謹賀新年!資産形成の強い味方となる「新NISA」が1月からスタート
いよいよ日本でも保守的な国民に本格的な資産運用を促す「新NISA」がスタートした。従来の少額投資非課税制度(NISA)は投資期限が決められ、投資枠も小さく、さらに運用資金のロールオーバーなども煩雑な硬直的な仕組みだった。はっきり言って「使えない!」と思われていた方々も多かったのではないか? 私もその一人で、結局初年度だけ利用したものの2年目以降は全く使わなくなった。
ところが、政府が2023年6月にまとめた『骨太の方針』で「資産運用立国」を目指すと宣言し、その中核的位置づけとして新NISAの枠組みが提供されることとなった。今、証券会社や資産運用会社、メディア、本、雑誌に至るまで新NISAの話題で持ちきりだ。ネット証券大手5社(SBI、楽天、マネックス、松井、auカブコム)の調べによると、2023年12月20日の時点で新NISAの積み立て投資の予約額は月間2300億円にも上ると報じられている。
夫婦なら3600万円を非課税運用。上手く活用すれば老後資金問題も解決
新NISAは従来NISAとは全くの別物である。18歳以上なら誰でも新たに1人1口座を開設できる。新NISAを一言でいえば「生涯無期限で、1800万円の投資元本を、非課税で運用できる」制度である。投資信託に投資する「つみたて投資枠」と主に個別銘柄に投資する「成長投資枠」をダブルで活用することができる。従来は窮屈な選択制であった。とにかく、1人あたり1800万円、夫婦なら3600万円まで投資することができて、キャピタルゲイン(値上がり益)もインカムゲイン(配当)も生涯非課税で運用できれば、「老後に2000万円資金が足りない!」という問題は解決される。
日銀が発表した最新のデータによると、2023年9月末時点の家計の金融資産は2121兆円(前年同期比5.0%増)となり、4四半期連続で過去最高を更新した。その内訳を見ると、現預金が52.5%と過半を占め、次いで保険・年金が25.4%。株式は12.9%、投資信託は4.8%だった。投資に関する割合は小さいものの、株式の保有残高は273兆円(同30.4%増)、投信は101兆円(同17.4%増)であり、金融資産の増加の原動力となっている。もちろんこれは世界的な株高を反映してのことだ。
念願のデフレから脱却しつつある日本。現預金の価値が目減りする時代に
とは言え、2121兆円のうち1113兆円はほぼゼロ金利の預貯金のままである。金融資産に占める現預金の比率は米国が12.5%、ユーロ圏は35.5%。日本は52.5%。欧米に比べるとまだまだ現預金偏重となっており、株高の果実(=経済成長の果実)を受けていない国民の姿が浮かび上がる。いや、昨今のインフレ時代においては現預金の価値は物価高で目減りしている。「日本もようやく構造的デフレから脱却した」と喜ぶべき環境において、何も生まない現預金のデメリットを痛感させられるばかりだ。
実際、日米比較で金融資産の状況を見ると一目瞭然である。日本の2121兆円に対して、米国の金融資産は112.4兆ドル(日本円換算で1.57京円、ドル円は140円と想定)と日本の7.4倍の規模。その内訳は株式・投信が52.4%、保険・年金が28.3%、現預金が12.2%となっている。はっきり言って、リスク資産と無リスク資産の比率が日本とは真逆だ。2000年からの金融資産の伸び率は米国が3.2倍に対して、日本は1.5倍と半分以下に留まっており大差である。
「お金ないから投資できない」は言い訳。今、少額から始めることが大事
投資にはもちろんリスクがつきものだ。運用資産は経済や市況により変動する。しかしながら、長期投資の成果は大きく、投資期間を長く取れば取るほど運用成果が安定し、経済や企業の成長の果実を享受することができる。2000年からと言えば、あの「100年に1度」と言われた忌まわしきリーマン・ショックによる暴落があり、チャイナ・ショックやコロナ・ショックも含まれている。だが、そうした市場の急落を乗り越えて、長期投資家に恩恵を与えてくれる。
「今、お金がないから投資できないです」とか「いつかやりたいと思います」などと言う人がよくいるが、こういう人は10年経っても資産運用に取り組んでいない。「お金がないから」や「いつか」ではなく、「今、少額から」やることが大事だ。習慣化すればどんどん良い方向に進むのが投資である。一歩踏み出すか、踏み出さないか…。答えは簡単だ。踏み出さなければ永遠に「取り残された人」になってしまう。
9年前の株価と比べてNYダウも日経平均も約2倍。これぞ長期投資の成果
私がパーソナリティーを務めるFM軽井沢の『軽井沢発!太田忠の経済・金融“縦横無尽”』。この12月に放送10年目に突入した。毎週土曜日に生放送しているが(再放送は日曜日、ポッドキャストでも視聴可能)、経済・金融・資産運用のホットな話題を取り上げて太田流の解説をしている。9年前の2014年12月、番組スタート当時のNYダウは1万7900ドル、日経平均は1万7900円だった。両者ピッタリ同じ数字だ。今やNYダウは3万7600ドル、日経平均は3万3400円。ほぼ2倍となった。私の番組を昔からお聴きのリスナーの運用資産は大きく増えたと思うが、私自身もマーケット以上に多大なる恩恵を受けている。これぞ長期投資の成果である。
私は来年還暦を迎えるが、同年代を見渡すとあまりにも大きな差があり過ぎて、正直かなりの驚きと戸惑いを覚える。皆さまにはお金に苦労する老後だけは避けていただきたいと思う。惨めである。そうならないためにも使い勝手が格段に良くなった新NISAをバッチリ活用していただきたいと真摯に思っている。
1月4日開催の新春WEBセミナーに参加し、激動の2024年を乗り越えよう
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言をおこなっている「勝者のポートフォリオ」。新たな講義動画として太田流「新NISA活用法」のスペシャル講義がスタートした。新NISAは本格的な個人の資産形成にとても有力な枠組みであり、活用しない手はない。第1弾として「何に投資をして、どう資産配分すればいいの?」という投資初心者からの要望にも分かりやすく解説させていただいた。1月からは年代別、シチュエーション別の新NISA活用のシミュレーションの講義をおこなう予定だ。
そして、毎月恒例のWebセミナーを年明け大発会の1月4日(木)20時より開催する。テーマは『2024年のマーケット展望と投資戦略』。このコラムでは個別銘柄の話はできないが、セミナーでは今後大きな上昇が期待できる注目銘柄やテンバガー(10倍株)についても存分にお話する予定だ。会員限定だが10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加可能である。セミナー当日14時までのお申込み(15時URL配信)。資産運用で大きく躍進されたい方々の積極的なご参加をお待ちしている。なお、有料会員の方々は後日アーカイブでの視聴ならびにプレゼンテーションPDFもご覧いただけるので見逃さないでほしい。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案や銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。原則毎月第一水曜夜は、生配信セミナーを開催。
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