iDeCo(個人型確定拠出年金)おすすめ比較&徹底解説[2024年]

30代は「iDeCo」を始めるのにベストなタイミング!20年以上の時間を味方にして、掛金は月1万円以上、100%投資信託に投資して運用利回りアップを狙おう

2017年12月6日公開(2022年3月29日更新)
山崎 俊輔
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30代は「iDeCo」への加入を考えるのにちょうどいい時期

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 「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、毎月の掛金が全額所得控除になるうえ、運用益が非課税になるなど、節税メリットが大きい老後の資産形成にお得な制度です。

 前回は20代からの「iDeCo」の活用術についてお話ししましたが、今回は30代から「iDeCo」に加入するメリットと上手な活用法を解説します。

【※20代、40代、50代の「iDeCo」活用術はこちら!】
20代で「iDeCo」を始めるメリット・デメリットは? 会社員なら10年で最大55万円超が節税できるほか、30年以上の時間を味方にすれば運用益も期待できる!
40代から「iDeCo」を使って老後資金を増やす方法!「iDeCo」以外の資産も考慮して、節税メリットと期待リターンを計算する効率的な運用戦略を伝授!
50代から「iDeCo」を始めるメリットと注意点は? すでに「iDeCo」に加入している50代はいつ利益確定すべきか、60歳で後悔しないための運用戦略も解説!

 30代は、「iDeCo」をスタートする最もよいタイミングだと私は考えています。20代は人生やキャリアが今後どうなるのか、まだほとんど白紙の状態で年齢を重ねている人もいらっしゃいます。ですから、あまりにも遠い未来の老後のためにお金を使うより、目の前のキャリアアップにお金を使ったほうがいいケースもあるでしょう。

 一方30代の場合、多くの人が仕事とプライベートの両面で大きな変化を迎えるタイミングです。30代は少しずつ将来を設計し、ビジョンを持った行動が求められていくようになります。

 特に「30代後半」は自分の今後の人生を意識し、コントロールしていく時期です。30代を終える前にはぜひとも「iDeCo」をスタートしておきたいものです。それはきっと、60歳以降の老後資金を上積みする大きなエンジンになるはずです。

 それでは早速、30代の「iDeCo」との上手な付き合い方を考えてみましょう。

30代は「iDeCo」への加入を先送りしがち!
人生の岐路に立つ30代こそ「iDeCo」を始めるべき

 30代で「iDeCo」を検討している人に多いのは、「もう少ししてから考えよう」と「iDeCo」への加入を先送りするケースです。おそらく30代は公私ともにいろいろなことがあって、落ち着いて老後のことを考える余裕があまりないのだと思います。しかし、そうした理由で、老後の資産形成につながるうえ、節税メリットも大きい「iDeCo」への加入を先送りするのは非常にもったいないことです。

 プライベートでは、適齢期を迎えて結婚したり、結婚してマイホームを買ったり、もしくは子どもが生まれたり……と、その後の人生に数千万円の影響を及ぼす、人生の一大イベントの多くが30代から40代にかけて起こります。人生に大きな変化が訪れる年代です。そのほか、家を買ったり子どもが産まれたりするなど、その後の人生に数千万円の影響を及ぼす人生の一大イベントが、多くの場合、30代から40代にかけて起こります。

 仕事においても、将来どれくらい稼げるのか、おおむねその感覚がつかめるようになってくるのは30代です。今働いている会社では、少しずつ昇格のチャンスが到来し始めます。転職などを検討する場合は、30代の10年間で収入面でも大きな変化があるかもしれません。キャリアについては、もう一歩上を目指して転職するのか、今の会社で腹をくくってみるのか悩む時期ではないでしょうか。

 このとき「老後のことはもう少ししてから」と考えていると、多くの人が40歳まで何もせずに終わってしまうことになるでしょう。

 おひとりさまにも、結婚した人にも、子どもが1人の人にも、子ども3人の人にも、誰のところにも老後は必ずやってきます。ですから、早い段階から老後に備えた資産形成を始めて損はありません。

30代からスタートすると、時間を味方にできる!
開始年齢が35歳と45歳では、元本だけで144万円の差に!

 そこでもし、35歳から「iDeCo」の積み立てをスタートすれば、60歳になるまでの25年の間、資金を積み立てることができます。しかし、スタートが45歳まで遅れれば、積立期間は15年になってしまいます。この10年は定期的な積み立てをする場合、大きな差になります。

 まず元本ベースで大きな差になります。「iDeCo」の場合、「最初は少額から始めて、後から毎月5~6万円を拠出してガンガン貯める」というような使い方はできません。一般的な会社員の場合、月1万2000円(公務員や企業年金のある会社員)か、月2万3000円(企業年金のない会社員か専業主婦)が掛金の上限です。(自営業者の場合だけ月6万8000円が掛金の上限になりますが、自営業者だと厚生年金のない分、老後資金を蓄える自助努力を会社員以上に行う必要があり、若いうちから「iDeCo」を活用することがより重要になります)

 仮に毎月1万2000円を拠出すれば、35歳スタートなら60歳までに元本360万円(月1万2000円×12ヵ月×25年)を拠出できます。しかし45歳スタートであれば、経済的余力があろうとなかろうと、掛金の上限金額が1万2000円なら、元本216万円(月1万2000円×12ヵ月×15年)までしか資金を積めません。「iDeCo」を始めるのが10年違えば、元本の10年の差は実に144万円になります。

 これにもし年4%の運用益がプラスされたとしたら、35歳スタートのほうがさらに有利になります。運用益の積み重ね、複利効果が生じて差が拡大するからです。

 45歳から「iDeCo」をスタートし、月1万2000円の掛金に年4%の運用益が上乗せされると、60歳時点での受け取りは元本をはるかに上回る295万円になります。一方で35歳から「iDeCo」をスタートし、月1万2000円の掛金に年4%の運用益が乗ると、最終受取額は617万円まで増えます。4%の運用益を考慮すると、iDeCoを35歳で始めるのと45歳で始めるのでは、その差はなんと322万円に広がります。

 つまり、「iDeCo」を35歳で始めるのと45歳で始める場合の元本の金額の差は約1.66倍ですが、4%の運用益を含めると両者の差は約2.1倍に拡大します。これは「iDeCo」を途中で解約せず、投資を継続したことで得られる複利効果によるものです。同じ運用益を得られるなら、長期で資金を運用したほうが、その価値は拡大していくからです。

 さらに、掛金の全額が所得控除になるという節税メリットも、35歳から「iDeCo」を始めるのと45歳から始めるのでは大きな差をもたらします。税率20%の人が毎月1万2000円を「iDeCo」に拠出していたとすると、35歳から始めたほうが「月1万2000円×12ヵ月×10年×税率20%」=28万8000円も多く節税することができます。つまり、「iDeCo」を35歳から始めた人と45歳から始めた人では、節税効果だけですでに28万8000円もの差がついているのです。

 45歳になってから、「もっと前からiDeCoを始めればよかった…」と“失われた10年”を後悔することがないように、早く「iDeCo」への加入することをおすすめします。

できれば月1万円以上、投資比率100%で積み立てを!
長期の積立投資なら運用リスクも低減される!

 ここまで解説してきたように、30代から「iDeCo」に加入すると、長期の運用で運用益の複利効果に期待できることから、定期預金ではなく、投資信託への投資をぜひ検討したいところです。しかし、投資信託への投資は、元本割れするかもしれないという運用リスクを恐れて、ためらっている人も多いようです。

 では実際のところ、積立投資をする際に元本割れする可能性はどれくらい高いのでしょうか。確率的には、20年以上にわたって国内外のグローバル株式に積立投資をした場合、約99.04%の確率でプラスになったうえ、インフレにも約99.52%の確率で勝っているそうです(※1980年以降の208回の20年積み立て投資のシミュレーション。名古屋市立大学教授臼杵政治氏の試算「第6回社会保障審議会企業年金部会 確定拠出年金の運用に関する専門委員会」(厚生労働省)より)。

 一時的に株価が下がったとしても、長期の目線で投資を考えると、将来的に株価の回復が想定されます。であれば、株価低迷期はむしろ「安く買うために好都合な時期」になります。私はリーマンショック以降の株価下落時に、「iDeCo」ではひたすら投資比率100%で追加拠出を続けていましたが、今ではその頃のガマンが功を奏して、年9%以上の運用利回りを確保することに成功しています。

 年9%の利回りはアベノミクスが二段階で起きたことによる「出来すぎ」のところがありますが、株価が下がっているときも投資を続け、含み損が出ても手放さないことはどんな人の「iDeCo」投資でも重要です。30代からの「iDeCo」投資ではもっとも重要です。ぜひ長い目で見て、投資から逃げず、投資を続けるようにしてください。

 掛金の額については、30代の「iDeCo」加入であれば月1万円の積み立ては目標にしたいところです。1万2000円が掛金の上限でしたら、1万円からもうひとがんばりして1万2000円を設定してみてください。

 ここまでお話ししてきたことや「iDeCo」が60歳まで解約できないことを踏まえて、運用方針は「100%投資信託」にするのも構わないでしょう。運用益が非課税という「iDeCo」のメリットを十二分に活かして、マーケットが好転したときには、年5%を超える平均利回りを実現することも不可能ではないと思います。

30代で「アラフォー」の声を聞いたら「iDeCo」を検討!

 さて、ここまで30代で「iDeCo」に加入するメリットをお伝えしてきました。

 30代を前半と後半に分けるとすれば、前半は「iDeCoにできれば加入」というステージです。そして30代後半は、「ぜひともiDeCoに加入したい」へとステージが移ってきます。

 40歳を前に「iDeCo」への加入の決断をして、積立投資をスタートできればと老後の大きなアドバンテージになることはすでに話したとおりです。

 30歳から35歳になるまでは、まだ老後のことより結婚や目の前のキャリアアップを優先することが許されるギリギリの年代です。しかし35歳の誕生日を迎え、友人から「あなたもアラフォーの仲間入りだね」と言われ始めたら、まじめに「iDeCo」のことを考えてみてください。

 おそらく「35歳になったから、まずは『iDeCo』の口座開設をしよう!」と思う人はあまりいないでしょう。しかし、35歳から40歳までの5年間のどこかで、「iDeCo」開始の手続きをしてほしいところです。

 「iDeCo」が老後資金づくりにどんなに有利な制度でも、自分で資料請求し、自分で書類に記入し、自分で投函しなければ、積み立て投資はスタートしません。30代後半の方は今すぐに「iDeCo」への加入を、そして30代前半の方は「アラフォーの声を聞いたらiDeCo検討」と覚えておいてください。

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山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)[ファイナンシャルプランナー]
1995年株式会社企業年金研究所入社後、FP総研を経て独立。ファイナンシャル・プランナー(2級FP技能士、AFP)、1級DCプランナー(企業年金総合プランナー)、消費生活アドバイザー。若いうちから老後に備える重要性を訴え、投資教育、金銭教育、企業年金知識、公的年金知識の啓発について執筆・講演を中心に活動を行っている。
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どの金融機関でiDeCo口座を開設した場合でも、別途、国民年金基金連合会へ支払う加入時手数料2829円、国民年金基金連合会と信託銀行へ支払う手数料合計171円(毎月)かかる。受取時は給付手数料440円(1回毎)を信託銀行に支払う。還付時には、国民年金基金連合会と信託銀行への還付時手数料として合計1488円(1回毎)がかかる。運営機関変更時の手数料は「他の金融機関から」変更の場合で、「他の金融機関に」変更する場合は4400円の手数料が発生する場合がある。下記の金額は掛金を拠出する場合(すべて税込)。
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