「勝者のゲーム」と資産運用入門

「国民1人当たり1000万円の借金」は真っ赤な嘘。
純負債比率はG7で低く、財政破綻の可能性はゼロ。
国の成長や賃金上昇に向け、ケチケチせず借金せよ太田忠の勝者のポートフォリオ 第45回

2022年8月17日公開(2022年8月17日更新)
太田 忠
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「国の借金」は過去最高の1255兆円となり大変だ、との報道の真偽は?

  日本の「国の借金」が過去最大を更新し、国民1人あたりの「借金」は初めて1000万円を超えました。財務省は、6月末までの国債や借入金などを合計したいわゆる「国の借金」が1255兆1932億円となり、過去最大を更新したと発表。国民1人あたりの借金は1005万円となり、初めて1000万円を超える計算になります…。

  先週水曜日の報道だ。どのメディアでもほぼ一律でこのような感じの報道をしており、「国の借金が大変だ!」というメッセージがひしひしと伝わってくる。

   賢明な皆さんならもう重々ご承知だと思うが、この財務省から発表される「国の借金」はプロパガンダ的な要素が強く、事実の一部分だけを取り出して極端な偏向報道がなされている。「日本は財政破綻するかも…」「将来のツケがますます巨額に…」という印象を読み手に与え、洗脳しているかのようだ。

「国民1人当たり1000万円の借金」というフレーズは大きな間違い

   まず大前提として「国の借金」は「国民の借金」ではない。「国の借金」とは、正しくは「日本政府の借金」である。「国の借金」の後に「国民1人当たり1000万円の借金」といった、あたかも国民がこれから税金を支払って返さなければならないようなフレーズがセットになっているのが不愉快きわまりないが、これは大きな間違いだ。国民が返済したり、負担したりするものではない。また、政府の借金を国民の人口で割った数字には何の意味もなく、単に「割ってみただけの数字」である。

 さらにこのフレーズの後に続けられるのが「国内総生産(GDP)対比での日本の債務比率」を先進国と比較した図表である。財務省のホームページに記載のものがよく転用されるが、「日本の債務は断トツのトップでGDPの2倍超え!」「借金大国日本!」との印象操作が強化される。「国の借金が大変だ!」というのは、日本政府の最大のウソでありデマだと私は思う。

日本のGDPに対する純負債比率は18%に過ぎず、G7平均よりも低い

 財務省が「国の借金が大変だ!」を説得するために出している図表「GDPに対する国の借金比率」は確かに2倍超えであり、先進国G7の中で最悪の水準にある。2018年IMFデータでは日本239%、イタリア158%、フランス123%、米国105%、カナダ97%、英国79%、ドイツ76%となっている。しかし、借金は負債、すなわちバランスシート上の右側の数字に過ぎない。負債があれば資産も当然ある。財務省が全く触れようとしない、バランスシートの左側に注目してみると次のようになる。

 「GDPに対する国の資産比率」は日本が221%、フランス100%、米国99%、カナダ99%、ドイツ79%、イタリア79%、英国47%である。そして負債と資産の両方を考慮した「純負債」でみると日本のGDPに対する純負債比率は18%に過ぎない。最悪はイタリアの78%、最も良好なのがドイツの-3%である。平均値は22%。日本の純負債はG7平均よりも低いことがわかる。だから「有事の円買い」が起こるわけだ。財政破綻の可能性が高いのなら、有事において円が買われるはずがない。

政府債務のほぼすべてが円建てである日本の財政破綻の可能性はゼロ

 さらに知っておくべき重要な点は、政府の借金は家計や企業の借金とはまったく異なることだ。国の借金と呼ばれる政府債務は大変でも何でもなく、日本の財政破綻の可能性もゼロである。なぜなら、政府には貨幣発行という能力があるからだ。日本政府の借金は主に銀行など金融機関から日本円を借りている形となっているが、政府・日銀には日本円の通貨発行権があるため、借金を期限に必ず返済することができる。政府の債務はほぼすべて円建てのため、債務不履行に陥ることはない。海外で起こるデフォルトの話は、デフォルトした国が別の国に対して自国以外の通貨で支払いができない場合である。

 ところで国の借金、すなわち政府の負債は増えていくのが正しい姿である。21世紀に入ってからの各国の負債の増加を見ると(2001年=100とし、2015年時点のデータ)英国が429、米国338、日本は163とG7の中で最も増加率が低い。日本は借金が大変どころか、むしろG7の中で最も借金を増やしていないのだ。さらに言うと、日本は財政出動の伸びが極端に低い国であり、国民のためにお金を使わない「ケチケチ国家」なのだ。財務省は金を出したがらず、一方で日本が借金漬けだと国民に煽っては税金を取りたがっている。わざわざ「国民1人あたり」というフレーズを持ちだすのは、「政府の借金は国民の借金ですよ」と思って欲しいからに他ならない。ウラに潜むのは官僚たちの利権拡大の思惑である。

緊縮財政や増税を繰り返した日本は世界で断トツに経済成長しない国に

 平成が始まった90年代の初めから日本では緊縮財政や消費税の増税が本格化した。その結果は見ての通りで、日本は世界で断トツに経済成長しない国となり、国民の賃金は全く上がらなくなった。政府が金を出さなくなったために国内需要が喚起されず、消費も投資もされなくなったのだ。緊縮財政や増税政策は国家の成長にとって自滅的行為である。国の借金は常に過去最大になるのが普通であり、政府債務が増え続けるのは国家運営の基本。日本ではそれをわざわざ騒ぎ立て、国民の不安を煽り続けている。ホント、愚かな行為だ。

 2021年の衆院選において、財務省トップの矢野康治財務事務次官(当時)が「このままでは日本は財政破綻する」という内容の論文が月刊『文藝春秋』2021年11月号に掲載されたのを覚えているだろうか? バラマキ批判の急先鋒としてテレビや新聞でも大きく扱われた。コロナ不況で多くの国民が困窮する状況の中ですら、緊縮まっしぐらを目指したいらしい。まさに財務省の体質を表している。

 ところで、「国の借金はどこから借りているの?」という疑問がでてくるかもしれない。財務省やメディアは、「今市場の中に存在するお金から借金している」という前提で話をしているようだが、これこそ本質的な間違いだ。国は常に新しくお金を生み出しているというのが本当の姿であり、国債発行のプロセスの中で、政府・日銀と銀行がやりとりをして貨幣と債務が生み出されている。銀行から借りているという体裁が取られているが、実質的には何もないところから貨幣が生み出されるという信用創造がなされている。もちろん無限には行えない。その上限は需要と供給のバランスで決まる。すなわち今話題のインフレ率の値が具体的な目安となる。インフレは信用創造の点でも重要な指標である。

最高値更新まで1歩に迫るパフォーマンスの「勝者のポートフォリオ」

 さて、先週は日米株式市場揃っての上昇となった。7月の米雇用統計が好調だったことで、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利上げが+0.50%ではなく+0.75%になるとの確率が70%まで高まったものの、7月の消費者物価指数(CPI)の数字がインフレ鈍化となったため、利上げ幅は再び+0.50%になるとの見方が大勢となり、これが株式市場上昇の原動力として働いた。ただし、ショートカバーによる損失覚悟の買い戻しや白旗を上げた投資家たちの焦りの買いが中心となっている。

 NYダウは33700ドル台となり下落トレンドの上値抵抗線にタッチ、日経平均は28500円台となり昨年末の28791円に接近している状況にある。果たしてこのまま上昇トレンドを継続できるかどうか、今週からの動きに要注目である。「政策金利は引き続き上昇、長期金利も再び上昇」という今後のシナリオの中で、市場が「高インフレ継続の可能性を過小評価し、米連邦準備理事会(FRB)がハト派に転じるとの過大な期待を持っている」現状がどう変化していくのか非常に興味深いところだ。

 相場環境が厳しい中、昨年10月にスタートし、私が助言する個人投資家向けの投資助言サービス「太田忠の勝者のポートフォリオ」のパフォーマンスは+1.2%となり、11月12日につけた+1.9%の最高値更新まであと一歩に迫った。同期間のTOPIXは-2.8%、日経平均-3.1%、マザーズ-35.6%。ちょっと市場が楽観的過ぎる動きなので警戒しているが、以前私が何度も述べていた「ガタガタ局面後は3万円に戻るシナリオ」に近い動きになっている。今は上昇にも下落にも即、対応できるようキャッシュポジションを増やし、じっくり様子をうかがっている。保有銘柄の決算発表は出揃いおおむね好調であった。相場の好不調に関わらず、引き続き個別銘柄の発掘に注力していきたいと考えている。

 

●太田 忠 DFR投資助言者。ジャーディン・フレミング証券(現JPモルガン証券)などでおもに中小型株のアナリストとして活躍。国内外で6年間にわたり、ランキングトップを維持した。プロが評価したトップオブトップのアナリスト&ファンドマネジャー。現在は、中小型株だけではなく、市場全体から割安株を見つけ出す、バリュー株ハンターとしてもメルマガ配信などで活躍。

※この連載は、ワンランク上の投資家を目指す個人のための資産運用メルマガ『太田忠 勝者のポートフォリオ』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、メルマガ配信の他、無料期間終了後には会員専用ページで「勝者のポートフォリオ」や「ウオッチすべき銘柄」など、具体的なポートフォリオの提案銘柄の売買アドバイスなどがご覧いただけます。

 

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