今日の注目株&相場見通し

【4月12日の注目株&日本株市場見通し】注目決算のファストリ/さくらインターや電力株が旬?/日経平均反発 「デイリーZAi」4/12号

2024年4月12日公開(2024年4月12日更新)
ザイ編集部
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【1】今日の株式相場早わかり!
米PPIでインフレ懸念緩和も警戒感くすぶる

 日経平均株価は3日ぶり反発! 11日の米国市場ではハイテク株に買いが入り、ナスダック総合指数約3週間ぶりに史上最高値を更新した一方、景気敏感株の一角が売られ、NYダウは小幅安に終わった。3月の卸売物価指数(PPI)が概ね市場予想に一致したことで、消費者物価指数(CPI)の発表後に高まっていた過度なインフレ懸念が後退したことが投資家心理を改善させた。こうした流れから半導体株の一角に買いが入ったほか、1ドル=153円台に乗せ、約34年ぶりの水準にまで円安・ドル高が進んだことで、日経平均株価は反発スタート。一方、インフレや地政学リスクに対する警戒感がくすぶる中、週末に伴う様子見ムードもあり、根強い売りが上値を抑えた。決算を発表したファーストリテイリングの下落も相場の重石になった。

 今晩の米国市場では4月のミシガン大学消費者調査JPモルガン・チェースなどの大手金融機関の決算が発表される。消費者調査では期待インフレ率の動向が、金融機関の決算では経営陣の景気動向に対する発言が注目される。

日経平均】39523.55円(+80.92円)
グロース250】687.37(-4.73)
NYダウ】38459.08ドル(-2.43ドル、11日)
ナスダック】16442.198↑↑(+271.838、11日)

■日経平均株価チャート/日足・6カ月

日経平均株価チャート(出典:SBI証券公式サイト)※画像をタップで最新データに飛びます

【2】今日の注目株!注目
決算&新中計、ファストリや三井不動産など

 米物価指標の発表を終え、ここからは主要企業の決算発表が重要な材料となってくる。昨日は注目企業を含め業績関連の発表が多くあった。1つずつ内容を精査しよう。

11日取引終了後に決算を発表した主な企業

 ファーストリテイリングの2024年8月期上期(9~2月)営業利益は前年同期比16.7%増の2570億円。通期の税引前利益予想を4800億円から5000億円(前期比14.2%増)へと上方修正したほか、1株あたり配当金予想を330円(中間配当165円)から350円(175円)へと増額した。上期実績が市場予想を下回ったことで株価は下落したが、国内ユニクロ事業は暖冬の影響で苦戦も高いコスト管理能力により営業増益。また、注目の海外ユニクロ事業は総じて好調だった。特に欧米ではブランドに対する支持が高まり新規顧客が拡大。経営陣は一段の成長に手ごたえを得たようだ。

 ウエハ搬送装置のローツェの2025年2月期営業利益は前期比31%増の316億1700万円と市場予想を大幅に上回る見通し。AI(人工知能)半導体向けの需要の急増や世界的な半導体工場の建設拡大が追い風になっている。また、8月末を基準日とした1→10株の株式分割増配も発表。三井不動産は今期の増配自社株買いのほかに新経営方針を発表。2026年度目標としてEPS(1株あたり利益)年平均成長率+8%以上ROE(自己資本利益率)8.5%以上のほか、配当性向の引き上げ(30%→35%)などを掲げた。

 小売企業では、大幅増益決算業績上方修正期末配当の増額を発表した大黒天物産のほか、前期末配当の増額に加え、今期の営業増益と増配の見通しを発表したベルクが急伸。共に自社物流による高いコスト削減力と低価格で魅力的なプライベートブランド(PB)商品に強みを持ち、消費者の生活防衛意識の高まりを味方につけた。

■ファーストリテイリング株価チャート/日足・6カ月

ファーストリテイリング株価チャート(出典:SBI証券公式サイト)※画像をタップで最新データに飛びます
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【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『ホットなテーマ!』」
岸田首相が訪米、データセンターなどに期待感

 岸田文雄首相が8~14日、米国を国賓待遇で訪問中だ。すでに10日の日米首脳会談などが大きく報じられているが、こうした訪米の成果が伝わるとともに、株式市場でも関連銘柄が盛り上がりを見せている。

 特にデータセンター(DC)運営のさくらインターネットの活況ぶりが話題だ。同社株は今週、+33.72%と大幅に値上がりした。米マイクロソフトが9日、日本国内のAI(人工知能)及びクラウド基盤強化のため、今後2年間で日本に対して29億ドル(約4400億円)の投資を行うと表明。岸田首相はマイクロソフトのブラッド・スミス社長の表敬を受け、謝意を述べたという。さくらネットは昨年、政府・地方自治体の共同クラウド基盤「ガバメントクラウド(政府クラウド)」の提供事業者に国内企業として初めて選定された。DC需要拡大への期待が高まる中、関連銘柄の中核的存在として引き続き関心が高い。

 同じくこのニュースを受けて株価上昇が目立ったのは、九州電力北海道電力だ。半導体工場の建設も相まって、電力需要が拡大するとの思惑が広がったようだ。また、世界有数のDC事業者であるNTTデータグループや、中長期的な成長期待が高いインターネットイニシアティブ、部材でも需要回復への期待から株価好調なフジクラなどに注目したい。

 首脳会談では脱炭素化宇宙開発などの分野で協力を進めることが確認されたため、DCとともにこれらの関連銘柄を下表にまとめた。脱炭素化では、洋上風力、ペロブスカイト太陽電池を含む太陽光発電、水素・アンモニアなどで協力していく。また、2028年にも日本人宇宙飛行士を月面に着陸させる。米国人以外では初となり、宇宙開発への関心を一段と高めることに期待したい

データセンター・脱炭素・宇宙関連銘柄

小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。

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