長期保有目的の高配当株が大きく値上がり、利確すべき？/日経平均続落【今日の注目株＆日本株市場見通し】「デイリーZAi」11月18日号

◆今日の内容を10秒でチェック！
・日経平均は1600円安…警戒感高まりAI関連中心に全面安
・ソフトバンクGなど急落、KDDIなどディフェンシブの一角に買い
・長期保有目的の高配当株が大きく値上がり、利確すべき？

【1】今日の株式相場＆話題株 早わかり！
日経平均は1600円安…警戒感高まりAI関連中心に全面安

【今日の相場】

　日経平均株価は大幅に3日続落！ 17日の米国市場で主要株価指数はそろって下落し、投資家心理を反映し恐怖指数とも呼ばれるVIX指数は警戒水準とされる20を上回った。19日に予定されている半導体大手エヌビディアの決算を控える中、著名投資家のピーター・ティール氏が同社株を全て売却したことが判明し、警戒感が広がった。また、連邦準備理事会（FRB）高官から利下げに慎重な発言があり、景気の不透明感が景気敏感株の重石になった。日経平均株価は5万円を割り込んではじまると、暗号資産（仮想通貨）相場の急落も投資家心理を悪化させ、終日軟調な展開となった。半導体などのAI（人工知能）関連株を中心に幅広い銘柄が大きく下落し、下げ幅は1600円を超えた。

　JX金属などの非鉄金属やフジクラなどの電線株といったAI関連のほか、三菱重工業などの防衛関連も大きく下落し、東証33業種すべてが下落した。なお、米国では、グーグルを傘下にもつアルファベットについて、著名投資家のジョージ・ソロス氏やウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社の買い増しや新規取得が明らかになり、同社株は前日逆行高となっていた。

【日経平均】48702.98円↓↓（-1620.93円）
【グロース250】679.97↓↓（-18.56）
【NYダウ】46590.24ドル↓↓（-557.24ドル、17日）
【ナスダック】22708.075↓（-192.514、17日）

■日経平均株価チャート／日足・6カ月

 

【今日の話題株】

◆ソフトバンクグループ（9984）
1万8820円（－1520円）
　上期決算では、AI関連株に投資するファンド事業の好調や米オープンAIへの出資に伴う投資利益が大幅増益に寄与した。一方、AI関連株については、過剰投資への懸念から調整色が強まる中、バブルを指摘する声が増えているほか、著名投資家の持ち高削減なども確認されており、警戒感が高まっている。これに伴い、オープンAIの評価額減少のリスクなどが意識されているようだ。

◆KDDI（9433）
2664.0円（＋3.5円）
　投資家の警戒感が高まり、これまで物色が集中していたAI関連株に売りが広がる一方、ディフェンシブ性の高い通信や医薬品の一角に買いが向かった。これらの銘柄は日経平均株価が5万円を突破していく過程で上昇率が相対的に小さかったことで、出遅れ解消を意識した動きもあったようだ。

◆サンリオ（8136）
5539円（＋80円）
　久々に1％を超える上昇となった。上期決算は市場予想を上回り、業績予想の上方修正や配当予想の増額も発表されたが、市場の高い期待を上回ることができなかった。また、前日は中国政府の日本への渡航自粛要請を受け、日中関係の悪化が成長けん引役の中国需要を鈍化させるとの懸念が高まった。一方、決算後から前日までの下落率が3割弱と大きかったほか、下期計画は保守的との見方もあり、押し目買いにつながったようだ。

【2】火曜コーナー「投資＆おかねのギモン」
長期保有目的の高配当株が大きく値上がり、利確すべき？

（ご質問）
　配当収入と緩やかな値上がりを見込んで、高配当株を長期保有するつもりで買ったのですが、株価が急騰して含み益が大きくなりました。この場合、利益確定するべきでしょうか？

（答え）
　今後も株価上昇の余地があるかどうかで判断を。これ以上の上昇が見込めないと思うなら、利益を確定してより有望な株に乗り換えるといいでしょう！

　日経平均株価が5万円前後で推移するなど、日本株の好調が続いています。そんな中、長期投資の前提で買った株が急ピッチで値上がりし、対応に戸惑っている人もいるようです。そこで、ザイの配当アナリスト、仲村幸浩さんに、売却か保有継続かを決める際の判断について聞きました。

 「株を買う際には『このぐらいまで値上がりするだろう』と、自身で目標株価を設定しておくのがおススメです。その株価に到達しておらず、まだまだ上昇余地があると考えるなら保有を続けるといいでしょう。一方、目標株価を設定していなかった場合や、目標株価に近づいている、または到達している場合は、さらなる株価の上昇を期待できるかで判断しましょう。好業績や増配を発表したなど株価上昇の理由に納得感があり、さらなる値上がりに期待が持てるなら、保有継続を。その際、次の売り目標＝株価を設定しておきましょう。反対に、「新製品のうわさが広まっただけ」「好業績の理由が一時的」など、さらなる値上がりの根拠に欠けるなら利益確定を考えましょう。

　適正な目標株価や今後の値動きの判断に自信が持てない人もいるかと思います。その場合はとりあえず保有株数の半分を利益確定するという手も。その後株価が上昇すればラッキー。たとえ下落しても、一定の利益はすでに確保しているのでショックも少なくて済みます。

　一方で、最近は多くの企業が株主還元に積極的な姿勢をとっており、優良な高配当株は多くあります。利回りや将来性で、より好条件な銘柄が見つけられるなら、そちらに乗り換えるのも手でしょう」

　利益確定を考えている銘柄をNISA以外の口座（＝課税口座）で保有している場合は、課税口座内の含み損銘柄の損切りを検討するといいと仲村さんはアドバイスします。

 「課税口座では、同一年分の利益と損失を相殺する『損益通算』が使えます。損切りで確定した損失分を利益から差引くことで、税金の負担を軽減することができます。無理に売る必要はありませんが、含み損を抱える銘柄を整理する機会にもなるので、ぜひ検討を」

　売り時の判断は、買い時以上に悩ましいもの。感情に振り回されず、目標株価を軸に売るかどうか判断し、損益通算もうまく活用しましょう。

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