NISAは短期投資ではなく、中長期投資に向く
今回はNISA口座の活用法を紹介します。NISAで投資するお勧めの銘柄も紹介しますので、ご期待ください。NISAには2種類あり、1つが「一般NISA」、もう1つが「つみたてNISA」です。一般NISAとつみたてNISAは同じ年で併用できません。
一般NISAは、1年間で120万円の株式や投資信託を購入でき、それらのキャピタルゲイン(売却益)やインカムゲイン(配当金)が最長5年間非課税になります。通常は20%の税金がかかることを考えると大きなメリットです。
5年という非課税期間を考慮した場合、中長期投資に向いていると言え、NISA投資する際の銘柄選びも中長期でデザインする姿勢が大切です。逆に言えば、次に述べるような「拙速」な短期投資はやめておくのが賢明です。
NISA投資で避けた方がいい銘柄とは
NISAを活用した中長期投資で避けた方がいい銘柄は3種類あります。
1)今年になり株価が倍以上になるなど調子の良すぎる銘柄。来年以降に失速する懸念が大きい
2)構造不況業種で配当利回りがあまりにも高い銘柄。長期でキャピタルロスする懸念が大きい
3)今期が大幅増益など足元のモメンタムが強すぎる銘柄。来年以降に悪化する懸念が大きい
多くの機関投資家や個人投資家は短期の傾向が強く、今年調子が良い銘柄を購入しがちです。そのため業績好調な銘柄は人気化し、高値をつけています。こうした銘柄に飛びつくと大変です。なぜなら、来年になると、短期投資家はこぞって利益確定し、全く異なる銘柄を物色するからです。短期投資家が好むブーム株や旬のテーマ株を選らなばいことで、高値つかみ後の暴落などによるキャピタルロスのリスクを減じることができるからです。
NISAで有効な銘柄選びの3つの条件
NISA投資のコツは、今は全くダメだが、数年後に大丈夫になるだろうという銘柄を選ぶことです。今は業績低迷して不人気だが、来年以降に業績が回復してキャピタルゲインの見通しが立ちやすい銘柄がいいでしょう。あるいは、市況の良い悪いに関係なく着実に増収している企業も向いています。株価変動率が低く、滅多に減配にもならないため、キャピタルゲインもインカムゲインの両者を狙えるからです。銘柄選びの条件を整理すると、
条件1)長期的な展望があり、来年以降に売上や利益の増加が見込めること
条件2)不況下でも無配に転落せず、できればDOEを守る企業
条件3)前期業績等と比べてPERが20倍以内で人気化しておらず、現在の配当利回りが1%以上ある
DOEとは株主資本配当率のことで、自己資本に一定の比率をかけて配当額を決める方針です。毎年の利益は大きく変動するものの、DOEに沿って決める配当額はあまり変動しません。そのため、非課税期間中に運悪く不景気が来てキャピタルゲインが得られなかったとしても、DOEを守る企業であれば配当分の恩恵は受けられます。3つの条件のうち、条件1が最も重要です。条件2はできればあった方がよく、条件3は満たしているに越したことはないという程度です。
NISA投資で狙い目のセクターや銘柄を公開
狙い目のセクターの1つは商社でしょうか。DOEを掲げる企業が多く、現在、資源価格が低迷して業績が落ち込んでいるものの、リバウンドが期待できそうだからです。テレワークや外出自粛の影響を大きく受けて業績が低迷している鉄道会社や大手不動産会社なども狙い目でしょう。また新車販売が落ち込んでいる自動車会社、例えば、高配当のSUBARUなどはインカムゲインとキャピタルゲインが狙えるでしょう。今、コロナで状況が悪くとも、数年後に良い状況になることが見込める企業が狙い目です。
私が助言するDFRポートフォリオの組み入れ銘柄の中から、NISAの非課税上限額120万円で投資するなら、2020年10月時点で以下の銘柄を選びたいと思います。
= DFR NISA枠120万円ポートフォリオ2020年10月=
5214 日本電気硝子 20万円(過去一度も営業損失はありません)
6055 ジャパンマテリアル 14万円(ストック型のビジネスモデル)
6289 技研製作所40万円 (実質的なDOE。10倍の売上も将来期待できます)
8570 イオンフィナンシャル サービス 11万円 (アジアにおける中間層の成長を取り込む計画)
7701 島津製作所 30万円 (アジアにおける中間層の成長を取り込む計画)
6539 MS-JAPAN 8万円(エムスリーの管理部門版を目指す壮大な計画)
6235 オプトラン 22万円(5GやIoT時代に必要な光学薄膜装置の需要増大)
NISAに限りませんが、長期投資のコツは株価が十分に下がっており、長期展望が見込める銘柄を選ぶことです。株価は下がれば下がるほど再投資利回りが高くなり、長期投資する上で極めて有利です。
「つみたてNISA」は日米の株式インデックス投信で十分
投信などを毎月一定額を積み立てる「つみたてNISA」は、非課税上限が年間40万円と少ないものの、投信の売却益や分配金が20年間非課税になるメリットがあります。つみたてNISAで選ぶ投信は、長期間積み立てることもあり、日米のインデックス投信、Jリート投信など、仕組みがシンプルで手数料が安い投信を選びましょう。逆にヘッジしていたり、レバレッジをかけていたり、市況に応じて複数の戦略を使い分けるなどの複雑な投信は、余計なコストがかかったり、価額変動が大きかったりするのでやめておきましょう。高金利通貨や新興国国債に投資する投信も大きく損をする可能性もあります。
(DFR投資助言者 山本潤)
この連載は、長期投資で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます。山本潤氏の新刊が発売『初心者でも勝率99%の株ポートフォリオ戦略』。