NYダウが初の4万ドル乗せ!S&P500、ナスダックも過去最高値を更新
NYダウもついに史上初の4万ドルの大台に―。
5月16日の米国株式市場でNYダウが一時4万51ドルまで上昇し、史上初の4万ドル台に乗せた。この歴史的快挙に市場参加者は沸き、米国経済や米国企業の強さを改めて認識するイベントとなった。その前日の5月15日にはNYダウ、S&P500、ナスダックの主要3市場が揃って過去最高値を更新し、全面的な株高の様相になっている。
米国の株高の背景にあるのはインフレ鈍化を受けた長期金利の低下である。5月3日に発表された4月の米雇用統計は+17.5万人と予想の+24万人を下回り、平均時給も前月比+0.2%と予想の+0.3%に届かなかったことで労働需給の緩和を示した。また5月15日に発表された4月の米消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%と予想の+0.4%を下回った。CPIは今年に入って3カ月連続で上振れしていたが、インフレ再加速におびえる市場に安堵感をもたらした。これらにより4月下旬に4.7%台まで上昇していた長期金利は4.3%台まで低下している。
インフレ鈍化の兆しを受け、FRBが9月に利下げ開始との楽観的見方強まる
米連邦準備理事会(FRB)が年後半にも利下げを開始し、米経済がソフトランディング(軟着陸)できるとの観測が強まっている。4月までは予想を上回る経済指標の発表が続き、FRBは早期の利下げに踏み切れないとの見方が支配していたため株式市場は悲観的だったが、5月に入って急に楽観的ムードが漂っている。「9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げがなされる」との見方だ。
米国市場はこれまでも経済指標の動向で悲観と楽観を繰り返していたが、FRB高官やパウエル議長からは「まだ見極めには時間がかかりそうだ」「利下げを急ぐことはない」との慎重な姿勢が示されている。仮に6月に発表される経済指標が強含みで、インフレ鈍化に疑問を投げかける内容になれば、再び悲観ムードに転換する可能性がある。実際、5月17日に発表された4月の輸入物価指数は前月比+0.9%と2年ぶりの高い伸びとなり、週間の新規失業保険申請件数は前週よりも減少した。
米国株価が好調な一方、日経平均は4万円台回復を果たせず閉塞感が漂う
一方の日本市場。3月までは好調だったが、4月の日経平均株価は4.9%下落の1963円安となり急減速した。FRBの利下げが遅れるとの観測、米株安、中東情勢を取り巻く地政学リスクの3つが重くのしかかり、4月のNYダウが5.0%下落の1991ドル安となったことに連動した。ところが、5月に入ってNYダウは過去最高値を更新して4万ドル乗せとなったのは対照的に、日経平均は3月高値の4万888円から後退し、5月16日現在で3万8920円と沈んだままである。この差は何だろうか?
1つは日本の金融政策引き締めへの警戒だ。5月13日に日銀は公開市場操作(国債買い入れオペ)で長期債の購入額を減らした。長短金利操作(イールド・カーブ・コントロール、YCC)の解除後初の買い入れ額減額となり、国内の長期金利は0.965%と昨年11月につけた0.970%にあと一歩に迫るレベルにまで上昇。金利上昇は株式市場にとって短期的にはマイナス要素だ。そして、重要なのが企業業績への失望感である。先週のコラム『好調すぎる2023年度決算vs保守的な2024年度決算』で触れた通り、上場企業の2023年度(2024年3月期)の純利益は前期比18%増と3年連続で過去最高を記録、とりわけ製造業が22%増と全体の牽引役となった。ところが、2024年度(2025年3月期)の純利益は4%減と5年ぶりの減益が予想されている。
日本の株価が停滞している最大の理由は、今期の保守的な業績予想にある
特に大企業が大幅な減益予想を出す場合が多く、トヨタ自動車(7203)が28%減、ANAホールディングス(9202)が30%減、日本製鉄(5401)が45%減などとなっている。一般的な説明としては海外の景気減速、円安効果の剥落、コスト増加を3つの要因として挙げている。もちろんそれは理解できるが、2024年3月期の決算が想定外に好調な数字で着地してしまったため「さらなる増益になる」との予想を期初時点で出しにくくなっているという現実がある。私から言えば保守的過ぎるのだ。
今から1年前を振り返ってみよう。2024年3月期の純利益の期初予想はわずか3%増だった。それが最終的には18%増まで伸びた。2025年3月期の期初予想は4%減であるが、四半期決算ごとに業績は会社計画を上回る形になっていくと思う。
本格的な株価上昇は第1四半期の決算が発表される7月下旬からか
今回の決算発表で保守的な予想を出した企業は容赦ない売りが浴びせられる場面をしばしば見たが、決算発表は株価にとって大きなイベントだ。そこでは様々な投資スタンスの様々な投資家たちのバトルが繰り広げられる。決算発表は、短期的な値幅取りを行うには格好の対象だ。会社予想に対して上回ったのか、下回ったのか、そして市場予想に対して上回ったのか、下回ったのかが投資材料になる。その意味においてネガティブな結果を出した企業は「即、売り」の対象となる。
先週のコラムで述べたように、こういう場面に遭遇した場合に考えるべきことは「自分は何に期待して投資しているか」だ。短期的な値幅取りでなければ、会社予想や市場予想との誤差はいずれ解消される。むしろ、短期的に間違った株価が出現すれば買いのチャンスにもなる。この点をしっかりわきまえておけば、決算発表というイベントについてさほど心配することなく、落ち着いて見ていられると思う。個別銘柄投資においては非常に重要なことである。
第1四半期の決算発表は7月下旬から8月中旬にかけて行われるが、現在低迷しているマーケットの活性剤になることを期待したい。それまでしばらくは、閉塞的な相場展開になる可能性がある。
6月6日に開催されるセミナーに参加し、次なる株価上昇の波に乗ろう
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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
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