【1】今日の株式相場早わかり!
9日ぶりに急反発、米インフレ鈍化で利下げ期待
日経平均株価は9日ぶり大幅反発! 26日の米国市場では、NYダウが650ドルあまり上昇した。連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視する、6月の個人消費支出(PCE)価格指数が市場予想並みの伸びにとどまった。インフレ鈍化を受けて9月にも利下げが始まるとの見方が強まり、幅広い銘柄に買いが入った。週明けの日経平均株価もこうした流れを引き継ぎ、大幅上昇してスタート。先週末までの8日続落で3600円あまり下落していたこともあり、反発狙いの買いが入ったとみられ、前場には上げ幅を1000円超に広げる場面があった。決算発表銘柄では信越化学工業が大幅高となる一方、SCREENホールディングスは大幅安。また、エーザイは欧州当局がアルツハイマー病治療薬に対して否定的見解を示し、急落した。
相場の復調に期待したいところだが、今週も重要な米経済指標や企業決算の発表が相次ぐ上、日銀とFRBが金融政策決定会合を開催する。コラムコーナーで予定をしっかり把握した上で、結果を注視しよう。
【日経平均】38468.63円↑↑(+801.22円)
【グロース250】655.02↑↑(+12.11)
【NYダウ】40589.34ドル↑↑(+654.27ドル、26日)
【ナスダック】17357.882↑↑(+176.157、26日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
サイゼリヤが優待廃止、イオン九州は年1→2回に
今日は7月に発表された株主優待の変更を確認しよう。今回はサイゼリヤの廃止が話題となり、優待を利用しづらい海外投資家を中心に、配当などによる利益還元に集約するよう求める声が根強いことを改めて感じさせた。一方、より多くの個人投資家に株式を長期保有してもらうため、優待を拡充する動きも引き続き散見される。
サイゼリヤは10日、決算とともに優待廃止を発表。また、2024年8月期の期末配当予想を1株あたり18円から25円に増額した。従来は優待として年1回、100株保有で食事券2000円分を贈呈していた(保有株数に応じ増額、継続保有が条件)。配当の増額は優待を受け取れなくなった分を埋めきれず、翌11日の取引開始時には株価が急落する場面があった。もっとも、業績は市場の想定以上に好調とあって、株価は早々に発表前の水準を上回った。今後、利益成長とともに配当の更なる増加に期待したい。コスモス薬品は個人投資家の取引参加を促すべく、8月末基準で1→2株の分割を実施するが、同時に優待廃止も発表した。
一方、第四北越フィナンシャルグループは9月末基準で1→2株の分割を実施するとともに、分割後100株の区分を新設。1000円相当の新潟県内産品が受け取れる(1年以上の保有が条件)。株価が好反応を示したのはイオン九州で、優待券の贈呈回数を年1回から2回に変更した(従来選択できたネットポイントやイオンギフトカードは廃止)。100株保有時に受け取れる優待券は年1万円相当となる。グループ会社が運営する全国の「イオン」「マックスバリュ」などの店舗で利用できるため、九州以外の投資家も注目だ。
(ザイ優待アナリスト 小林大純)
■サイゼリヤ株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
乱高下か、日銀金融政策決定会合や企業決算に注目
先週の日経平均株価は-2396.38円(-5.98%)。週末まで8日続落となった。日銀の追加利上げへの警戒感に伴う急速な円高進行や、米アルファベットなどの期待に届かない決算を受けた株価下落を背景に大型ハイテク株を中心とした売りが続いた。
今週は日銀の金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。植田総裁はこれまでサプライズを避ける政策運営をしてきた。足元の弱い個人消費も踏まえると、今会合で国債買い入れ減額と同時に追加利上げを決定する可能性はどちらかといえば低い。一方、自民党政権幹部から異例の円安けん制発言が相次いでいることに加え、警戒感が高まる中で追加利上げがないと円安を助長する恐れなどを踏まえると、追加利上げの可能性はないと決め打ちはできない。予想通りに日銀は追加利上げなし、米連邦準備理事会(FRB)は利下げなしに終わっても、植田総裁が追加利上げに積極的な姿勢を見せ、パウエル議長が9月FOMCでの利下げに前向きな姿勢を見せれば、一段の円高・株安を招く可能性はある。
週末の米7月雇用統計も注目。雇用の緩やかな悪化は利下げ期待を高めるが、過度な悪化は景気悪化懸念を強めるため、予想並みの結果が期待される。日米の主要企業決算も重要だ。米国ではマイクロソフトやアマゾン・ドット・コムが決算を発表する。先週のアルファベットの決算からは期待のハードルの高さが窺えるため、予想を少しでも下回ると、足元のハイテク株の利益確定売りを強めかねない。相対的に出遅れ感のある中小型株に資金がシフトする「ローテーション」であれば心配ないが、全体的に売られる「リスク削減」の動きになると、売りが売りを呼ぶ展開になり得る。株式市場内での資金循環なのか、市場からの資金流出なのかを注意深く見極めていきたい。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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