いよいよ上場するJR九州株。配当利回りや株主優待などの株主還元策がどのように評価されるのか、初値はいったいいくらになるのかなどに注目が集まっている。上場を明日に控えた今、JR九州(9142)の株主優待や配当利回りなどをチェックしつつ、今後の動向を予想する!
【JR九州の配当・株主優待の評価は?】
JR東日本やJR東海、JR西日本と比較しても
JR九州が株主優待の内容も配当も一番充実している!
JR九州(9142)の株主優待は、片道乗車券が5割引になる「鉄道株主優待券」のほか、「ホテルオークラJRハウテンボス」や「JR九州ホテル」などのホテルの宿泊料金3~5割引、福岡-釜山を運行する高速船「ビートル」の特別割引運賃(61%割引)などの優待が受けられる「グループ株主優待券」がもらえる。
「株主優待の内容はJR西日本(9021)に準じており、JR東日本(9020)やJR東海(9022)よりも充実しています。ホテルオークラJRハウステンボスの5割引も魅力的ですし、九州在住者はもとより、株主優待を使ってお得な旅ができるので、旅行好きの人にとっても魅力大です」(東京IPOコラムニスト・松尾範久さん)
さらに、配当に関しても魅力は十分。今期は半期なので配当性向15%だが、来期以降は配当性向30%の意向を示している。ブックビルディングの上限で決まった公開価格2600円で計算すると、半期となる今期の配当利回りは1.44%だが、来期以降は配当利回りが約3%にアップする見込みだ。
「配当利回りはJR4社中トップの水準で、株主優待も含めると、個人投資家に十分に訴求する内容だと思います」(フィスコの株式アナリスト・小林大純さん)
株主還元内容の魅力が、上場する明日以降の個人投資家の投資意欲を高める原動力になりそうだ。
【JR九州の公開価格は割高か? 初値はどうなる?】
JR九州の機関投資家の評価は意外に高く、
初値は公開価格を上回る2700~3000円程度か
上場前に500分割を実施したJR九州(9142)の今回の放出株数は1億6000万株。このうち、25%が海外投資家に割り当てられている。そして、公開価格は仮条件(2400~2600円)の上限の2600円となったが、明日の初値はどうなるのか。
「公開価格2600円で計算すると売出総額は4160億円となります。これはJR九州(9142)から見ればかなり強気な水準で決まったことになります。JR西日本(9021)とほぼ同等の評価で、機関投資家からの評価が高いことが窺えます」(小林さん)
とはいえ、公開価格で算出すると、予想PERは10.9倍、PBRは1.39倍、配当利回りは1.44%となる。予想PERは地理的に近いJR西日本(9021)の11.5倍をやや下回る水準だ。
「減価償却費を加味して算出したEV/EBITDA倍率での適正価格3100円と比べると公開価格は割安で、上値余地が十分にあります」(DHZフィナンシャルリサーチのアナリスト・田中一実さん)
したがって、初値は公開価格2600円を上回ることが予想される。
「個人投資家の観点からは株主還元の水準に魅力があり、公開価格をやや上回る2700~3000円の初値形成を見込んでいます」(小林さん)
IPOの抽選で当たらなかった個人投資家にも、いよいよ明日、JR九州に投資するチャンスが来る。現在発売中のダイヤモンド・ザイ12月号では、IPOの専門家3人が今後のJR九州の株価の高値と安値、そしてその時期をズバリ予測!
また、ダイヤモンド・ザイ12月号には、上場から1年が経過する郵政3社株の今後の対応策も載っている。3社とも公開価格程度まで下落した今、保有を継続するのか、損切りしたほうがいいのか、はたまた新規の買いチャンスなのか。郵政3社株の保有者もそうでない人も必読だ。
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【2024年12月2日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |