海底油田が発見された
ガイアナとはどんな国?
ガイアナは、南アメリカ北東部に位置する共和国です。同国は1621年以降、オランダ西インド会社の管轄となり、1814年からは英国の植民地となりました。奴隷制度廃止に伴い、インド・パキスタン人の移民が流れ込んだため、今日でもインド系が人口の4割を占めています。
こうした歴史的背景から、ガイアナはいわゆる「ラテン系」のノリではなく、むしろ英領カリブ海諸国の文化に近いです。公用語も英語となっています。
ガイアナは産油国ベネズエラの隣に位置し
以前から油田発見が期待されていた
2015年にエクソン・モービル(ティッカーシンボル:XOM)が、ガイアナの首都、ジョージタウンから約200キロ沖合の海底で油田を発見しました。
この海域は、スターブロック鉱区という名前で、探索ならびに生産を行う石油会社のコンソーシアム(共同事業体)にとって、極めて有利な条件で権益が与えられました。その理由は、過去にガイアナから石油が出た実績がゼロだったので、そういう条件でしか石油会社を招致することができなかったからです。
しかしガイアナは、昔から「ここから石油が出てもおかしくない」と考えられてきました。今から2.5億年前、北米大陸、南米大陸、アフリカ大陸はぜんぶひとかたまりの大きな大陸でした。それが徐々に分離し、約1億年前に現在の位置におさまったのです。
南米大陸とアフリカ大陸がちぎれた部分は、大陸棚となっています。そのアフリカ側は現在のナイジェリアであり、3750万バレルの確認埋蔵量を持つ産油国です。
その南米側は、ベネズエラやガイアナになるわけです。ベネズエラは、3億バレルという世界最大の確認埋蔵量を誇る産油国です。
ガイアナは、そのベネズエラの隣に位置しており、実際、ベネズエラ政府はガイアナの領土の一部を「これはもともと我が国のものである」と領有を主張しています。
ガイアナの海底油田には、
32億バレルもの原油が眠っている?
さて、今回探索が行われているスターブロック鉱区では、これまでに8つの油井が試掘に成功しています。
最初に石油が出たのはリザ油田で、海面から1700メートルの海底を、さらに3600メートル掘り進んだところに油層を発見しました。大陸棚に河川からもたらされた堆積物がどんどん積り、その細かい砂の隙間に石油が貯まる、いわゆるサンドストーン構造を形成したというわけです。
エクソン・モービルのコンソーシアムは、リザ油田の発見後、リザ・ディープ、パヤラ、スヌック、ターボなど、次々に試掘に成功しています。
また、最近試掘に成功したレンジャー・ワン油田は、海底2700メートル、掘削深度6400メートルのところにある油層で、ここはサンドストーン構造ではなく、サンゴ礁に原油が閉じ込められた構造となっています。つまりガイアナの油田は、単一地域、単一構造ではなく、幅広く分布していることが確認されたわけです。
エクソン・モービルは「これまでに確認されているだけで32億バレルの原油がある」としています。また、生産コストは1バレル当り35ドルと見られており、世界の油田の中でもかなり低い方になります。
探索・生産にあたるコンソーシアムは、エクソン・モービル、ヘス(ティッカーシンボル:HES)、中国海洋石油(ティッカーシンボル:CEO)の3社で、各社の権益比率は45:30:25です。
生産開始は、2020年3月を見込んでいます。
10年後、ガイアナは、国民ひとり当りの年間原油生産高がクウェート、カタールに次いで世界第3位になると試算されており、国庫が潤う事が予想されます。
ガイアナの海底油田発見で
買うべき銘柄は?
さて、ガイアナのストーリーを買うなら、ヘスを買うのが良いと思います。その理由は同社がコンソーシアムを構成する3社中、最も小さい企業であり、その分、新油田が売上高に与える影響が大きいからです。
ヘスは、独立系の石油探索・生産会社で、現在の主力油田はノースダコタ州のバーケン油田、メキシコ湾ならびにマレーシアのオフショア油田です。
2020年からガイアナで原油生産が開始されると、ガイアナの寄与度がどんどん伸びると予想されており、2023年までには全体の生産高の4分の1程度を占めると見られています。
ヘスは、ガイアナの石油開発に必要な先行投資費用を資産売却により手当済みであり、資金調達の必要はありません。また、同社の負債比率は15%で、同業他社中、最も低い部類に入ります。
【今週のまとめ】
2020年から本格生産が始まる
ガイアナの海底油田の恩恵を狙え!
世界の注目する新たなオフショア油田が、ガイアナで発見されました。この油田は、ガイアナ経済を大きく変えるポテンシャルを秘めています。
これまで行われた試掘の結果は上々です。いよいよ2020年から本格生産が始まります。銘柄的には、ヘスが一番恩恵をこうむると思われます。
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