ブラジルレアル型の毎月分配型投信は急回復中の今、本当に買って大丈夫か？　下落リスクのあるブラジルレアルに投資する際のコツと注意点をプロが伝授！

いまや投資信託の中で主流になっている「毎月分配型」の商品。その中でも一時期人気化したブラジルレアル型の投資信託はいまだに保有残高が多い。しかし、毎月分配金がもらえるのは確かにうれしいものの、実のところ毎月分配型の投資信託は分配金を出す代わりに元本を目減りさせているもの……。毎月分配型投信に投資する際は、投資信託の本当の実力を見極めることが重要だ。

ダイヤモンド・ザイは、「人気投信100本！　買っていい×買ってはダメ　毎月分配型の利回り診断！　本当の利回り＆分配健全度を大公開！」特集のなかで毎月分配型投資信託の本当の実力を診断！　今回はその中から、今回好成績ぶりが目立った「ブラジルレアル型」の毎月分配型投資信託に関するプロの意見を、抜粋して紹介する！

ブラジルレアルの上昇が加速したが、
過去の経験から個人投資家は慎重

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　過去を振り返ってみると、米国の利上げ観測により、新興国投資からのリスク回避の流れが加速した時期、ブラジルレアルは、2015年の1年間に対円で約40％も下落。一時は1レアル＝28円台を割り込み、史上最安値を更新した。

　その後、2016年に底入れし、10月にはブラジルが利下げを決定。一般的には利下げが行われると通貨安となるが、ブラジルレアルは利下げ局面に上昇する傾向があるため、利下げに伴い、ブラジルレアル型投資信託も上昇が加速。底値からすでに30％近く回復している。

　そして、2016年6月末時点だと、ブラジルレアル型投資信託は、「本当の利回り」が、30％以上のマイナスになっているものが多かった（※「本当の利回り」＝基準価額が下落した場合、「1年間の分配金合計額から基準価額の下落分を引いたもの」を、「1年前の基準価額」で割って算出する利回り）。しかし、利下げ以降は、ブラジルレアル型投資信託の「本当の利回り」も急回復中だ。

　ダイヤモンド・ザイの特集「人気投信100本！　買っていい×買ってはダメ　毎月分配型の利回り診断！　本当の利回り＆分配健全度を大公開！」では、人気100本の中にブラジルレアル型投資信託が10本含まれている。これらの動きを見ると、直近1年間の「本当の利回り」が30％超まで回復している投資信託も出てきており、成績が様変わりしていることがわかる。

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 「ただ、2010年のブラジルレアルブームの時は、保守的な顧客を抱える銀行でも積極的に販売され、その後の下落で資産が大きく目減りした投資家も多かったと思われます。今は過去の教訓から、誰もがブラジルレアルに投資して人気が過熱している状況ではありません。ブームの時に8兆円近く（投資信託全体の2割）まで資金が集まったレアル関連ですが、今は2兆円（投信全体の3％程度）に留まっています」（ドイチェ・アセット・マネジメントの藤原延介さん）

今後の米国の利上げによる資金流出への懸念が残る

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　過去の値動きからわかるように、ブラジルレアルは値動きが非常に大きい通貨だ。たとえ、直近の成績がよくても、資産運用の中核として位置づけるのではなく、資産の一部に限定して組み入れるべき資産と心得ておくことが大事だ。

 「値動きが大きいので、保有後に長期でほったらかしにするのではなく、ブラジルの経済動向や世界経済の環境などを踏まえ、見通しをある程度持って保有すべき通貨です」（藤原さん）

　高金利通貨なので、ブラジルレアル型は高分配を出す投資信託が多いが、通貨の値動きが大きく、基準価額の変動が激しい点に注意しよう。ブラジルレアル以外の、トルコリラや南ア・ランドなどの新興国や資源国通貨にも、同じことがいえる。

　今後の米国の利上げにより、新興国通貨からの資金流出懸念は残る。足下の成績が回復しているからといって、今後の見通しについて楽観視するのは危険だ。

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