・日銀の追加利上げ観測による円高で日経平均は反落も内需株・中小型株に買い...
・配当増額ランキング、配当方針を変更した青山商事など
・11月IPO結果とキオクシアなどの12月動向も
【1】今日の株式相場早わかり!
日銀利上げ観測が重荷、内需・中小型には買い
日経平均株価は反落! 28日の米国市場は感謝祭に伴い休場。欧州株式市場は、トランプ米次期政権による貿易政策に対する警戒感などが後退し、主要株価指数がそろって上昇した。一方、今日の日経平均株価は下落スタート。取引開始前に発表された11月の東京都区部消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで、日銀の追加利上げ観測が強まった。円相場が対ドルで一時1ドル=150円を下回るなど約1カ月ぶりの水準にまで上昇したことが嫌気され、3万8000円を割り込む場面もあった。ただ前日まで同様、3万8000円割れの水準では押し目買いが入り、その後は下げ渋ってもみ合いが続いた。
ディスコなどの半導体株のほか、日産自動車など輸出関連銘柄を中心に下落が目立った。一方、利ザヤ改善期待などから銀行株・保険株が買われた。また、主力株が停滞する中、内需株や中小型株に買いが入り、東証グロース市場250指数は大きく上昇した。米国では今日からブラックフライデーが始まり、年末商戦が本格化していく。
【日経平均】38208.03円↓(-141.03円)
【グロース250】643.97↑↑(+9.59)
【NYダウ】休場
【ナスダック】休場
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
配当上方修正ランキング、青山商事など
直近1カ月程の間に配当予想を上方修正した企業を点検しよう。決算シーズンを挟んでいるため大幅に上方修正した企業も多く見られた。配当増額は株主還元への積極的な姿勢としてだけではなく、先行きの業績に対する自信の表れとも捉えられるサインでもあり、該当企業はしっかりチェックしておこう。
紳士服の青山商事はPBR1倍割れ解消を目指し、新たな配当方針として「配当性向70%もしくは株主資本配当率(DOE)3%のいずれか高い方」を採用。株主還元を大きく拡充させたことで、来年3月末に権利確定を迎える期末配当だけも配当利回りは4%を超える。また同時に自社株買いも発表した。業績面では、上期の営業利益が計画を下回ったものの、価格改定などの各種施策により通期計画は上方修正されている。
紀陽銀行も株主還元方針を「配当性向40%を目安に、利益成長とともに累進的な配当を行い、自社株買いは機動的に実施」へと拡充させた。利ザヤ改善による恩恵が特に大きい地銀の株価は、日銀の追加利上げ観測を背景に堅調に推移している。中でも和歌山県を地盤に大阪府でも事業を行う同社は、来年開催予定の大阪・関西万博や、2030年開業予定の統合型リゾート(IR)による経済波及効果などが期待される。
エフ・シー・シーは上場20周年に伴う記念配当による増額で、普通配当は据え置きになっていることに留意。一方、同じ自動車部品でもジェイテクトは、業況厳しく業績予想を下方修正している中での配当増額とあって、高い還元姿勢は評価できる。清水建設は大手建設の中で唯一PBRが1倍割れ。ただ配当増額や政策保有株の売却の前倒し、自社株買いなどの株主還元の積極化に加えて、相対的に遅れていた利益率の改善も確認されており、株価の一段の出遅れ解消に期待したい。
■青山商事株価チャート/日足・6カ月
【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『IPO株ココだけの話』」
キオクシアなどは12月IPOへの関心を高めるか?
今日は11月のIPO(新規株式公開)結果と12月のIPO予定を確認していこう。
11月は4社が新規上場。ククレブ・アドバイザーズやグロービングが公開価格を2~3割上回る初値を付ける一方、ガーデンとTerra Droneは公開価格割れスタートを強いられた。戦略コンサルティング・クラウドサービスのグロービングは公募・売出規模が49.2億円とやや大きかった(=換金売りが出やすい)が、今期の業績成長率が極めて高く、相応の買いを集めた。しかし、公募・売出規模58.9億円のガーデンや37.7億円のTerra Droneは買いが鈍く、換金売り圧力に抗えなかったようだ。全体としてIPO株への買い意欲を強く感じさせる結果だったとは言いにくい。
12月は18社の上場が予定されており(11月28日時点)、例年通りIPOラッシュの様相だ。今回は18日までの上場予定を下表にまとめた(19日以降の上場予定は12月6日号に掲載予定)。半導体大手キオクシアホールディングスは18日上場の予定。現時点の想定では上場時時価総額7493億円(普通株ベース)、公募・売出規模1150億円と今年最大のIPOになる見込みだ。
同社が手掛けるフラッシュメモリはデータやプログラムの保存を担い、生成AI(人工知能)普及などによるデータ量の増大で需要拡大が見込まれる。ただ、株式市場でも注目されるHBM(広帯域幅メモリ)などと比べ好影響は限られるといった見方も。また、時価総額は2020年の上場中止時と比べ半減しており、先行きへの期待が高まるか見通しづらい。ほかにも資生堂の日用品部門が分離したファイントゥデイホールディングスなど、話題性のある案件は散見されるが、IPOへの関心が高まるか注視しておきたい。
小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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