年金2000万円問題から日本株の配当利回りに着目する方々も増えているようです。
今回は、配当利回りの高い株を選ぶ場合の注意点を書きます。
結論から言うと「同じ利回りであれば配当性向が低い方がよい」ということになります。配当性向とは、一株あたりの純利益に対する配当の割合です。
例えば、いくら配当が高くても、配当性向が100%に近いもの、あるいは、100%を超えるものは、来期以降に減配となる可能性が高いのです。
例をあげるとキヤノン(7751)は配当利回りは高いのですが、利益が出せなくなってきました。その結果、今期末の配当は中間期には未定になってしまいました。仮に減配になってしまう、あるいは、無配になってしまうと、株価自体も下がってしまいます。そうなると投資は失敗になってしまうのです。
キヤノンは、ペーパーレス時代において複写機やプリンターの消耗品の需要が盛り上がらないばかりか、カメラ市場が縮小傾向にあり、厳しい状況が続きそうです。長期投資には今の状態では不適合かもしれません。
キヤノンほど業績は不振ではありませんが、JT(2914)やソフトバンク通信子会社(9434)も高い利回りですが、これらは配当性向が高いため、将来の減配リスクは相応にあります。通信子会社は業績が安定していますが、今後の展開は楽天などの新規参入などもあり要注意です。JTも喫煙率が新興国でも低下傾向にあり先行きは読めません。
配当性向40%未満の銘柄が安全
配当利回り優先の銘柄選びをするとしても、その方法としては、配当性向が40%未満のものが安全であろうと思います。理由は利益が半減したとしても、減配になるとは限らないからです。100の利益のうち30を配当として出しても、利益が50になっても、50から30は出そうと思えば出せるからです。これが100の利益のうちすでに80を配当として出しているソフトバンク通信子会社やJTでは、利益が50となったら、配当の80は維持される可能性は低いでしょう。
配当利回りでスクリーニングなどをすると、高利回り株の多くは、潜在的なリスクが大きい事業を営んでいて成熟している企業ばかりです。
石油の元売りであったり、商社であったり、市況に左右される化学や鉄鋼メーカが多数を占めます。
今、たまたま市況がよいため、総合商社や大手鉄鋼や化学メーカの中には利回りが高いのですが、一旦、市況が崩れると利益は数分の1、悪い時には赤字になってしまうことがあります。
今、日本株には利回り5%以上の高配当銘柄が多数
ただ、成熟性を差し引いても、現在の日本株の中には、利回りが5%を超えるものがゴロゴロしているのです。企業は、得られる売上が減ったとしても、その分、費用を抑えてくれます。そのため、概ね毎年のキャッシュフローは黒字です。成長しない、利益が伸びない企業であっても、配当はずっと継続できる見通しは立つのです。これが株式投資の面白いところなのです。配当に着目するのは典型的なバリュー投資なのです。
条件は、
1) 時価総額が1000億円以上で流動性があること、
2) 配当利回りが5%であること
3) 配当性向が40%未満であること
4) 過去の業績から計算した理論株価が現在の株価よりも1.3倍以上高いこと
以上からピックアップできる銘柄を分析して投資対象に加えてみてはいかがでしょうか?
DFR投資助言者 山本潤
この連載は、10年で10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページで今回ピックアップした具体的な長期投資向けの高配当銘柄や資産10倍を目指すポートフォリオの提案や売買アドバイス、成長株投資の分析法などもご覧いただけます。