4つ
●物流施設/オフィス/ホテルなど プロ厳選のJリート12銘柄+α

◎連載も充実
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年8・9月編
「話題の2社が初値2倍に!市場は大いに盛り上がった」
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.15
「学生時代の年金追納すべき?」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.10
「大衆心理から先を読む」
●おカネの本音!VOL40 小林邦宏さん
「130カ国体験で学んださまざまな稼ぎ方とタイムマシン経営術!」
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.108
「裏方なのにモテモテ! データセンター株」
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「中年世代がターゲット!SNS型の投資&ロマンス詐欺にご用心」
●人気毎月分配型100本の[分配金]速報データ
「日米の株式相場の上昇が追い風となり株式型が好調!」
●読者参加型企画・1カ月で上がる株を当てろ!
「9月はアドバンテストが1位!タイミーは売上下方修正で下落」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報