【12月2日の注目株＆日本株市場見通し】株主優待変更、味の素は株式分割の恩恵も/週末に重要経済指標/日経平均反発 「デイリーZAi」12/2号

【1】今日の株式相場早わかり！
反発、日銀・GPIFめぐる報道で思惑も

　日経平均株価は反発！ 感謝祭明けの11月29日の米国市場は短縮取引だった。NYダウは過去最高値を更新したが、円相場が一時1ドル＝149円台半ばまで上昇。一部メディアによる日銀の植田和男総裁へのインタビュー報道を受けて追加利上げ観測が強まった。また、こちらも報道でファーストリテイリングの中国事業への警戒感が広がり、週明けの日経平均株価は朝方に一時3万7958.55円（－249.48円）まで下落。ただ、年金積立金管理運用独立行政法人（GPIF）が運用利回り目標を引き上げると伝わると、株式組み入れ比率が高まるとの思惑から買いが入り、後場の日経平均株価は3万8552.41円（＋344.38円）まで上昇する場面があった。

　今日は大規模オンラインセール「サイバーマンデー」が実施されるほか、11月の米サプライマネジメント協会（ISM）製造業景況感指数が発表される。また、週末6日には米11月雇用統計の発表も控えており、米経済の動向を探る上での注目イベントをコラムコーナーで確認しておこう。

【日経平均】38513.02円↑（+304.99円）
【グロース250】641.72↓（-2.25）
【NYダウ】44910.65ドル↑（+188.59ドル、11月29日）
【ナスダック】19218.166↑（+157.690、11月29日）

■日経平均株価チャート／日足・6カ月

（出典：SBI証券公式サイト）※画像をタップで最新データに飛びます

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【2】今日の注目株！
11月発表の優待変更！ 味の素・KDDIなど

　今日は11月に発表された株主優待の変更を確認しよう。3月期決算企業が中間決算とともに優待変更を発表するケースが多かった上、人気優待に関する発表が散見された。当然、優待狙いの投資家は要チェックだし、そうでない投資家も企業の方針や個人の投資行動に与える影響を探る上で点検しておこう。

　味の素は2025年3月末を基準日として1→2株の分割を実施するのに伴い、優待制度を変更。新制度では分割後100株以上200株未満でグループ製品または寄附500円相当がもらえる（半年以上の保有が条件、2025年3月末は現行制度で実施）。株式分割で最低投資額が引き下がるのとともに、優待が取得しやすくなるのはうれしい。また、その他の保有株数の区分も分割前と比べ優待品が実質増額される。

　2025年からの優待変更が注目されるKDDIも、同年3月末を基準日として1→2株分割を実施。こちらは分割後200株以上（分割前は100株以上、1年以上の保有も条件）に基準が変更されたが、8月より経営参画したローソン及びその子会社である成城石井の商品詰め合わせセットが優待品に登場し、人気が高まる可能性もありそう。日本郵船や共立メンテナンスは優待券の枚数や利便性が増す。イオンモールは優待内容が一本化されたが、近年の引換状況を踏まえた変更でネガティブ視されないだろう。

　一方、クオカードやカタログ商品を贈呈していた全国保証は、2026年3月末を最後に優待廃止する。「目的の1つであった知名度向上に貢献できたと判断したため」という。やはり本業との関連が薄い優待は「株式市場での注目度アップ」以上の意義を見出しづらく、持続性を慎重に見極める必要がありそうだ。
（ザイ優待アナリスト 小林大純）

■味の素株価チャート／日足・6カ月

（出典：SBI証券公式サイト）※画像をタップで最新データに飛びます

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【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
週末の日米経済指標に注目

　先週の日経平均株価は－75.82円（－0.20％）。国内3月期決算企業の中間配当の再投資による株式需給（売りと買いのバランス）改善への期待から上昇スタート。しかし、トランプ米次期大統領による追加関税の表明が売りを誘発。一方、米次期財務長官に金融に精通したスコット・ベッセント氏が指名され、過激な政策が抑制されるとの期待が株式市場を下支えした。

　重要経済指標が発表される週末まで様子見ムードが強まりそうだ。週末は米国で11月の雇用統計が発表される。雇用者数は、ハリケーンなどの影響で伸び悩んだ10月からは反動で増加する予想。一方、失業率は悪化、平均時給の伸びは鈍化する見込みで、予想通りとなれば、12月の連邦公開市場委員会（FOMC）で追加利下げは決定される可能性が高い。他方、国内では10月の毎月勤労統計調査が発表される。賃金の着実な伸びが確認されれば、12月の金融政策決定会合で日銀が追加利上げに踏み切る公算は大きいだろう。日米金利差が縮小する形で円高・ドル安に振れる可能性が想定され、週末にかけて為替の動向には注意が必要だ。

　その他には、米サプライマネジメント協会（ISM）による11月の製造業・非製造業景況感指数などが発表される。米大統領選通過による不透明感の後退や、トランプ米次期政権による追加関税を前にした駆け込み需要のほか、年末商戦の影響などで、景況感指数がともに予想を上振れる可能性がある。この場合、米長期金利が上昇することによって、最高値圏で推移する米国株の調整につながりそうだ。恐怖指数とされる米VIX指数はすでに大きく低下しており、投資家はかなり楽観に傾いていると考えられる。こうした状況では、小さなきっかけが株価調整の引き金になりうるため、相場動向には引き続き注意を払っておこう。

仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト（CMA）。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。

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