株価下落で、今が長期投資の仕込み場の竹本容器(4248)
竹本容器(4248)は、化粧品や日用品などに使われる樹脂容器メーカーです。顧客が金型代を負担せずに済む「スダンダードボトル」市場を開拓し、業績を拡大しています。直近の四半期決算でインド事業の特損を出したため、株価は916円(11月25日終値)と調整中ですが、来期の業績や長期の見通しに立てば、長期投資の格好の仕込み場と考えています。DFRポートフォリオに組み入れています。
金型代を負担せずに済む「スタンダードボトル」市場を開拓
容器は樹脂材料を金型に射出成型して製造します。一般的にカスタム成型が中心で、例えば、飲料用ペットボトルのように大量生産する場合はカスタム成型で行い、金型代は顧客が負担します。一方、同社のビジネスモデルの特徴は、数百万円かかる金型を自前で準備してカタログに掲載し、顧客に選んでもらうこと。顧客は金型代を負担しなくていいため、容器の製造コストを抑えることができます。
コスト削減できるスタンダードボトル市場は、中小企業を中心に人気があり、成長を続けています。例えば、ある中堅の化粧品メーカーが1種類の容器で5000個の化粧品を販売するとします。金型代が総額で200万円かかる場合、化粧品1個の金型代は400円にもなり、商品の価格競争力は低下します。またカスタム成型と比べて、金型開発が不要なため、開発期間を短縮できるのもメリットです。
世界で3500種類超の標準金型を保有。中国市場の開拓に成功
同社は3500種類を超える標準金型を保有し、毎年100~300種類の新しい金型を開発しています。それによって平凡で画一的な容器ではなく、デザインや機能性に優れる容器を提供しています。直販営業を行っているので、顧客の多様なニーズに応えられることも強みです。金型の品揃えが増えるほど、顧客の要望に幅広く応えることができ、同社の競争力は年々高まっていくと言えるでしょう。
海外展開も積極的で、日本と同じビジネスモデルで中国市場に展開し、成功を収めています。今後はインド、北米や欧州などへの展開も本格化。現在、同社が保有する金型は日本拠点が2340種類、中国拠点が1086種類、インド拠点は約100種類です。同社にとって各拠点の金型保有数は競争力を示すバロメーターと言えます。なぜなら、例えばインドの顧客が日本にしかない金型でしか成型できない場合、日本から金型を輸出するか、日本で容器を生産して輸出するほかありません。インドに金型を揃えることで、生産や輸送コストの削減、開発期間の短縮につながるのです。
技術開発にも積極的で、医薬品やワクチン向けの容器も研究
技術開発にも積極的に取り組んでいます。例えば、ALD(atmic layer deposition原子層堆積)などの最先端の加工技術を用いてナノレベル厚の酸化珪素膜を行いバリア性が極めて高い容器を開発し、食品鮮度を保つ容器などに使われています。
同社のビジネスモデルは機関投資家から高い評価を得ています。顧客ターゲットを中堅以下に設定することで価格交渉力が相対的に強く、収益力が高いからです。大手メーカーの下請けの場合、容器の原材料費などが下がれば、その分値下げを要請されたりしますが、同社ではその心配は要りません。
将来の展望に夢を持てる竹本容器は「永遠の買い」か
長期の業績見通しでは、インドや欧米などで新たな収益が期待でき、日本や中国ではカスタム市場を侵食することでさらなる業績拡大が期待できるでしょう。中国における容器市場の規模は日本の10倍です。同社の現在の中国の売上は日本の4分の1にすぎませんが、20年後に日本の10倍になるかもしれない。インドも10倍になり、欧米も日本と同等になるかもしれない。売上10倍になれば、利益は100倍になるかもしれない。成長力が高ければ、株価は利益の増え方より大きく上がる可能性があります。
上記の展開が現実になると、長期で株価が数百倍になることも「絵空事」ではありません。株とは夢だ、とよく申しますが、その通りです。将来の展望に夢を持てる同社の株は「永遠の買い」と言えるかもしれません。
特損で株価下落。来期以降の回復を考えると、今は仕込み場か
足元の業績は、コロナの影響で店頭販売を主とする顧客の需要が減少したことによる落ち込みはあるでしょう。また直販や提案型営業を行う企業ほど短期的な影響を受けやすいものです。ただ、同社はそれでも減収はしたものの、営業増益を確保。ただ、インド事業で特損を出したため、株価は短期で下落しました。
今後の業績は期待できるため、今は長期的な仕込み場だと考えています。今期落ち込んだ化粧品の店頭販売などは、来期は少し回復するでしょう。また調達価格を10ヶ月先まで既に固定しているため、原料安のメリット享受を継続できることも大きいでしょう。
同社のリスクは扱う材料が樹脂(プラスチック)であり、それが与える環境負荷への懸念でしょう。ただ、樹脂の容器の環境負荷が本当に高いかどうかは、例えばガラスや金属と比べて輸送効率は良いなども考慮すると一概には言えません。社会的な要請が強ければリサイクル樹脂で対応するでしょう。それによって製造コストは少し上昇しますが、収益力への影響は軽微でしょう。
(DFR投資助言者 山本潤)
この連載は、10年で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤 10年で10倍を目指す! 超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます