2024年7月に新規上場した「IPO株」7銘柄のうち、アナリストの投資判断が“強気”の「フィットイージー」と「タイミー」に注目!
ダイヤモンド・ザイ10月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2024年7月に新規上場した「IPO株」全7銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。
今回は、その中でも小林さんが特に注目している2銘柄をピックアップして詳しく解説しているので、投資の参考にしてほしい!
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2024年7月に新規上場した「IPO株」は7銘柄!
中小型株に注目する動きが見られるも、利上げが重しに!
7月は7社が新規上場。公開価格に対する初値の騰落率平均は24%にとどまったが、全てがプラス。公開価格割れもあった6月に比べれば、まずまずの結果と言えるだろう。
なかでも注目されたのは、公募・売出規模が538億円に上る今年最大のIPOとなったタイミー(215A)。上場発表の当初から報道が相次ぎ、初値はプラス28%と健闘した。大型IPO特有の株式需給(売りと買いのバランス)面の懸念があったが、抜群の知名度で打ち返した。
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もっとも、初値後の株価はそろって軟調だ。7月中旬から株式相場全体が急落した影響が大きく「少なくとも9月までは、不透明な状況が続く」と、ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんは分析する。
「業績の先行きを見極める力が試されます。特に、主力となる製品がまだ研究開発の段階で赤字の企業は、こうした市場環境では評価されにくく、慎重に判断する必要があります」(小林さん)
他方で、海外投資家は日本の新興株や中小型株に食指を動かしている。たとえば、タイミーは公開株の海外配分比率が最終的に約75%まで引き上げられ、海外の機関投資家からの需要も旺盛だったとみられている。これまでの市場は日米ともに大型株主導だったが、“まだ皆が持っていないものを買う”という視点から、中小型株に資金が向かう可能性がある。
「実際に、6月後半から7月にかけて、中小型株が強い場面がありました。ただ、米国は利下げ、日本は利上げと金融政策の方向性が違うため、国内の中小型株は、米国ほどの追い風を期待できない、という見方もあります。そのプラス面とマイナス面がせめぎ合っている状態と言えるかもしれません」(小林さん)
(※株価などのデータは8月6日時点。8月は株価の乱高下が激しかったため、6日時点の株価と最新の株価が乖離している場合もある。投資する際には最新の株価を必ず確認してほしい)
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2024年7月に上場した【IPO株】7銘柄! |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (7/5) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
2日 | ◆PRISM BioLab(206A・東G) | |||||
450円 | 489円 (+8.7%) |
382円 | ー (5.94倍) |
670円 (300円) |
中立 | |
【分析コメント】細胞内のタンパク質を標的とする独自の技術を持ち、治療法がなかった病気向けの創薬が可能に。がん・肝硬変治療薬が第2相試験中だ。まだ赤字で開発の進展待ち。 | ||||||
18日 | ◆カドス・コーポレーション(211A・東S) | |||||
2900円 | 3210円 (+10.7%) |
1815円 | 4.8倍 (0.56倍) |
3500円 (1500円) |
強気 | |
【分析コメント】山口・広島を中心に流通店舗の設計施工。土地を活用したいオーナーにテナント企業を引き合わせてトータルプロデュース。福岡や岡山に展開を図る。高配当が魅力。 | ||||||
23日 | ◆フィットイージー(212A・東S) | |||||
990円 | 1213円 (+22.5%) |
823円 | 14.0倍 (7.84倍) |
1300円 (700円) |
強気 | |
【分析コメント】“アミューズメント型”という特徴的なフィットネスクラブを運営し、たびたびメディアにも登場。公募・売出規模は約50億円とやや大きめだったが初値は健闘した。 | ||||||
26日 | ◆タイミー(215A・東G) | |||||
1450円 | 1850円 (+27.6%) |
1450円 | 61.2倍 (19.26倍) |
2200円 (1100円) |
強気 | |
【分析コメント】上場時の時価総額が1300億円超(公開価格ベース)、公募・売出規模も538億円に上った今年最大のIPO。注目度も抜群に高く、買い需要を集めて堅調な出足に。 | ||||||
29日 | ◆Liberaware(218A・東G) | |||||
310円 | 454円 (+46.5%) |
357円 | ー (12.23倍) |
460円 (280円) |
中立 | |
【分析コメント】屋内点検用の小型ドローンと解析ソフトを開発。大企業を中心に260社超の取引実績を持つ。24年7月期は赤字の見込みだが、第3四半期は大幅増収で営業黒字化。 | ||||||
30日 | ◆Heartseed(219A・東G) | |||||
1160円 | 1548円 (+33.4%) |
1150円 | ー (5.58倍) |
1700円 (800円) |
中立 | |
【分析コメント】再生医療製品を開発。心不全患者にiPS細胞由来の心筋球を移植する治療は世界初の試み。国内治験中で早期承認制度を活用し市場投入を目指す。実用化までは要時間。 | ||||||
31日 | ◆Faber Company(220A・東S) | |||||
1000円 | 1190円 (+19.0%) |
703円 | 9.4倍 (1.11倍) |
1200円 (650円) |
中立 | |
【分析コメント】一次診療から高度医療まで対応可能な動物病院を33拠点運営。ペット医療市場は緩やかに拡大している。年5~20拠点増やす方針で、成長加速も期待できそう。 | ||||||
※データは2024年8月6日時点。 |
7月のIPO株の中で、アナリストおすすめの2銘柄を紹介!
「フィットイージー」と「タイミー」に注目!
ここからは、7月のIPO株の中で小林さんが特に注目する2銘柄を深掘りしていこう。
一つ目の銘柄は、新タイプのフィットネスで急成長するフィットイージー(212A)だ。
すでに競合の多いフィットネスクラブ市場だが、フィットイージーはアミューズメント要素を取り入れて支持を獲得。店舗ではサウナやエステ、ゴルフなども楽しめる。創業6年で東海地方を中心に全国158店舗、会員数12万人超(※5月末時点)と順調に拡大している。
初値後の株価は、公開価格を割り込むまで下落する場面も。公募・売出規模が大きめのため、市場環境の悪化で換金売りが出やすかった。ただ、PER水準は同業内の下位グループまで低下し、足元の成長ペースに対して売られ過ぎと言える。
フィットイージーの社長は会見で、来期から再来期にかけて50~60店舗超を出店すると表明。市場では東海地方以外での浸透は時間がかかるとの見方もあるが、上場による知名度向上などがプラスに働けば、上ブレ余地がありそうだ。
続いて紹介する銘柄は、”スキマバイト“サービスの先駆者であるタイミー(215A)だ。
タイミーは空き時間にすぐ働けるスキマバイトのマッチングサービスを提供。働き方の多様化や労働力不足で急拡大するスポットワーク市場を開拓する。登録ワーカー数770万人、登録事業所数25万拠点(※4月末時点)で、今後も拡大していきそうだ。
2024年10月期予想ベースではPER水準が高く、利上げ懸念がくすぶる中でネックに。上場前株主の一部は、上場日後180日経過でロックアップ(売却制限)が解除される点にも注意。市場の落ち着きを待ちつつ、押し目買いを狙うといいだろう。
一方で、長期志向の機関投資家の買いも期待できそうだ。メルカリなどによる後発サービスとの競争もあるが、先行者としての優位性が高く評価されている。来期以降の成長が視野に入れば、株価はもう一段の上値を試す展開もあり得る。
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【2024年11月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |