「勝者のゲーム」と資産運用入門

「中国株売り、日本株買い」の根底にある構図は、
「インフレ時代の日本vsデフレ時代の中国」にある。
個人投資家は売り急がず、日本株の大波に乗ろう!太田忠の勝者のポートフォリオ 第121回

2024年1月30日公開(2024年1月30日更新)
太田 忠
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中国政府が発表した「2023年のGDPは前年比5.2%増」は本当か?

 中国の2023年の国内総生産(GDP)は前年比5.2%増、政府目標の5%を達成―。

 この発表にはさすがに私は笑ってしまった。習近平氏が率いる中国、ゼロコロナ政策を誤った中国、経済苦境に陥っている中国。どうしてあんなに不況で株式市場が急落しているにも関わらず、5%を超える高成長をしているのだろうか? 年率5%もの経済成長力があれば、街中好景気で人々は浮かれて闊歩しているはずだが…。

 この数字を真に受けて中国経済を分析しても、その論考は破綻だらけとなり、解説することも不能になる。新聞記事もいろいろ読んでみたが、結局のところ5%成長していることを明確に証明できるものにはお目にかからなかった。整合性が見られない。大学を卒業しても就職先のない学生たち、販売不振で建設途中で放り出されたゴーストマンション群、人口の減少が急速に始まり出生数が過去最少を記録した人口動態など、目につくのは経済減速を象徴する出来事ばかりである。

筆者の見立てでは中国のGDPはマイナス成長。経済は長期停滞局面に

 中国政府が発表する統計数字が嘘で固められているのは、マーケット関係者ならば周知の事実である。米国の民間調査会社では「中国経済の成長率は1.5%くらいではないか?」と見ているようだが、1.5%も成長しているはずがない。実質はマイナス2%~3%程度の成長になっていると私は考えている。でないと辻褄が合わないからだ。

 中国経済は誤ったゼロコロナ政策をきっかけに長期の停滞局面に入っている。景気減速の歯止め策として従来なら積極的な財政出動をおこない、公共投資をバンバンおこなって景気浮揚を図るのがお家芸だったが、もはやその余裕もない。できることと言えば、中国人民銀行が預金準備率をわずかに引き下げる程度だ。市中に出回るマネーを増やして融資拡大を促し、長引く景気停滞に対応するというのが名目だが、需要の落ち込みで銀行の新規融資は伸びていない。特に設備投資や住宅購入といった融資期間が長い資金の貸し出しが落ち込んでいる。

 GDP統計に代表されるデータ情報の偽装や改竄工作は、実は中国への投資リスクを増大させることに直結する。2021年から本格化した中国の不動産バブル崩壊はいまだにおさまっておらず、最近ではノンバンクを中心とする金融不安が頻発していると聞く。それに対し、習政権は公安警察を使って不都合な関係者たちを拘束し、情報を遮断するだけである。欧米企業や投資家たちは中国に対する直接投資、証券投資ともに大幅に減らしている。当然のことである。

世界的潮流の「中国株を売り、日本株を買う」の根底にある構図とは?

 前回のコラムにおいて私は中国の株式市場について取り上げた。上海上場の日経ETFの売買が一時停止。中国人投資家の間で日本株ブームが起こっており、ETF価格が実際の基準価格より大幅に上回る過熱ぶりとなっている。一方、上海総合指数は2020年6月以来となる3年7か月ぶりの安値をつけた。中国では「中国株を売って、日本株を買おう!」という流れが鮮明になっているという話題だ。中国人もそうだし、これまで中国に積極的に投資をしてきた海外投資家たちも同じ流れになっている。その根底にあるのが「インフレ時代に入った日本経済 vs デフレ時代に入った中国経済」という構図だ。

 日本は過去30年間経済成長しておらず、モノやサービスの価値がどんどん下がっていくデフレ経済を経験してきた。それがようやくポストコロナで需要と供給のバランスが引き締まり、日米金利差拡大によるドル高・円安も大きな要因となってインフレ時代に入っている。一方、中国は大量生産・大量消費が行き詰まり、需要よりも供給の方が大きくなってしまったため、様々な方面で値下げ合戦が顕著になっている。まさにデフレ時代に入っているのだ。「どんどん作れば経済成長する」という神話は終わった。

下方修正を発表したニデック。永守CEO発言からも分かる中国の低迷ぶり

 先週の水曜日にニデックが業績の下方修正を発表したが、決算説明会の席上で永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)が「中国市場は価格競争が激化して採算が全く合わない」「競争相手も顧客もニデックもぜんぶ赤字」「こんなのは50年の経営で初めて」と語ったのが印象的だった。それほどまでに厳しい状況にある。だから、私は冒頭述べたように、習国家主席が「目標の5%の経済成長を達成した」という言葉に笑ってしまうのだ。でたらめな数字を発表してまで世界一になりたいという姿はもはや痛々しい。

 世界人口ランキングで中国は2位に転落し、首位の座をインドに明け渡したことはご存知だと思う。巨大な人口パワーで経済成長してきた中国が成長エンジンを失い、人口減少とともにこれから物凄い高齢化社会がやって来る。「台湾併合は国家として最重要課題」を掲げる習政権だが、これだけ国力が落ちている中、下手な軍事行動に出ればむしろ自分が圧倒的に不利な立場に立たされる。おそらくもう分かっているはずだ。台湾有事の可能性は後退していると私は考えている。

 株式市場における中国の存在も落ちてしまった。今年早々に東京証券取引所の時価総額が中国の上海証券取引所を上回り、アジアでトップを3年半ぶりに奪回したことは象徴的なことだと思う。投資マネーは日本へ回帰し、そして中国からは回避されている。この流れは続く。

「勝者のポートフォリオ」は連日で過去最高値更新。新NISAも徹底解説!

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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。

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