2月13日の日経平均は急上昇して1066円高。過去最高値更新は目前!
3連休明けの先週火曜日。日経平均株価は3日続伸となり、1066円高を記録し、1990年1月以来となる34年1か月ぶりに高値を付けた。この日は奇しくも2月13日という証券業界にとっては象徴的な日。おそらく皆さんもご存知だと思うが、2月13日はゴロ合わせで「ニーサ」の日である。その日に日経平均が1000円高になったというのは興味深い。私自身はちょうど30年前の30歳の時から投資家をやっているが、投資家冥利に尽きる出来事だ。
その後も連日で日経平均は上昇を続けて、2月16日の金曜日には一時3万8865円まで上昇した。1989年12月29日の過去最高値3万8915円にあと50円にまで迫った瞬間である。結局、終値は3万8487円となり過去最高値の更新はお預けとなった。この記事がリリースされる頃には歴史的瞬間が起こっているかもしれない。昨年末の日経平均は3万3464円。とんでもない急騰を演じ、2月中旬に5000円も上昇してカウントダウンに入っている状況に驚くほかない。
「日経平均は上がれど保有株は不振続き」と嘆く個人投資家に理由を解説
「日経平均はこんなに上がっているのに、自分の運用資産は減っている!」
こうした個人投資家たちの悲鳴があちこちから聞こえてくる。皆さんに安心してもらうために簡単に解説したい。例えば日経平均が743円高となった2月8日。SBG(ソフトバンクグループ)、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、アドバンテスト4銘柄の日経平均への寄与は498円、そして日経平均が34円高にとどまった2月9日はSBGの1銘柄だけで128円の寄与。また2月13日の1066円高の日は東京エレクトロンとSBGの2銘柄で496円の寄与、2月15日の454円高の日は東京エレクトロン、ファーストリテイリング、SBG、アドバンテスト、信越化学の5銘柄で393円の寄与となった。要するに特定の少数銘柄だけで日経平均が押し上げられているのだ。米国のエヌビディアが上がれば、日本の値がさ半導体に「お祭り騒ぎ」が起きており、「半導体にあらずんば、株にあらず」と揶揄したい動きとなっている。
日経平均高騰も、東証プライム上昇銘柄は3割にすぎず実体は下落相場?
このところの東証プライム市場は上昇銘柄が全体の3割に過ぎず、大半の7割が下落している。実体は下落相場であり、多くの個人投資家が「自分の株は上がらず、むしろ下がっている!」というのも道理である。
非常に単純化されたマーケット展開、すなわち儲けるチャンスを短期筋が見逃すはずがなく、相場の流れに追随するCTA(商品投資顧問)による怒涛の買いや、海外ヘッジファンドによる日経平均先物への買いが活発化することによって日経平均の上昇が演出されている。対照的なのがTOPIXの動きだ。もちろん、TOPIXも上昇しているがその上昇力は日経平均の半分以下となっており、両者の乖離が大きくなっている。
「日経平均っていびつな株価指数だと耳にしたことがありますが、実態はどうなんでしょう?」
日経平均はいびつな株価指数。マーケットの実体を正しく表すのはTOPIX
こうした疑問を抱く人たちが多くなっている。関心のある方も多いのではないだろうか。実は、日経平均株価は個別銘柄の絶対株価水準をベースに算出されており、値がさ株の動きが指数に反映されやすくなっている。現在構成比率のトップはファーストリテイリングで、この1銘柄で全体の10.7%を占めている。2位が東京エレクトロンで8.0%、3位がアドバンテストで4.7%、4位がSBGの4.3%、5位が信越化学の2.7%となっている。上位5社で30.4%と全体の3割近い占有率だ。日本で一番時価総額の大きいトヨタ自動車はわずか1.5%に過ぎない。時価総額56兆円のトヨタの評価は日経平均においては時価総額13兆円のファーストリテイリングの7分の1に過ぎないという珍現象が起こっている。
これに対して、TOPIXは時価総額基準で組み入れ比率が決められており、マーケットの実態を正しく表していると言える。要するにここではファーストリテイリングの評価はトヨタの4分の1である。マーケットの実力値を示す時価総額の大きいほどTOPIXへの寄与が大きい。
余談だが、大型株のアクティブ運用を行っているファンドマネージャーがベンチマークとして競争しているのはTOPIXだ。日経平均は全く使われていない。当然の話である。もし日経平均がベンチマークになれば、運用ファンドのアセットアロケーションにおいてファーストリテイリングをニュートラルの10%組み込むか、半分の5%にするか、あるいは1.5倍の15%にするか、といった選択を迫られることになる。
日経平均が過去最高値更新すれば、私の苦労した「転落人生」も報われる
ところで「過去最高値更新に向けてカウントダウンの日経平均」。もし歴史的瞬間が来れば、それは私にとって右肩下がりの証券人生にピリオドを打つ瞬間でもある。私が証券業界に足を踏み入れたのは1988年4月。大学を卒業して第一證券(現、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社。入社時の日経平均は2万6104円だった。そして翌年1989年12月29日の大納会の日に3万8915円という史上最高値を付けた。最初の2年は絶好調だった。だが、サクセスストーリーはここまで。1990年から私の転落人生がスタートする。
1990年の年初に不動産融資総量規制の導入と同時にバブルが弾けて、9月には2万221円まで急落。わずか9カ月で48%もマーケットは下落した。これは本当にすごかった。その後も逆風ばかりの展開だった。ボーナスはなくなり、残業代はゼロにされ、年収は毎年激減した。日経平均は2008年10月28日には6994円まで下落。もはや万事休すである。
底値を付けるまで19年、底値から這い上がり今の水準に戻すまで15年もの年月を要している。3万8915円を回復して、ようやく私の右肩下がりの証券人生は終わる。「あとちょっと」と思うと感慨深い。34年もの長い歳月、そろそろ報われてもいいだろう。
「勝者のポートフォリオ」も連日最高値更新。累計成績は日経平均上回る
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。このところ連日で過去最高値を更新。投資戦略が的確に決まっており好調だ。「今年は辰年、私の年」と言ったように、辰は干支別パフォーマンスでトップパフォーマー。2024年は「逆業績相場」から「金融相場」へのサイクルの年。大いに期待できる。
2月7日(水)20時よりWebセミナーを開催した。テーマは『マイナス金利解除で株式市場はどうなる?』。平日夜にもかかわらず291名もの参加となった。Q&Aも含めて22時半に終了。すでに会員ページのアーカイブでWebセミナー動画をアップ済。冒頭において投資家にとって大事なことを申し上げた。次回は3月6日(水)20時からの開催予定である。
太田流『新NISA活用法』のスペシャル講義も完結した。700名近くの会員たちはすでにバッチリ新NISAに取り組んでいる。今年こそ資産運用を真剣にお考えの皆さま、「勝者のポートフォリオ」で一緒に大きく飛躍しましょう。ぜひ、ご参加をお待ちしております。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。
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