日経平均株価は3カ月半ぶり、TOPIXは34年ぶりにダブルで最高値突破!
米国の独立記念日、そして私が10歳の誕生日(世間的に言えば還暦)を迎えた7月4日。日経平均株価は3月22日につけた最高値4万888円を抜いて4万913円に、TOPIXも1989年12月18日につけた最高値2884を抜いて2898となった。
「今年は辰年、私の年」「辰年は干支のベストパフォーマー」と今年の冒頭に申し上げたが、私にとって記念すべき日に日経平均とTOPIXがダブルで最高値となったのは象徴的だ。この後も、先週に入って日経平均は初の4万2000円台乗せ、TOPIXは2920ポイント乗せという連日でのダブル最高値を演じている。この背景には米国株がS&P500、ナスダック、SOX指数が揃って過去最高値を更新、海外投資家による日本株の再評価、企業の自社株買い、逆張り個人の投資行動の変化などの複合要因がある。全員参加型の上昇相場になってきている。
GPIFの2023年度の収益は45兆4153億円と過去最高を記録
さて、今回のテーマは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と我々の年金の行方についてである。日本の公的年金を運用するGPIFの2023年度の収益は45兆4153億円と過去最高を記録。資産別の収益では外国株式が19兆円、国内株式が19兆円、外国債券が7兆円のプラス。国内債券は1兆円のマイナス。国内外の株高が収益を押し上げ、円安進行で外貨建て資産の円ベースの評価額も増える一方、国内金利の上昇(債券価格は下落)が足を引っ張った形だ。
GPIFは将来世代のための年金積立金を運用している。高齢者への公的年金給付の財源は勤労者からの保険料収入と国庫負担で9割が賄われる。残りの1割が年金積立金から得られる財源である。年金財政における補完的な役割の位置づけだが、運用収益の積み上がりは年金財政基盤の安定につながる。厚生労働省によると2019〜2023年度の5年間に積立金の収益は106兆円となり2019年想定の6倍にもなった。2024年3月末時点の積立金の残高は291兆円に達し、想定より70兆円上振れしている。
運用開始の2001年からの累積収益は153兆円。世界で一番稼ぐ年金基金に
GPIFは従来、安全重視で国内債券を中心とした資産配分で運用を行ってきた。だが、国債利回りが極端に低下したため「年金財政上十分な運用利回りを確保できない」との結論を下し、アセットアロケーションを「国内株式、外国株式、国内債券、外国債券に25%ずつ均等に投資する」とのスタイルに改めた。これが奏功して大きなリターンを叩き出せるようになった。
世界の年金基金におけるGPIFの地位は堂々の第1位である。2番手がノルウェーのGovernment Pension Fund(政府年金基金)、3番手が韓国のNational Pension(国民年金公団)である。2023年度末のGPIFの運用金額は246兆円で年間リターンは45兆円。年率で23%ものリターンを出して45兆円もの大金を稼いでいる年金基金は他にない。世界で一番稼ぐ年金基金、それが日本のGPIFである。2001年からスタートした運用の累積収益は153兆円に達している。もの凄い金額だ。
GPIFの運用成績が好調でも、年金給付額が上乗せされない理由とは?
好調な積立金運用は年金の財政状況にもちろんプラスに働くが、運用成績が良いからと言って、ただちに給付される年金に上乗せされるわけではない。国民全員が加入する国民年金と会社員らが入る厚生年金は、毎年の年金額の伸びを賃金・物価の伸びよりも低く抑える「マクロ経済スライド」という仕組みがある。少子高齢化で保険料を納める現役世代が減り、年金を受け取る世代が増えることへの対策だ。この抑制措置は年金財政が将来にわたって安定する見通しが立つまで続く。
厚生労働省は7月3日、年金財政を点検する財政検証の結果を公表した。私たちが将来、国から受け取る年金。その年金制度が将来も持続可能かどうかを5年に1度点検しているが、最新の予想シナリオが公表された。結果を見た私の感想を一言で述べると「無残やな」だ。
ひょっとしてひょっとすると、皆さん期待していました? 「将来、どんどん受け取る年金が増えると思っています」という人はいないと思うが、やはりその通り。年金は増えるどころか減る。年金は、減ります、減ります、減りまーす。税金は、増えます、増えます、増えまーす。「どうして、こんな矛盾することが起こるんでしょうか、太田先生」「自民党員は裏金作りの脱税でガッポリ、国民は税金が増えて年金は減るんですよ」。まるで罰ゲームですな、こりゃ。
政府シナリオによると、経済成長如何に関わらず、年金給付の減額は確定
これから年金をもらう高齢者は激増、一方、財源となる保険料を払う現役世代はどんどん減る。年金の給付水準は下がるしかない。では、どこまで下がるのか? 経済成長に応じて4つのシナリオが示されているが、以下の通りである。感想も付け加えた評価を記す。
①マイナス成長(-0.7%)のケース:今の給付水準に対して年金は4割減。岸田総理、私に「死ね」と言うんですか? 年金を納めてきたのに4割減。詐欺師やん!
②横ばい成長:今の給付水準に対して年金2割減。2割も減る? なんじゃそれは。
③成長シナリオ(1.1%):今の給付水準に対して年金6%減。成長しても減る? 何でやねん!
④高成長シナリオ(1.6%):今の給付水準に対して年金7%減。ウッソー。成長率は増えているのに年金がさらに減るって…。赤塚不二夫氏のギャグ漫画やないで。
日本政府はかように申しておりますが、皆さん、これでいいですか? というか、太田予想では上記の試算よりもっと減ると思う。働いている人が毎月納めている年金保険料は、将来の自分のために充てられることはなく、今受け取る人たちに充てられている。いびつな人口構成の下、支払い手と受け取り手が順送りの年金システムでは、当然こうなる。
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●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
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