成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

米大統領は王様ではないし王様のような権限もない! 米大統領の権限にはさまざま制限があることを意識すべき。米大統領選後に株価暴落なら買いのチャンス!

2024年11月6日公開(2024年11月13日更新)
ポール・サイ
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

米大統領選の結果によって、もしも株価が暴落すれば、それは買いのチャンスになる

 今週はアメリカの大統領選があります。

 この記事は大統領選の前に書いていますが、記事が公開されるのは大統領選の投票後のことになります。記事公開時点で選挙結果の大勢は判明しているかもしれません。

 今回言いたいことの結論から言うと、アメリカの大統領はパワーがありますが、アメリカのシステムをひっくり返すようなパワーまではありません。

 なので、ドナルド・トランプか、カマラ・ハリスが当選することによって、株式市場で暴落などが起これば、それは買いのチャンスになると思います。金融市場が過度に結果に反応するのであれば、そこはチャンスなのです。

ホワイトハウス公式サイトホワイトハウス公式サイト

米大統領の権限には法的および制度的な制限が数多く設けられている

 ここからは、アメリカの大統領の権限について簡単に紹介したいと思います。

 アメリカ合衆国における大統領の権限には、法的および制度的な制限が数多く設けられています。

 合衆国憲法は、大統領の行動に一定の枠組みを提供し、その権限が過度に集中するのを防ぐためのしくみを整えています。

 たとえば、立法権は連邦議会に与えられており、大統領が直接法律を制定することはできません。大統領は法案に署名して法律を成立させたり、逆に法案に対して拒否権を行使する権限などを持っていますが、そういった権限は議会が主導する立法プロセスの中に収められています。

 このように、大統領の権限は厳密に規定され、他の政府機関と分かれた形でそれは行使されているのです。

アメリカの連邦議会には、大統領の行動を監視する役割がある

 次に、アメリカの連邦議会には、大統領の行動を監視する役割もあります。

 議会は大統領の政策や行動に対して監査権を持ち、特に委員会を通じて大統領の施策を調査することができます。さらに、議会は予算の承認権を持っているため、大統領が特定の政策を実施するための財源は議会の同意なくして確保できないという制約も存在します。

 特に国防政策や外交政策の面では、議会の支持がなければ、大統領といえども大規模な行動をとることは難しいのです。

最高裁判所を含む司法機関が大統領の行動を違憲と判断することもある

 また、最高裁判所を含む司法機関も大統領権限の制約において重要な役割を果たしています。

 合衆国憲法に基づく司法審査制度により、最高裁判所は大統領令や連邦法が憲法に違反していないか、審査する権限を持っています。

 過去には、司法機関が大統領の行動を違憲と判断し、その行動を制限する判決を下した事例も数多くあります。こういったしくみにより、大統領の権限行使は憲法の枠内に収まるよう、調整されているのです。

連邦制のアメリカでは州政府には独自の権限があり、連邦政府の影響力は制限される

 さらに、大統領の権限は州政府との関係でも制約を受けます。

 アメリカは連邦制を採用しているため、州政府には独自の権限があり、連邦政府の影響力が制限されています。

 たとえば、教育や警察の管理は主に州の管轄下にあります。そのため、大統領が国内政策において州政府の協力を得られない場合、政策の実施に支障をきたすことがあります。州と連邦の権限の分担が、大統領の政策の影響力を調整する役割を果たしているのです。

大統領は直接国民から選出されるため、国民の支持率が低下すると大統領の政策推進力が低下する傾向

 また、国民の支持も大統領の権限に対する重要な制約の1つです。

 アメリカでは大統領が直接国民から選出されるため、国民の支持率が低下すると大統領の政策推進力が低下する傾向にあります。

 特に再選を目指す場合、支持率は政治的な意思決定に大きな影響を与えるため、国民の関心や意見を無視することは難しいです。

 このように、民主主義的なしくみが大統領の権限を一定の範囲に留めるための抑制要因として機能しています。

米大統領は関税に関しては比較的パワーを持っている

 以上述べてきたように、大統領の権限には制限がありますが、関税と移民に関しては比較的パワーを持っています。

 特に貿易政策や国家安全保障に関連する場合に、関税を課すことができます。

 大統領は「通商拡大法」や「国際緊急経済権限法」などの法律に基づき、外国製品に対して一時的な関税を課すことで国内産業を保護したり、特定の国へ制裁を加えたりすることが許されています。

 しかし、こうした関税政策には議会の支持も必要で、長期的な関税の引き上げや大規模な貿易制裁を実施する際には、議会との協力が欠かせません。

米大統領は移民政策に関しても一定の裁量が与えられている

 移民政策に関しても、大統領には一定の裁量が与えられています。

 特に国家安全保障や緊急事態に関わる場合、大統領は大統領令を通じて特定の国からの入国に制限を課すことが可能です。

 たとえば、テロのリスクがあると判断される地域からの入国を制限する大統領令は過去にも発動されており、これは「移民国籍法」の権限の下で実施されることが多いです。

 しかし、移民政策全般を抜本的に変更するには議会の承認が必要であり、包括的な移民法改革を進めるには議会との協力が不可欠です。このため、大統領の裁量だけでは、実質的な移民政策を変更することには限界があり、大統領がそれを実現したければ、立法プロセスを通じた調整が求められるのです。

議会での党派的な対立が大統領の政策実行を難しくすることもある

 最後に、政党や他の政府機関との関係も、大統領権限に影響を与える要素です。

 アメリカは典型的な二大政党制であり、議会での党派的な対立が大統領の政策実行を難しくすることがあります。

 特に野党が議会で多数を占めている場合、大統領が推進しようとする政策が阻止されたり、修正を余儀なくされたりすることがあります。

 このように、大統領権限の行使は一方的に進められるものではなく、複数の権力間での調整が必要となるしくみが整えられているのです。

米大統領は王様のような権限を持っているように思えてしまうが、実際はそうでもない

 今回の選挙で、連邦議会と大統領が同じ政党になる可能性は低いと思います。

 上院は共和党になりそうですが、下院は民主党の可能性の方が大きいです。

 さらに2年後には中間選挙もありますので、連邦議会と大統領の政党が同じという状態は一時的にはあっても、持続しにくいのです。大統領と連邦議会が同じ政党になっているのは、歴史上、3分の1ぐらいの期間です。

 現在の50対50に分断されているアメリカだと、なおさら同じ政党にはなりにくいでしょう。

 そのため、今回紹介した大統領権限への制限はほとんどの時に効くでしょう。米大統領選は大変な注目を集めますから、米大統領は王様のような権限を持っているように思えてしまいますが、実際はそうでもないことを意識すべきです。

※11月18日 20時~ ポール・サイ氏初のライブセミナーを開催します。メルマガ「米国株&世界の株に投資しよう」無料期間中の方も参加可能です。米大統領選後の米国経済、米国株についての解説とQ&Aを行います。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

11月18日(月)20時~ ポール・サイ氏初のWEBライブセミナー開催!

テーマは『米大統領選後の米国&日本の株マーケットはどうなる?』。無料でどなたも参加できますが会員登録(月額7700円税込)すると後日アーカイブ視聴(登録後11日目から)可能です。


【ザイ投信グランプリ2024】を発表!本当にいい投資信託だけを表彰
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
イオンカードに新規入会5%OFF!詳しくはこちら! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
イオンカードに新規入会5%OFF!詳しくはこちら! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

最強5万円株
毎月高配当
ふるさと納税

1月号11月21日発売
定価780円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[最強5万円株/毎月高配当]
◎巻頭企画①
2年目NISA6つのチェックポイント
損が出ていたらどうする?
旧NISAの正しい仕分け方は?など

◎巻頭企画②
中間決算速報!2025年に向けて上がる株
通期上ブレ期待株
稼ぐ力が高まった株

◎第1特集
少額でたくさん買える!
配当利回り5%超や10倍株など!
最強5万円株93銘柄

十夢が直撃!桐谷さん、5万円株の魅力を教えて!
桐谷さんお墨付き!5万円優待株!
●有名株も大化け期待株も!イチオシお宝株
●長期で安心して持てる!買いの高配当株
-配当利回りトップ50買い売り診断
●株価10倍が狙える株も!プロ厳選株

◎第2特集
毎月配当金&優待がもらえる生活
毎月配当&優待をもらうための3つの極意&買い時
●1~12月決算月別のオススメ株72を公開!
配当+優待カレンダー
●綴じ込み付録:勝ち株を書き込める!銘柄管理シート

◎第3特集
NISAで勝つための新戦略!ETF入門
桶井道さん&たぱぞうさん2人の凄腕のワザも!
【別冊付録】
年末の失敗も撲滅!駆け込み!
「ふるさと納税絶品カタログ」全7ジャンル

●Category①肉類
●Category②魚介類
●Category③加工食品
●Category④新米&ごはんのお供
●Category⑤果物・野菜
●Category⑥菓子・飲料

◎連載も充実!

◆目指せ!お金名人
◆10倍株を探せ!IPO株研究所2024年10月編
◆おカネの本音!VOL.29兒玉遥さん
◆株入門マンガ恋する株式相場!
◆マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
◆人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!
>>
【重要】定期刊行物 予約購読規約変更のお知らせ


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報