「勝者のゲーム」と資産運用入門

家計の金融資産は現預金比率が低下。
日銀の利上げはリスク資産に恩恵をもたらす太田忠の勝者のポートフォリオ 第220回

2025年12月23日公開
太田 忠
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インフレ率3%が続くと、100万円の価値は10年後に74万円に目減り

 現在のインフレ率3%が続くと、あなたが今持っている100万円はどうなる?

 皆さんに簡単な質問をしてみよう。コロナ禍による急激な生産活動の縮小とその後の復活で世界経済の需要と供給のバランスが崩れた。その影響を受けて極端なインフレが起こり、これまでデフレであった日本も余波を受けてインフレ時代に突入した。日本の現在の物価上昇率は3%。「時間が経てば、インフレは解決するだろう」というのは楽観的過ぎる考え方であり、もはやデフレの時代は戻って来ないというのが私の見方だ。一見、不都合に見えるかもしれないが、日本経済にとってようやくまともな状態になったと考えている。

 冒頭の答えだが、今あなたが持っている100万円は3年後には91万円に目減りし、5年後には86万円、そして10年後には74万円の価値にまで減ってしまう。デフレ時代はモノやサービスの価格が下がっていくので100万円は年々その価値が増えていったが、今は逆の現象が起こっている。だから、「貯金が趣味」という人にとっては3%のインフレ時代は貯金しながら貯金を減らしていることになる。モノやサービスの価格がどんどん上がっていることを日々実感していると思うが、現金の価値はその影響を強烈に受けて目減りしている。

9月末の金融資産残高は株式317兆円、投資信託153兆円と過去最高を更新

 日銀が12月17日に発表した2025年7~9月期の資金循環統計。9月末時点で家計の金融資産残高は2286兆円と2四半期連続で過去最高となった。1年前に比べて4.9%増となり伸び率は25年4~6月期の1.1%増から拡大した。金融資産の主な内訳は現預金1122兆円(構成比49.1%)、保険・年金が575兆円(25.1%)、株式等317兆円(13.9%)、投資信託153兆円(6.7%)だ。

 現預金1122兆円の伸び率は1年前に比べて0.5%増となったものの、家計資産に占める割合は49.1%となり2007年9月末以来の50%割れである。インフレ時代を反映して、現預金のまま放置しておくと実質的な価値が目減りするため、株式や投資信託などのリスク資産に現預金を回して資産を増やそうとする機運が高まっている。株式は19.3%増の317兆円、投資信託は21.1%増の153兆円といずれも過去最高を大きく更新した。

 新NISA(少額投資非課税制度)の普及も追い風である。旧NISAを含めた口座数は2025年6月末時点で2696万口座となり、2024年にスタートした新NISA時代に入って571万口座増加して伸び率は27%。累計投資額は63.1兆円で新NISA時代に入って27.8兆円増加し伸び率は実に79%だ。1口座あたりの平均買い付け額は234万円となっている。国民の4人に1人がNISA口座を持つ計算になるが、「まだまだ少ないな」というのが私の印象だ。そうしたところへ新たなニュースが飛び込んだ。『18歳未満の新NISAがスタート、積立投資枠600万円』というのがそれだ。

「つみたて投資枠」を18歳未満にも解禁し、NISAの口座普及を狙う

 従来はジュニアNISAという制度があったが新NISAになって子供枠が廃止。それではいかん、ということで新たな制度がスタートする。投資信託を定期的に積み立てる「つみたて投資枠」を18歳未満にも解禁。年間60万円まで投資できて総額は600万円までとする方針だ。運用によって増えた資金を学費などに使えるようにし子育て費用を手当てしやすくするのが目的だ。早ければ2027年にも始まる見込みである。私たちが活用している18歳以上のつみたて投資枠の年間上限は120万円で総額600万円、さらに個別株に投資できる「成長投資枠」の年間上限が240万円で総額1200万円。合計で1800万円の上限だが、18歳未満はつみたて投資枠のみ解禁される形である。積み立て分は12歳以上にならないと引き出せない仕組み。親世代が勝手に使ってしまうことを防ぐためだそうだ。政府は2027年末までに3400万口座の開設を目標を掲げているが、達成のためには口座開設率の低い若年層の普及がカギとなっていた。

 家計の金融資産の話に戻ろう。国際比較した場合、日本の家計はリスク資産の比率が極めて小さく資産運用の恩恵を受けていない。米国では金融資産の約5割を株式や投信が占めており、現預金は1割程度にとどまっている。欧州も株式・投信が3割、現預金も3割だ。だが、日本では現預金の比率が5割近くを占め、株式・投信は2割にすぎない。インフレが定着する中、日本の家計には資産配分を見直す余地がある。インフレで株価が上昇する傾向が強まる時代においては、投資をしているか否かで家計の格差が広がるのは明白だ。

資産運用は長期になればなるほど成果が上がる。早く始めることが肝要

 さて、今の株式市場は金融相場である。米連邦準備理事会(FRB)は2024年9月に利下げを開始。2024年は3回の利下げで政策金利を1.00%引き下げた。2025年に入ってからはパウエル議長が慎重姿勢を示していたため据え置きを続いていたが、2025年9月に再利下げをスタート。直近開催の12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を含めて3回の利下げで政策金利を0.75%引き下げた。これでピークだった5.50%から1.75%もの利下げをしたことになり中立金利の3.0%の水準に向かって金融緩和がなされている。注意して見ていただくとお分かりになると思うが、2024年9月以降の世界の株式市場の上昇力は大きく加速している。

 一方、日銀は利上げの真っ最中だ。12月の金融政策決定会合で0.25%の利上げを発表し、政策金利を0.75%に引き上げた。1995年以来30年ぶりの水準だが、実質金利はいまだにマイナス2.25%だ。デフレ時代の金融政策を続けるデメリットは、過去のコラムで申し上げてきた通りである。金融正常化に向けて日本が舵を切ったことで経済も株式市場も活性化する。日本の利上げは決してネガティブなものではなくポジティブである。このあたりを理解していないと投資に対して不安を感じたり、二の足を踏んだりすることになる。

 新NISA口座を開設していない、あるいは口座は持っているものの投資を始めていない読者も多いと思うが、できるだけ早く資産運用をスタートしていただきたい。時間を味方につけ、長期になればなるほど成果が上がる。何もしないのは貴重な時間を無為に過ごしているのと同じである。

推奨ポートフォリオの設定来戦績は+140%。次の目標150%達成は目前

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」。おかげさまで快進撃を続けており、連日での最高値更新となっている。2021年10月のサービス開始以来5年目に突入したが、12月15日時点での累計パフォーマンスは+140.0%と最高値を更新。昨年来+87.8%、年初来+42.2%といずれの期間でもマーケット指標を圧倒している。マーケット分析力と個別銘柄選択力で「市場に打ち克つ」を実践している成果が大きく出ているものと自負している。2025年の目標+100%を7月に突破。次の目標として+150%を掲げているが、早々にも達成しそうな勢いだ。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較

 「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスであり、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加えて、毎月恒例のWebセミナーの開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。WebセミナーではFRBや日銀の金融政策、日米の景気動向、あるいは最近ではトランプ関税政策といったホットな話題を取り上げながら現状の投資戦略や株価上昇が期待できる個別銘柄の話、さらには参加者からのすべての質問に答えるQ&Aコーナーを設けて毎回2時間ものロングランとなっている。毎回300名を超える参加者で盛り上がり、投資のヒントが満載である。

12月セミナーを録画で学び、1月セミナーに参加し2026年の戦略を練ろう

 12月17日(水)20時より開催したWebセミナーのテーマは『米国利下げ vs 日本利上げはベストシナリオ、遠のいた台湾有事』。株式市場は上昇しているのに、資産運用がうまくいっていない個人投資家が多いとの印象を受ける。「どうすれば資産運用がうまくいくのか」を知りたい方々にもたくさんご参加いただいた。すでにセミナー動画は会員ページのアーカイブに公開済みである。

 次回のWebセミナー開催は1月14日(水)20時から行う。テーマは決まり次第、皆さまにお知らせしたい。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加可能だ。参加者が毎回300名を超えるビッグイベントとなっており、奮ってご参加願いたい。

 また、スペシャル講義は投資スキルを身につける場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家にとって必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態などを詳しく解説。ぜひとも参考にしていただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

 

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