12月の利上げ観測が高まり、国内長期金利は18年半ぶりに1.9%台乗せへ
国内長期金利は18年半ぶりに1.9%台乗せへ―。
「金利の上昇は株式市場にとってマイナスではないのですか?」
「これからマーケットが下がるリスクを太田先生はどう思われますか?」
12月4日(木)の東京市場。このところの日銀の植田和男総裁の発言を受けて、12月18日~19日に開催される日銀金融政策決定会合で利上げの可能性が高まったことに対し、債券市場はビビッドに反応している。国内長期金利は一時1.935%まで上昇し、2007年7月以来18年半ぶりの高水準となった。FXトレード市場では「高市政権になったが故に日銀はもはや利上げできない」と言われているようだが、実際はさにあらず。そういうのは思い込みの域を出ない勝手な予想だと私は考える。
12月1日に名古屋市内で開かれた金融経済懇談会で植田総裁は講演し12月の金融会合で「利上げの是非について適切に判断したい」とはっきり述べた。利上げの意思がなければわざわざこうした発言はしない。かねてから彼が考えていた「利上げ再開」を実行するにあたっての地ならし宣言である。マーケット関係者の間で日銀が同会合で利上げに踏み切る可能性が高まったとの受け止めが広がり、債券が売られて金利が上昇する現象が継続している。
「金利上昇→株価下落」が基本だが、米利下げと金融正常化で逆の動き
「金利上昇→株価下落」は基本中の基本の方程式だが、12月4日の日経平均株価は1163円高となり、長期金利上昇の動きを歓迎。「金利上昇→株価上昇」である。その根幹にあるのはもちろん米国の金融政策だ。景気減速を示す経済指標の発表が相次いでおり、12月9日~10日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)において0.25%の追加利下げがなされる可能性が高まっている。何度も言うが世界の株式市場の方向性を決めるのは米国の金融政策である。もちろん、日本の株式市場においても米連邦準備理事会(FRB)が圧倒的な支配力を持っており、日銀の影響力は小さい。とは言え、日本の利上げ自体も本質的にプラス要因だ。決してマイナス要因ではない。ここを理解していないと、冒頭のような疑問を抱いてしまう。
今のインフレ時代において単なる数字上の名目金利だけ見ていても何の役にも立たない。物価上昇率を考慮した実質金利を見る必要がある。そうすると、先進国の中で突出したマイナス金利となっているのは日本だけだ。欧米諸国はすべてプラス金利である。
日本の実質金利はマイナス2.5%。1.5%利上げしても金融緩和は変わらず
日本の実質金利はマイナス2.5%。インフレ時代にも関わらずデフレ政策をまだ継続しているということであり、この状況を放置するとインフレを助長し経済にとってブレーキとなる。米国のベッセント財務長官は2024年8月に日本の金融政策は「ビハインド・ザ・カーブに陥っている」とすでに発言していたが、実体経済に対して中央銀行が後手に回るのは良くない。長期金利の上昇は「高市政権の積極財政政策が債券売りにつながっている」との説明もなされているが、金融政策がビハインドに陥っていることの弊害が大きい。利上げ再開は、すなわち金融正常化であり、すなわち経済活性化である。仮に今後1.5%の政策金利引き上げがあったとしても、日本においては金融引き締めにはならず、金融緩和状況のままである。
さて、中国政府の動きが一段とおかしくなっている。高市早苗首相が11月7日の国会答弁で台湾有事を「日本の存立危機事態」と述べたことをきっかけに中国が激しく反発。薛剣(せつけん)駐大阪総領事による「その汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやる」とのSNS「X」への高市氏に対する斬首投稿にとどまらず、中国外交部の「日本に痛撃を加える」「頭を割られて血だらけになる」というテロリストのような言動。「良き隣国」は世を忍ぶ仮の姿であり、およそ国家とは思えぬヒステリックな絶叫を繰り出している。
過激さを増す中国。米国は台湾保障実施法案に署名し、遠のく台湾有事
高市首相が台湾発言を撤回するように呼び掛けているが梨のつぶて。嫌がらせ目的で発表した日本への渡航自粛政策。「日本への打撃ではなく、中国への打撃が大きい」とすでに私は述べた。日本における中国人インバウンドは中国資本の企業が受け皿となる「一条龍モデル」ができており、日本にはあまりお金が落ちていない。日本経済へのダメージは限定的で、むしろオーバーツーリズム緩和メリットの方が歓迎されている。また、水産物輸入禁止の発動で中国人が美味しい日本産の食材が手に入らなくなった現実。恫喝して経済制裁を加えれば「日本は中国に従う」という浅はかで幼稚な考えしか中国政府は持ち合わせていない。米国は台湾保証実施法案を可決しトランプ大統領が署名。中国は台湾に対して何もできなくなり、台湾有事は遠のいた。
だからエスカレートして「沖縄は日本ではない」と言い、挙句の果てには「サンフランシスコ平和条約は不法かつ無効」と言い出す始末である。自国民に対して捻じ曲がった偽りの歴史を熱心に刷り込んでいる弊害が噴出した結果なのだろうか。ことごとく誤った歴史認識であり、それを世界に平然と発信する無知・無能ぶりは世界中から嘲笑されている。中国通によると、過激な反日行動の指示は習近平国家主席から直接出ているとのことだ。だから、政府関係者も逆らうことができない。「でっち上げでも何でもとにかく、習主席の意向に背けば自分の立場が悪くなり粛清されるとの恐怖に怯えながら反日発信をしている」と。
中国は債務返済を優先し投資や消費を抑える「バランスシート不況」に
中国は経済政策を2つ誤った。ひとつがゼロ・コロナ政策を徹底し過ぎて経済が委縮しコロナ禍後も回復していない点。そして、過剰な不動産開発に行き詰まり融資の焦げ付きで資金が回らなくなっていることだ。企業も家計も債務返済を優先して投資や消費を抑える「バランスシート不況」に陥っている。大学を卒業しても就職先が見つからない若者たち。デフレで中国の長期金利はどんどん低下して日本の長期金利を下回るという現象すら出ている。中国発の統計データはほとんどが水増しされ客観的に信用できないものばかりだが、長期金利は真実である。
世界的な信用を落としてまでも、自国民の不満をそらすために国内外に向けてプロパガンダをせざるを得ない状況に追い詰められている中国。これが独裁国家の末路ではないだろうか。習近平氏は4期目の国家主席を狙っているようだが、おそらく失脚するところまで暴走するのではないか。これが私の予想である。
調整もはねのけ、推奨ポートフォリオは設定来+137.6%と最高値を更新
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」。おかげさまで快進撃を続けており、連日で最高値を更新している。2021年10月のサービスを始めて以来5年目に突入し、12月4日時点での累計パフォーマンスは+137.6%と最高値を更新。昨年来+85.9%、年初来+40.8%といずれの期間でも主要なマーケット指標を圧倒している。マーケット分析力と個別銘柄選択力で「市場に打ち克つ」を実践している成果が大きく出ているものと自負している。2025年の目標+100%を7月に突破。現在の目標として+150%を掲げているが、早々にも達成しそうな勢いだ。
「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較
「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスであり、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加え、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。WebセミナーではFRBや日銀の金融政策、日米の景気動向、あるいは最近ではトランプ関税政策といったホットな話題を取り上げながら現状の投資戦略や株価上昇が期待できる個別銘柄、さらには参加者からのすべての質問に答えるQ&Aコーナーを設けて毎回2時間半ものロングランで行っている。毎回300名を超える参加者で盛り上がり、投資のヒントが満載である。
12月17日開催のWebセミナーに参加し、2026年の投資戦略を練ろう
11月12日(水)20時より開催したWebセミナーのテーマは『高市政権が本格スタート、現実味を帯びる日経平均7万円達成シナリオ』。株式市場は上昇しているのに資産運用がうまくいっていない個人投資家が多いとの印象を受ける。「どういうすれば資産運用がうまくいくのか」を知りたい方々に多くご参加いただいた。すでにセミナーの録画動画を会員ページのアーカイブに公開済みである。
次回のWebセミナー開催は12月17日(水)20時から行う。テーマは『米国利下げ vs 日本利上げはベストシナリオ、遠のいた台湾有事』を予定。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加可能である。毎回参加者は300名を超えるビッグイベントとなっており、奮ってご参加願いたい。
スペシャル講義は投資スキルを身につける場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家にとって必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態などについて詳しく解説している。ぜひ参考にしていただきたい。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。
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