暴れん坊のトランプ大統領でも逆らえないのがマーケット
トランプ政権が自らの政策を巡って揺れ動いている。強烈な自己主張を推進しようとするトランプ大統領、そしてサポートするイエスマンの忠臣たち。トランプ大統領が繰り出す根拠なき批判、難癖、屁理屈、さらには脅しまでもがまかり通ってしまい、不公正や不公平さが目に余る政策すら実行されようとする異次元の世界。もちろん各国は対応に追われて右往左往している。まさに「暴れん坊大統領、ここにあり」という展開になっている。
通常、一国のリーダーがこうした振る舞いをすれば即、大きな非難を浴びて叩き潰されるが、さすがはドナルド・トランプという特異な権力者だからこそ、全く意に介さず何事もやってのけてしまう馬力がある。そういう意味ではあっぱれなリーダーである。だが、トランプ大統領にも逆らえないものがある。それはマーケットだ。暴走しているように見えてトランプ劇場の裏側では一定の歯止めがかかっていることが最近の二転三転する突然の心変わりから読み取ることができる。
「相互関税上乗せ分を90日間停止」と豹変した理由は米債券価格の急落
まずは4月9日(水)の日本時間13時1分、トランプ政権が相互関税を発動した。相互関税率は欧州連合(EU)が20%、日本が24%、中国が34%など想定よりも厳しい内容だった。この日の日経平均株価は朝方こそ450円安程度で動いていたが、発動時間が迫ると見る見る下落。13時27分には1754円安まで急落した。「世界恐慌になる」「リーマンショックの再来」などと大げさなコメントがSNSなどで飛び交った。投資家たちは委縮し、思考停止状態になった。恐怖指数である米国のVIX指数は52.33、日本のVI指数は56.61と普段めったにお目にかかれない水準まで跳ね上がった。ところが、相互関税が発動してからわずか13時間後にトランプ大統領は「相互関税上乗せ分について90日間停止する」と態度を急変した。ものすごいちゃぶ台返しである。
トランプ政権が突然豹変した背景とは何か? それは株安・ドル安に加えて債券安のトリプル安になったことで長期金利が急騰し、米国にとって極めて危険な状況になったからだ。実は長期金利が日本時間のお昼頃、すなわち相互関税発動とまさに同じタイミングで突然4.2%台から4.5%台まで上昇。米国の取引時間外にもかかわらず激しく動いた。トランプ政権にとって最も重要なのは債券市場だ。債券が暴落(金利は急騰)することだけは避けねばならない。金融市場を根本的に揺るがす元凶に歯止めをかけるために相互関税の一時停止に踏み切ったのだ。
FRB議長解任騒ぎでドル安などで資本流出が進んだ後、態度は再び豹変
さらに、4月22日(火)。前日のトランプ大統領の暴走発言で再び株安・ドル安・債券安のトリプル安となった。自身のSNSで「今すぐ利下げしないと経済が減速しかねない」「判断が遅すぎる男」「一刻も早く解雇すべき」と米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を激しく攻撃。これを受けてFRBの独立性が損なわれ、米国の信認が揺らぐとの警戒が広がった。その一方で投機的に買われている金は3400ドル台まで上昇する事態が起こった。要するに米国からマネーがどんどん逃避しているということであり、ドル円は一時139円台後半と7カ月ぶりの高値水準にまで上昇。トリプル安の意味するところは何か? それは「最弱の米国」である。
ところが、翌日にトランプ大統領の心は急変。「パウエル議長を解任するつもりはない」と述べたことで米国市場は主要3指数揃って大幅に反発した。ベッセント財務長官が中国との貿易摩擦が緩和に向かうとの認識を示したと報じられたことも追い風となった。139円台後半まで進んでいた円高は一気に143円台まで下落。激しい動きである。
一部投信は現金比率高めるとの噂も「勝者のポートフォリオ」は初志貫徹
こうしたエピソードからお分かりになると思う。トリプル安、特に債券安だけはどうしても避けたいという意思は正常に働いている。主張するべきことは主張するが、やはりマーケットの反応を確かめながら軌道修正を行っているのだ。トランプ劇場の二転三転はこれで終わりではなく今後も続くと思われるが、暴れん坊大統領はマーケットに配慮する冷静さがある。さすがビジネスマン大統領である。
ところで、最近目にしたニュースで少し驚いたことがある。それは、コモンズ投信やひふみ投信がキャッシュ比率を10%超の水準にまで高めていると報じられていたことだ。もちろん「こうする必要がある」だからこその判断だとは思うが、投資信託がマーケットタイミングを図ってもあまり意味がないかと。すでに一連のトランプ劇場のダウンサイドリスクは相当織り込まれていると思うので、反発したらついて行けなくなるのではないかと。「勝者のポートフォリオ」は現状のマーケットを作為的なシステマティックリスクと判断しているため、急落局面において何もしていないが、すでに年初来パフォーマンスはプラス転換しており、今年もマーケットに対して圧勝中である。要するにポートフォリオの中身が今のマーケットに対して耐性があり、非常に強い銘柄群で構成されているが故である。システマティックリスクに対して下手な行動をする必要など一切ないのだ。
極度な悲観論や下落を煽る意見に耳を貸さず、自分の頭で考えよう
トランプ関税ショックを受けてマーケットに対して極端な悲観論や、下落を煽る意見が散見される。私は自分の頭で常にマーケットを考える力があるので、そのような意見はすべて無視している。すでに第一次トランプ政権で米中貿易戦争による関税ショックは経験済み。その時に何が起こったのかを熟知している。ちぐはぐなトランプ劇場を利用して投機家がどのような行動を取るかも簡単に予測できるからだ。投資家として他人の意見に惑わされるのは失格。絶対にそうなってはいけない。他人が言うことはすべて戯言だ。そう思えないようでは「勝ち組投資家」にはなれないと断言しておきたい。あなたは大丈夫だろうか?
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行っている「勝者のポートフォリオ」。毎週のメルマガ配信による運用の指南に加えて、2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。
GWはWebセミナーとスペシャル講義の2大特典を活用してスキルアップ
毎月恒例の株式投資Webセミナーを4月9日(水)20時より開催した。テーマは『トランプ関税に惑わされるな、ピンチはチャンス』。平日の夜にも関わらず289名もの方々に参加いただいた。マーケットが急落する中、個別銘柄も含めて投資のヒントが満載だったと思う。22時半までのロングランセミナーとなった。次回は5月14日(水)20時より開催予定である。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能である。オープンな開催はしていないのでご注意願いたい。
スペシャル講義ではいよいよアンシステマティックリスク、すなわち個別銘柄リスクに関する詳細な講義がスタート。第2弾は「個別銘柄の株価の動きをスコア化する」「グロース株vsバリュー株の評価ポイント」。すでに動画はアップ済みだ。
「個別銘柄の株価の動きをスコア化する」においては、株価がSリスク、USリスク、Mサイクルの3つの要因、さらにそれぞれが包含する多くの要素によって株価が動いていることを理解することが目的である。スコア化することで、常に泰然自若の投資家になっていただきたいと考えている。「グロース株vsバリュー株の評価ポイント」では、それぞれのカテゴリーにおいて投資の評価軸が異なることを再確認していただくのが目的。混同している方々が多いため詳しく解説している。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
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