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何も知らなければ約22万円、うまく手続きすれば無料。「格差社会における最大の資産は情報そのもの」ということを新型コロナに効く抗ウイルス剤で実感

2025年8月27日公開
ポール・サイ
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新型コロナに感染したが、パキロビッドを服用したら、わずか1日でほぼ完全に回復!

 先週、私はメイン州で開かれたファミリー・リユニオン(親族会)に参加した際、新型コロナに感染してしまいました。

 しかし、処方されたパキロビッド(Paxlovid)を服用したところ、その効果には正直驚かされました。服用からわずか1日でほぼ完全に回復し、薬の強さを身をもって実感しました。

 パキロビッドは2種類の成分から成り、主成分ニルマトレルビルは新型コロナウイルスの増殖に不可欠な酵素(3CLプロテアーゼ)を阻害します。そして、もう1つの成分リトナビルがニルマトレルビルの分解を抑えて、血中濃度を維持することで、その効果を長続きさせます。

 こうしたしくみによって、新型コロナの症状悪化や重症化リスクを大幅に下げることができる点で、パンデミック以降、パキロビッドは世界的に大きな注目を集めてきました。

パキロビッド(Paxlovid)公式サイトパキロビッド(Paxlovid)公式サイト

薬局で提示されたパキロビッドの価格は1500ドル(約22万円)! けれど、患者支援プログラムを利用したらタダになった

 ただ、実際に薬局で薬を受け取った際、1500ドル(約22万円)という価格が表示されていたので、目を疑いました。

 幸いにも医師から「Paxcess」という患者支援プログラムの存在を事前に聞いていたため、必要な手続きを踏んで無料で入手することができました。もし、知らなければ、そのまま全額負担するところでした。

 ここには、現代社会における情報の有無がどれほど経済的な差を生むかという現実が凝縮されています。

パキロビッドの価格戦略は単純な一律価格ではなく、多層的で複雑なものになっている

 パキロビッドの価格戦略は、単純な一律価格ではなく、国や地域の経済状況、保険制度、所得水準などを踏まえた多層的なものになっています。

 アメリカでは1コースあたり約1390ドル(約20万5000円)のリスト価格(希望小売価格)が設定されていますが、実際の患者負担は保険や補助制度により大きく異なります。

 民間保険加入者はPaxcessを通じて自己負担を大幅に軽減でき、場合によってはゼロにできます。また、メディケアやメディケイド加入者、無保険者に対しても製薬会社と政府の合意に基づき無償提供が継続されており、さらに低・中所得国には原価に近い「コストプラス価格」で供給されています。

 このように、グローバル市場全体でこの薬に対する公平なアクセスを実現しつつ、先進国市場からは利益を確保するという二面性を持った戦略が展開されているのです。

 その一方、米国の医療経済評価機関ICER(米臨床経済評価研究所)はパキロビッドの合理的な価格帯を563~906ドル(約8万3000円~13万3000円)と試算しており、企業の利益確保と社会的責任をどのようにバランスさせるかが今後の課題と言えるでしょう。

知識を持つ人ほど得をする

 今回の経験から、いくつかの重要な示唆を得ました。

 第一に、知識を持つ人ほど得をするということです。Paxcessの存在を知らなければ、同じ薬でも1500ドル(約22万円)を支払う羽目になります。一般に「貧しい人ほど知識にアクセスできない」傾向がありますが、今回のケースはそのことから生じる問題をはっきりと示しており、結果として経済的に弱い立場にある人が、逆に高く物を買わされるという逆説的な状況が生み出されていることになります。

 第二に、特にアメリカはこの傾向が顕著であり、価格設定の複雑さが情報格差を経済格差に直結させています。

 第三に、今回のケースの格差は「情報が公開されているかどうか」にあるのではなく、「情報を把握しているかどうか」にありました。

 投資の世界も同じで、米国株市場は情報開示が非常に進んでいますが、その情報を積極的に探し、理解し、活用するかどうかでリターンは大きく変わります。

新薬開発には莫大な費用がかかるが、薬の製造そのものの限界費用は低いため、価格設定が難しい

 さらに考えさせられるのは、薬の価格設定そのものの難しさです。

 新薬開発には莫大な研究開発費と臨床試験の費用がかかるため、高い価格設定をしなければ投資回収は困難です。

 しかし、薬の製造そのものの限界費用(※)は低いため、理論上は柔軟な価格設定が可能です。

(※編集部注:「限界費用」とは、生産量を1単位増加させることに伴う、総生産費用の増加分のこと)

格差社会における最大の資産は情報そのもの

 この「価格の柔軟性」と「情報格差による負担の差」は、医薬品市場だけでなく、投資全般にも通じる本質的なテーマだと感じました。つまり、どの分野でも「知識を持っているかどうか」がリターンを左右し、「格差社会における最大の資産は情報そのものである」ということです。

 こうした経験を踏まえると、投資においても日常生活においても「情報をどう扱うか」が決定的に重要であることがよくわかります。

 知識がある人は、制度やしくみを最大限に活用し、コストを抑えたり、リターンを高めたりすることができます。

 その一方、情報を持たない人は同じ商品・同じ市場であっても不利な条件を強いられます。パキロビッドをめぐる今回の出来事は、そのような現実を如実に示すと同時に、投資家としての姿勢を改めて考えさせられる体験となりました。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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