4月第2週の日経平均は4ケタの乱高下が続き異常なボラティリティを記録
月曜日2644円安、火曜日1876円高、水曜日1298円安、木曜日2894円高、金曜日1023円安―。4月第2週の日経平均株価の動きだ。見事に4ケタの乱高下が続いた。しかも、月曜日の2644円安は歴代3位の下げ幅であり、木曜日の2894円高は歴代2番目の上げ幅であった。これほど激しい動きはもちろん東京市場だけで起きた事ではなく、前日の米国市場での急落や急騰がほぼそのまま反映されたものである。NYダウの過去3番目の下げ幅2234ドル安が2644円安をもたらし、過去最大の上げ幅2962ドル高が2894円高をもたらした。
先週のコラムで恐怖指数について紹介した。マーケット参加者の市場に対する心理状態を0%~100%のレンジで表す指数であり、米国ではS&P、日本では日経平均のオプション価格の変動率を元に算出される。平常時は20%未満だが、20%超えで恐怖を感じている状況、そして40%を超えるとパニック状態と定義されている。凄まじいボラティリティによって、直近の米国のVIX指数は52.33、日本のVI指数は56.61と急激に高まった。
恐怖指数は暴落を予知できないが、暴落後の相場展開を見通すのに有効
恐怖指数を「株価暴落を予測する指標」と勘違いしている人がいるようだが、現状の暴落の度合いと今後の戻りの可能性をチェックするための指標である。決して予測指標ではない。株式市場において暴落の事前に「これから暴落が起こる」ことを教えてくれる指標など存在しない。2000年代以降の大きな暴落であるインターネットバブル崩壊、リーマンショック、チャイナショック、コロナショック、令和のブラックマンデーにおいて恐怖指数は先行指標的に我々には何も示唆してくれておらず、暴落とともに数値が急騰しただけである。したがって、恐怖指数を漫然と眺めているのではなく、暴落を生み出す兆候を嗅ぎ取ればそれが株式市場にどれくらいのインパクトを及ぼしそうか、暴落後にどのくらい調整が長引きそうかを丁寧に分析して対処するしか方法はない。
とは言え、パニック状態における「恐怖指数」の活用は非常に有効である。例えば恐怖指数が40%というのは「株価が今後1年間に約7割の確率で上下40%の範囲で変動する」ことを示す。実際の株価の動きを見ると、急激な恐怖指数の上昇は「たいてい瞬間的であり」「さらなる株価下落よりもその後に株価反発が起こり」「上下40%の範囲の解釈は上昇40%と読み取れる」ということになる。リーマンショックやコロナショックなど過去の大きな12のイベントを検証すると恐怖指数はすべて40%を超えとなりその後大きく反発する結果となった。だから恐怖指数は「チャンス指数」と私が皆さんに言っている所以である。
急落相場で大損しないためにも理解しておきたい用語がボラティリティ
ところで、ボラティリティ(Volatility)という言葉について今一度、整理してみたい。ボラティリティとは一言で言うと「価格変動の度合い」、すなわち値動きのことである。ボラティリティとリスクの関係は次の通りである。
・ ボラティリティ大 = 価格変動大 = リスク大
・ ボラティリティ小 = 価格変動小 = リスク小
ボラティリティが大きい場合、期待収益率と実際のリターンには大きな相違が生じることがある。例えば、期待収益率で年間+10%のリターンが期待できるマーケットにおいて、株価が徐々に上昇する(ボラティリティ小、価格変動小)なら、ほぼ期待収益率通りのリターンを上げられるが、ボラティリティが大きくガタガタするマーケットだと期待収益率+10%の獲得が困難になるということだ。個別銘柄についても同様のことが言える。「今後3年間で2倍のリターンを目指したい」と思った場合、出発点から着地点までの株価が2倍になったとしても、ボラティリティの大小の違いで実際に2倍のリターンを得られるかどうかは別物である。
例えば、新興市場銘柄や投機色の強いボラティリティが大きい銘柄の場合、恐怖心から途中で売却したり、あるいは高値掴みをして損を抱えたりするケースが多くなる。現物株でさえなかなか難しいのに投資期限と追証ルールのある信用取引ではなおさらだ。信用取引を好む個人投資家の多くが目先の値幅取りの短期投資だ。「値動きの大きい方が儲かる」という妙な妄想を抱いている。裏を返せば「値動きの小さい銘柄は儲からない」である。しかし、値動きの大きい銘柄に投資をすると、1度でも思惑とは反対方向に株価が動けば追証の発生やロスカットが起こってしまう。あるいは、デイトレードでコツコツと10円、20円の値幅を取って日々積み上げてきた利益が、マーケットの急変で一気に200円、300円もの値幅で損を食らうということになりかねない。個別銘柄のアンシステマティックリスクに加えて、市場全体のシステマティックリスクのダブルのリスクに晒されるのだ。
平静に戻りつつある相場。「勝者のポートフォリオ」は年初来プラス間近
4月第2週はとんでもないボラティリティだったが、第3週はかなり落ち着いた日々が戻ってきた。日経平均の動きを見ると、月曜日396円高、火曜日285円高、水曜日347円安、木曜日457円高、金曜日352円高である。1日間で4ケタの値動きはない。日中値幅も非常に小さくなった。これは何を意味するのか? マーケット全体のボラティリティが小さくなることで個別銘柄のファンダメンタルズ特性が発揮しやすくなり、リターンが上げられやすい状況になっているということだ。「勝者のポートフォリオ」の年初来パフォーマンスは-0.2%と早くもプラス転換間近となった。TOPIXは-8.1%、日経平均は-12.9%とかなり苦戦している。一方、グロースは+4.0%と健闘中。まさかの金融相場先取りの兆候か? 注視していきたい。
「ボラティリティ大だと価格変動が大きいから、それだけドカンと儲かる」という考えは間違いだ。目指すはやはり「ボラティリティが小さい、つまり価格変動が小さい」銘柄だ。それと大事なことは、マーケット全体が大きく変動する局面よりも安定したマーケットの方がリターンを上げやすいことをわきまえておくことである。
ピンチの後にチャンス到来。勝者のポートフォリオに参加して波に乗ろう
さて、太田忠投資評価研究所とダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ(DFR)がコラボレーションして投資助言を行う「勝者のポートフォリオ」。毎週のメルマガ配信による運用の指南に加えて、2大特典として毎月のWebセミナー開催とスペシャル講義を提供している。
毎月恒例の株式投資Webセミナーを4月9日(水)20時より開催した。テーマは『トランプ関税に惑わされるな、ピンチはチャンス』。平日夜の開催にも関わらず289名もの方々に参加いただいた。マーケットが急落する中、個別銘柄も含めて投資のヒントが満載だったと思う。22時半までのロングランセミナーとなった。次回は5月14日(水)20時より開催予定である。10日間の無料お試し期間を使えば誰でも参加が可能。オープンな開催はしていないのでご注意願いたい。
そして、スペシャル講義ではいよいよアンシステマティックリスク、すなわち個別銘柄リスクに関する詳細な講義がスタート。第2弾は「個別銘柄の株価の動きをスコア化する」「グロース株vsバリュー株の評価ポイント」。すでに講義動画はアップ済みである。
「個別銘柄の株価の動きをスコア化する」においては、株価がSリスク、USリスク、Mサイクルの3つの要因、さらにそれぞれが包含する多くの要素によって株価が動いていることを理解するのが目的である。スコア化することによって、常に泰然自若の投資家になっていただきたいと考えている。「グロース株vsバリュー株の評価ポイント」では、それぞれのカテゴリーにおいて投資の評価軸が異なることを再確認していただくのが目的。混同している方々が多いため詳しく解説している。
●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもDFRへのレポート提供によるメルマガ配信などで活躍。
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