「勝者のゲーム」と資産運用入門

FRBは予想通り3会合連続の利下げを決定。
金融相場では景気悪化はすべてグッドニュースになる太田忠の勝者のポートフォリオ 第219回

2025年12月16日公開
太田 忠
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12月開催のFOMCで0.25%利下げし、NYダウとS&P500が最高値を更新

 NYダウは1カ月ぶり、S&P500は1ヶ月半ぶりに最高値を更新―。

 12月11日の米国市場。NYダウは646ドル高の4万8704ドルとなり11月12日の最高値4万8254ドルを更新、そしてS&P500も14ポイント上昇の6901ポイントと10月28日の最高値6890ポイントを更新した。年の瀬らしい年末ラリーを感じるマーケットの雰囲気になってきている。

 株価上昇の背景はもちろん、前日の12月10日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策である。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は3会合連続となる0.25%の利下げを実施。一時は「利下げは遠のいた」との思惑でマーケットは売られ、11月20日にはNYダウが4万5752ドル、S&P500が6538ポイントまで売られていたが、その後の相次ぐ経済指標の悪化を受けて市場参加者の政策金利予想であるフェドウオッチの12月FOMCの利下げ確率が40%台から一気に90%台にまで高まっていたことが正しかったと証明された。

株価上昇する金融相場だが、一般常識が通じず儲け損ねる投資家が多い

 私が株式投資の羅針盤としているマーケットサイクル。「金融相場」→「業績相場」→「逆金融相場」→「逆業績相場」の順でグルグル回転しつつ株式市場は動いていく。今は金融相場だ。この金融相場というのは4つの局面のうち株価が最も上昇する局面であり、最もテンバガーが誕生しやすい相場だ。すなわち、投資家にとっては投資の恩恵を一番享受できる相場と言える。だが、一般常識が通じない相場でもあり、多くの個人投資家たちが儲け損ねる相場でもある。

 今回のコラムテーマは「景気悪化はすべてグッドニュースになる」だが、このタイトルを見た大半の人は「何を言っているんだ」「単に奇をてらったコラムだろう」との感想を心中抱くに違いない。だが、これが「勝ち組投資家」と「負け組投資家」を見分けるリトマス試験紙の役目を果たすことになるのだ。パウエル議長が利下げに慎重な姿勢だったにも関わらず、12月のFOMCで3会合連続の利下げを決めた要因は、ひとえに「景気悪化」のニュースが11月下旬から連発したことに他ならない。以下に米国で発表された経済指標を列挙してみよう。

米国で景気悪化を示す経済指標連発。金融相場では景気悪化で株価が上昇

・ 9月小売売上高:前月比+0.2%(予想+0.3%) 
・ 9月PPI(卸売物価指数)コア指数:前月比+0.1%(予想+0.2%)
・ 11月消費者信頼感指数:88.7(予想93.2)
・ 11月PMI(購買担当者景気指数):36.3(予想45.5)
・ 11月製造業景況感指数:48.2(予想48.8)
・ 11月全米雇用リポート:-3.2万人(予想+4万人)

 お分かりの通り見事に予想を下回り景気悪化を示す内容となっている。メディアや市場関係者のマーケット解説は判で押したように「景気悪化が懸念材料」「景気悪化で株式市場は下落する可能性」がお決まりのパターンだが、こと「金融相場」においては正反対の解釈が必要だ。「業績相場」「逆金融相場」「逆業績相場」では「景気悪化→株価下落」となるが、金融相場では「景気悪化→金融緩和→株価上昇」の公式が成り立つ。私が繰り返し言うように、株式市場にとって最も大事なのは景気や企業業績ではなく、中央銀行の金融政策である。景気悪化や企業業績悪化よりも金融緩和の方が株式市場に大きな影響を与え、株価上昇の原動力となる。

現状の政策金利は3.5~3.75%。中立金利3%に向けて今後も利下げ継続

 3カ月ごとに更新されるFOMC参加者の今後の各種見通しを示すドットチャート。12月のFOMCで、興味深い新たな予想が示された。利下げ回数、経済成長率、物価上昇率の3項目は下記のようになった。なお、カッコ内の値は前回9月時点での予想値である。

・利下げ回数:2026年1回(1回)、2027年1回(1回)
・経済成長率:2026年2.3%(1.8%)、2027年2.0%(1.9%)
・物価上昇率:2026年2.4%(2.6%)、2027年2.1%(2.1%)

 利下げ回数は前回から変わらない。2026年、2027年ともに1回ずつだ。2024年に3回、2025年にも3回の利下げというペースからすれば鈍化するが、利下げは継続する。すなわち、金融緩和が続き、金融相場も続く。今の中立金利は3%程度であり、現状の政策金利3.5%~3.75%の水準から考えると、景気にとって適温となる中立金利に向かって利下げが継続することになる。

米の経済成長率引き上げと物価上昇率引き下げ見通しは金融相場に追い風

 特筆すべきは経済成長率と物価上昇率の見通しだ。経済成長率は2026年、2027年とも引き上げられた一方、物価上昇率は2026年が引き下げられた。経済成長率が上がり、物価上昇率が下がるのは株式市場はもちろん、債券市場にもプラスになる。このシナリオが実現すれば中立金利への舵取りがしやすくなる。

 今後の注目点はFRB議長の後任人事だ。パウエル議長の任期は2026年5月まで。トランプ大統領は自分の思い通りに利下げしないパウエル議長を辞めさせたかった。「遅すぎる男、ジェローム!」と何度もSNSで投稿し、2度の解任騒動を起こしたのは皆さんもご存知の通りである。現時点で最有力視されているのが、米国家経済会議(NEC)で委員長を務めるケビン・ハセット氏だ。トランプ氏の側近であり、年明け早々にも指名される公算が大きい。ハセット氏は利下げ推進派であり、パウエル議長よりも迅速かつ柔軟に金融政策を行うことが期待される。金融相場にとっては追い風が吹く。

 最後になるが、12月19日(金)に公表される日銀の金融政策決定会合。「高市首相の下では、利上げできない」などという声も多かったようだが、ようやく追加利上げに踏み切る模様だ。既に債券市場ではそれを織り込みつつ金利が上昇している。前回のコラム『日銀の再利上げを歓迎する日本の株式市場、誤った歴史認識でますます暴走する中国』で詳しく説明したように、日銀の利上げは日本の株式市場や日本経済にとってプラスである。本格的な金融相場を迎える中、好条件が次々と揃ってきていることを実感している。皆さんはいかがだろうか?

テンバガー(10倍株)誕生など市場指標を圧倒するパフォーマンスを達成

 さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」。おかげさまで快進撃を続けており、連日での最高値更新となっている。2021年10月にサービスを開始して5年目に突入したが、12月9日時点での累計パフォーマンスは+139.2%と最高値を更新。昨年来+87.1%、年初来+41.7%といずれの期間でもマーケット指標を圧倒している。マーケット分析力と個別銘柄選択力で「市場に打ち克つ」を実践している成果が大きく出ているものと自負している。2025年の目標+100%を7月に突破。次に掲げる目標+150%を早々に達成しそうな勢いだ。

「勝者のポートフォリオ」の設定来パフォーマンスの推移と主要指数との比較

  「勝者のポートフォリオ」は日本株を中心とした個人投資家向けの投資助言サービスで、毎週のマーケット解説・投資戦略のメルマガ配信に加えて、毎月恒例のWebセミナー開催とスキルアップを目的とするスペシャル講義を提供している。

 WebセミナーではFRBや日銀の金融政策、日米の景気動向、あるいは最近ではトランプ関税政策といったホットな話題を取り上げながら現状の投資戦略や今後株価上昇が期待できる個別銘柄の話、さらには参加者のすべての質問に答えるQ&Aコーナーを設けて毎回2時間半ものロングランとなっている。毎回300名を超える参加者で盛り上がり、投資のヒントが満載である。

年末ラリーに向かう中、12月17日のセミナーに参加して投資戦略を練ろう

 11月12日(水)20時より開催したWebセミナーのテーマは『高市政権が本格スタート、現実味を帯びる日経平均7万円達成シナリオ』。株式市場は上昇しているのに資産運用がうまくいっていない個人投資家が多いとの印象を受ける。「どうすれば資産運用がうまくいくのか」を知りたい方々に数多くご参加いただいた。すでにセミナーの録画動画は会員ページのアーカイブに公開済みである。

 次回のWebセミナーは12月17日(水)20時から開催する。テーマは『米国利下げ vs 日本利上げはベストシナリオ、遠のいた台湾有事』を予定。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能である。毎回参加者は300名を超えるビッグイベントとなっており、奮ってご参加願いたい。

 スペシャル講義は投資スキルを身につける場として62本もの講義動画をリリースしている。個人投資家にとって必須のリスク管理、運用力を上げるためのマーケットサイクル投資法、恐怖指数の活用、システマティックリスクの対処法、ヘッジファンドの実態などを詳しく解説している。ぜひとも参考にしていただきたい。

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供による「勝者のポートフォリオ」メルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。毎月、WEB生配信セミナーを開催。

 

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