「勝者のゲーム」と資産運用入門

NYダウが初の4万ドル乗せ! 利下げ期待が高まる。株価好調の米国に比べて、日本には閉塞感が漂う。理由は保守的すぎる今期の業績予想。しばし我慢か太田忠の勝者のポートフォリオ 第137回

2024年5月21日公開
太田 忠
facebook-share
x-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

NYダウが初の4万ドル乗せ!S&P500、ナスダックも過去最高値を更新

 NYダウもついに史上初の4万ドルの大台に―。

 5月16日の米国株式市場でNYダウが一時4万51ドルまで上昇し、史上初の4万ドル台に乗せた。この歴史的快挙に市場参加者は沸き、米国経済や米国企業の強さを改めて認識するイベントとなった。その前日の5月15日にはNYダウ、S&P500、ナスダックの主要3市場が揃って過去最高値を更新し、全面的な株高の様相になっている。

 米国の株高の背景にあるのはインフレ鈍化を受けた長期金利の低下である。5月3日に発表された4月の米雇用統計は+17.5万人と予想の+24万人を下回り、平均時給も前月比+0.2%と予想の+0.3%に届かなかったことで労働需給の緩和を示した。また5月15日に発表された4月の米消費者物価指数(CPI)は前月比+0.3%と予想の+0.4%を下回った。CPIは今年に入って3カ月連続で上振れしていたが、インフレ再加速におびえる市場に安堵感をもたらした。これらにより4月下旬に4.7%台まで上昇していた長期金利は4.3%台まで低下している。

インフレ鈍化の兆しを受け、FRBが9月に利下げ開始との楽観的見方強まる

 米連邦準備理事会(FRB)が年後半にも利下げを開始し、米経済がソフトランディング(軟着陸)できるとの観測が強まっている。4月までは予想を上回る経済指標の発表が続き、FRBは早期の利下げに踏み切れないとの見方が支配していたため株式市場は悲観的だったが、5月に入って急に楽観的ムードが漂っている。「9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げがなされる」との見方だ。

 米国市場はこれまでも経済指標の動向で悲観と楽観を繰り返していたが、FRB高官やパウエル議長からは「まだ見極めには時間がかかりそうだ」「利下げを急ぐことはない」との慎重な姿勢が示されている。仮に6月に発表される経済指標が強含みで、インフレ鈍化に疑問を投げかける内容になれば、再び悲観ムードに転換する可能性がある。実際、5月17日に発表された4月の輸入物価指数は前月比+0.9%と2年ぶりの高い伸びとなり、週間の新規失業保険申請件数は前週よりも減少した。

米国株価が好調な一方、日経平均は4万円台回復を果たせず閉塞感が漂う

 一方の日本市場。3月までは好調だったが、4月の日経平均株価は4.9%下落の1963円安となり急減速した。FRBの利下げが遅れるとの観測、米株安、中東情勢を取り巻く地政学リスクの3つが重くのしかかり、4月のNYダウが5.0%下落の1991ドル安となったことに連動した。ところが、5月に入ってNYダウは過去最高値を更新して4万ドル乗せとなったのは対照的に、日経平均は3月高値の4万888円から後退し、5月16日現在で3万8920円と沈んだままである。この差は何だろうか?

 1つは日本の金融政策引き締めへの警戒だ。5月13日に日銀は公開市場操作(国債買い入れオペ)で長期債の購入額を減らした。長短金利操作(イールド・カーブ・コントロール、YCC)の解除後初の買い入れ額減額となり、国内の長期金利は0.965%と昨年11月につけた0.970%にあと一歩に迫るレベルにまで上昇。金利上昇は株式市場にとって短期的にはマイナス要素だ。そして、重要なのが企業業績への失望感である。先週のコラム『好調すぎる2023年度決算vs保守的な2024年度決算』で触れた通り、上場企業の2023年度(2024年3月期)の純利益は前期比18%増と3年連続で過去最高を記録、とりわけ製造業が22%増と全体の牽引役となった。ところが、2024年度(2025年3月期)の純利益は4%減と5年ぶりの減益が予想されている。

日本の株価が停滞している最大の理由は、今期の保守的な業績予想にある

 特に大企業が大幅な減益予想を出す場合が多く、トヨタ自動車(7203)が28%減、ANAホールディングス(9202)が30%減、日本製鉄(5401)が45%減などとなっている。一般的な説明としては海外の景気減速、円安効果の剥落、コスト増加を3つの要因として挙げている。もちろんそれは理解できるが、2024年3月期の決算が想定外に好調な数字で着地してしまったため「さらなる増益になる」との予想を期初時点で出しにくくなっているという現実がある。私から言えば保守的過ぎるのだ。

 今から1年前を振り返ってみよう。2024年3月期の純利益の期初予想はわずか3%増だった。それが最終的には18%増まで伸びた。2025年3月期の期初予想は4%減であるが、四半期決算ごとに業績は会社計画を上回る形になっていくと思う。

本格的な株価上昇は第1四半期の決算が発表される7月下旬からか

 今回の決算発表で保守的な予想を出した企業は容赦ない売りが浴びせられる場面をしばしば見たが、決算発表は株価にとって大きなイベントだ。そこでは様々な投資スタンスの様々な投資家たちのバトルが繰り広げられる。決算発表は、短期的な値幅取りを行うには格好の対象だ。会社予想に対して上回ったのか、下回ったのか、そして市場予想に対して上回ったのか、下回ったのかが投資材料になる。その意味においてネガティブな結果を出した企業は「即、売り」の対象となる。

 先週のコラムで述べたように、こういう場面に遭遇した場合に考えるべきことは「自分は何に期待して投資しているか」だ。短期的な値幅取りでなければ、会社予想や市場予想との誤差はいずれ解消される。むしろ、短期的に間違った株価が出現すれば買いのチャンスにもなる。この点をしっかりわきまえておけば、決算発表というイベントについてさほど心配することなく、落ち着いて見ていられると思う。個別銘柄投資においては非常に重要なことである。

 第1四半期の決算発表は7月下旬から8月中旬にかけて行われるが、現在低迷しているマーケットの活性剤になることを期待したい。それまでしばらくは、閉塞的な相場展開になる可能性がある。

6月6日に開催されるセミナーに参加し、次なる株価上昇の波に乗ろう

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。次回は6月6日(木)20時より開催する。5月のテーマは『遠のく米国の利下げ、遅れる金融相場の到来』だったが、6月も資産運用向上の鍵となる重要な話をする予定。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加可能だ。

 スペシャル講義では『ポートフォリオ理論』に続き、太田流『ポートフォリオ実践』がスタートした。資産運用においてポートフォリオ運用のノウハウを知っておくことは必須であり、個人投資家がそれを身に付けてもらうことを目的としている。また、太田流『新NISA活用法』もすでに完結。700名近くの会員たちはすでにバッチリ新NISAに取り組んでおり大きな成果を出している。資産運用を真剣にお考えの皆さま、「勝者のポートフォリオ」で一緒に大きく飛躍しましょう。ぜひ、ご参加をお待ちしております。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。

 

国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
トップアナリスト&ファンドマネジャーが
個人投資家だからこそ勝てる

「勝者のポートフォリオ」を提示する、
資産運用メルマガ&サロンが登場!

老後を不安なく過ごすための資産を自助努力で作らざるを得ない時代には資産運用の知識は不可欠。「勝者のポートフォリオ」は、投資の考え方とポートフォリオの提案を行なうメルマガ&会員サービス週1回程度のメルマガ配信+ポートフォリオ提案とQ&Aも。登録後10日間は無料!

太田忠の勝者のポートフォリオ

10日間無料 詳細はこちら※外部サイトに移動します


ザイのオンライン講座 「バフェット入門」講座”を開講!詳しくはこちら!
年200万円利用で高級ホテル宿泊券がもらえる!最強ゴールドカードを検証! ダイヤモンド・ザイのウェブ会員登録はコチラから 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
ゴールド・プリファード・カードの公式サイトはこちら moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!NISAは全商品が手数料無料!「クレカ積立で最大3%還元!」「普通預金金利が大幅アップ!」などメリット多数! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ゴールド・プリファード・カードの公式サイトはこちら moomoo証券は「米国株」投資におすすめの証券会社! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!NISAは全商品が手数料無料!「クレカ積立で最大3%還元!」「普通預金金利が大幅アップ!」などメリット多数! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

勝ち組投資家の
1億円を作るワザ29
買いの高配当株74

2月号12月19日発売
定価1200円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[「株」全予測/人気株500激辛診断]
◎別冊付録1<保存版>
毎日書き込める株管理ノート欄付き
桐谷株手帳(A5変形・全180ページ)

●重要な経済指標やおトクなセール日程がわかる!
●買い検討中の銘柄を書き込めるから忘れない
●その日に売買した銘柄も記録できる!
●桐谷さんの株格言やおススメ優待も!

◎巻頭特集
2025年に儲けた株&損した株も大公開!
桐谷さんのゆく年くる年
「日経平均が5万円時代でも割安な優待株はまだまだある!」
別冊付録・桐谷株手帳の使い方も解説!

◎第1特集
プロ106人に総力取材!
2026年株全予測&儲け方

●日経平均は6万円超の高値予測が多数!
日本株(日経平均・新興市場)
●IPOセカンダリー投資分析も!
●インフレで銀行に追い風!ビットコイン予測も!上がる業種・テーマ
●春以降は円高に転換の予想!ドル円など為替

●米ドルの代替で上昇が続く!金(ゴールド)
●オルカンに上乗せするべきは?投資信託
●物流・オフィスが有望!Jリート

◎第2特集
買っていい高配当株は100銘柄!
<2026新春>人気の株500+Jリート激辛診断

●投資判断に異変アリ!
買いに躍進!
ニプロ、村田製作所、三井金属など
強気に転換!

GMOペイメントG、Kudan、栗田工業など
●旬の3大テーマ
想定以上の好調で業績上方修正の株/円安が追い風で利益拡大する株/防衛や防災など国や個人を守る株
●2026年新春のイチオシ株
10万円株/高配当株/株主優待株/Jリート
●気になる人気株
大型株393/新興株86/Jリート10

◎別冊付録2
増益予想で割安な株は1530銘柄
上場全3864社の最新理論株価

◎第3特集
AI以外の注目株も存在感
人気の米国株150診断

●2026年の勝ち戦略
●GAFAM+αの8銘柄を定点観測
●買いの注目優良株9&高配当株9
●人気の124銘柄の買い売り診断

◎第4特集
ザイ読者のリアルな声をお届け!
2025年の泣き笑い&2026年の投資戦略

◎連載も充実
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年11月編
「狙いは成長期待を株価に織込みきれていない銘柄」
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.17
「若手会社員も節税できる?」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.12
「データ活用で効率重視!」
●おカネの本音!VOL.42 優木まおみさん
「マレーシア移住を実現したサバイバルマネー術」
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.110
「恋心より気まぐれ!?日経平均」
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「泣き寝入りするしかない!?フリマアプリのトラブル」
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報
「株式型やJリート型は好調!利回り10%超の投信が18本と豊作」

>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報