超成長株投資で資産10倍計画!

リーマンショック以降、格差開いた日本と欧米企業。理由はESGの取り組みの遅れと投資家の受け身の姿勢。ESG底上げで日本株は大きくアウトパフォームする!山本潤の超成長株投資の真髄 第100回

2021年2月10日公開(2022年3月29日更新)
山本 潤
facebook-share
x-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

 世界の投資のスタンダードは長期投資

 投資は長期が中心です。世界で120兆ドルの資金を機関投資家が運用しており、そのうちヘッジファンドなどの短期投資は3%程度に過ぎません。機関投資家の多くはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行なっている)のように年金運用を目的として、株式を長期保有します。トレーダーが短期の需給で売買するのに対し、長期投資家は運用方針を厳格に守ります。

 長期投資家はリーマンショックやコロナショックのような「ここぞ」という数年に一度の暴落局面で買います。アセットアロケーションと呼びますが、暴落した株式評価の減少分を補うためにキャッシュを株に配分をするのです。私も過去、米系の機関投資家で年金を運用していましたが、売買は年に1回転を超えてはならないと厳命されていました。ちなみに日本のアクティブタイプの投資信託は2回転程度が多く、欧米の投資信託はその数分の1の回転です。

リーマンショックで開いた欧米企業と日本企業の差とは?

 さて、今回の本題は日本株が今後も底上げされる条件について考えたいと思います。ESGコンサルタントで『ESG思考』(講談社)の著書である夫馬賢治さんは「リーマンショックを起点に欧米の大企業と日本の大企業との間に格差が開いてしまった」と指摘しています。

 日本企業はリーマンショックで景気が悪化する中、利益の喪失を挽回しようと多くの費用を削減しました。派遣社員を解雇し、研究費を削減し、CSR(企業の社会的責任)や社会貢献、スポーツや芸術振興の予算なども削減しました。短期的に利益は回復しましたが、長期ではこの不味い決断が大きな出遅れを生んだのです。

 欧米企業は違う視点でリーマンショックをとらえていました。それは「見えないリスク」の存在です。例えば、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)。社債を元本保証する金融派生商品のはずが、大元の保険会社が潰れてしまった。リスクヘッジできていると思い込んでいたことが、実はできてはいなかった。

長期投資をする上で欠かせないキーワードがESG

 欧米企業は、他にも見えないリスクがないかを探したら、重大なリスクがありました。起きる確率が極めて低いため、普段は気にしないリスクです。例えば、地球が爆発したりする。こうした事象が起こる確率は極めて低いものの、万一生じたら人類は滅亡します。このように確率は低くても、生じた際のインパクトが重大な事象を欧米企業は探したのです。

 その筆頭が地球温暖化と人権の問題です。温暖化の被害は年々顕在化し、人権問題も深刻です。これらは経営を揺るがすリスクと考え、欧米はこうした問題の対処に投資する決断をしました。2009年、欧州議会でESG情報開示の強化方針が採択されます。米国は国家としての取り組みは遅れていますが、欧州顧客が多い米国のグローバル企業は自主的にESGに取り組みました。

 環境団体グリーンピースがGAFAを格付けした際、データセンターが槍玉に上がりました。電力を大量に消費する石炭火力のウエイトが高いことを理由に、アップルのESGスコアがGAFAの中で突出して低かったのです。アップルは中国で製品を製造しており、中国の発電は日本と同様に石化燃料が中心だからです。その後、アップルは迅速に対応し、自然エネルギー中心の運用方針に変更したのです。

 欧州は風力発電などの自然エネルギーに予算を注ぎ込み、石化発電比率を大幅に下げました。そして新しい産業を創出したのです。当然ながら、自然エネルギー関連の株価のパフォーマンスは高く、ESGに迅速に対応した欧米のグローバル企業の株価のパフォーマンスも高かったのです。

日本企業がESGの取り組みに遅れた原因

 日本企業の取り組みが遅れた理由は複数あります。『ESG思考』 によれば、「伊藤レポート」による8%ROE提言が短期の自社株買いだけを誘発したこと、四半期決算に対応するために目先の収益に固執したこと、研究開発費を削ったことなどが指摘されています。

 例えば、リーマンショック時と比べて中国企業は研究開発費を4.7倍、韓国は2.5倍、欧州は1.6倍、米国は1.4倍にしたにもかかわらず、残念ながら日本企業だけが削ってしまったのです。また、確かに現在のROEを改善するなら、自社株買いは効果的です。ですが真に重要なのは、将来のROEです。そのために10~20年という長期戦略を策定する必要があります。単年度や3年程度の中期計画では対処できないのです。

 例えば、炭素税は日本ではわずかに289円/t(トン)です。これを前提に10年後を考えることは正しいのでしょうか。北欧のスウェーデンは炭素税は約15000円/tです。しかし、経営者はそれを知るだけではダメです。現場では炭素を還元する装置が必要で、そのコストは汎用品で60000円/tです。将来、10000円程度の汎用品が出る可能性はありますが、289円ではない。長期戦略とは、炭素税が10000円/tになる場合を想定して事業の舵取りを考える必要があります。

ESGへの取り組みが遅れた要因は、投資家の受け身な姿勢もある

 日本でESGの取り組みが遅れた理由は、長期投資家が存在しなかったからだと考えています。欧米の投資家はアクティブが中心で、日本はパッシブ(ベンチマークから乖離しないことを目指す運用)が中心。欧米で投資家の役割が高いのに比べ、日本の投資家は受け身で声を上げなかったことによって、日本の劣後がはっきりしたのではないでしょうか。

 日本株を米株に劣後する冴えないアセットであるとする考えがあります。確かに、過去10年の日本の戦略は不味かったし、その通りになった。受け身で生きるならば、欧米や中国の投資家を当てにして日本が変わることを夢見ればよい。しかし、それでは他力本願が過ぎ、あまりにも情けないではないか。これをオントラックにすることが日本の投資家の重大な仕事の一つだ、と私は考えています。

ESGによる底上げで日本株は大きくアウトパフォームする!

 DFRでは夫馬さんが主張する「ESG思考」を未来志向の投資のあり方として当然のこととして受け入れ、日本企業へのガバナンスの強化に取り組む所存です。まずは私も含めて意識改革として、この世界が直面する問題を直視する必要があります。日本においては、企業がようやくESGに目を開いた状況です。GPIFのESGインデックスに基づく運用の採用が起爆剤になったのです。日本企業は変化が遅いが、変化を起こせば後は一直線です。横並びで改革する。それはよいことなのです。

 TOPIXなどのインデックスが好調なのは、日本株がESG底上げの期待ステージにあるからかもしれません。この機を逃さず、ESGで一挙にバリューが高まると想定される投資対象を探す必要があります。例えば、電源、断熱材、蓄電池、DXなどの分野。さらにこれらに限らず、様々な調査で有望な企業を発掘・再定義する必要があります。ESGに積極的ではないが、取り組んだら変化が大きそうな企業も魅力的な投資対象です。ガバナンスをよくするだけでもアップサイドは大きいのです。

 識者であり、技術の目利きであり、私のよき相談者でもある発明塾の楠浦塾長からは「出遅れの挽回だからチャンスです。日本のお家芸は追いつけ追い越せであったことを思い出しました」とご指摘いただきました。一人も落ちこぼれをださない、"No One Left Behind"はESG投資の基本原則です。そして、思い起こせば、これが我が国の強みだったのです。全員で底上げを目指し未来を変えていきましょう。私はかつてないほど、日本株アウトパフォームの前提は揃っていると確信しています。

 

(DFR投資助言者 山本潤)

この連載は、10年で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます。


三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら!
年200万円利用で高級ホテル宿泊券がもらえる!最強ゴールドカードを検証! ダイヤモンド・ZAi無料会員登録はコチラから 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!日本株の売買手数料が完全無料(0円)に! クレカ積立の還元率が業界トップクラスなのも魅力! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の公式サイトはこちら! 三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)の魅力を徹底解説!日本株の売買手数料が完全無料(0円)に! クレカ積立の還元率が業界トップクラスなのも魅力! 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

株で1億円を作るワザ
家計を救う!株主優待
iDeCo入門


12月号10月21日発売
定価950円(税込)
楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[株で1億円を作るワザ]
◎巻頭インタビュー
橘玲が教える!「プアジャパン」時代のお金の守り方・増やし方
◎巻頭企画
ZAiの最新理論株価で判明!
増益割安&高配当の2大割安株ランキング

●人気20銘柄の最新割安度・割高度を公開
●割安株ランキング&プロの注目銘柄

◎第1特集
30代で達成も!最高10億円!
株で1億円を作るワザ

●[手法1]株ノートに記録
リョウジさん/株億太郎さん
●[手法2]高配当株に投資
配当君さん/かげやまさん
●[手法3]投信・優待株を売買
株_熱中症さん
●[手法4]割安・成長株を売買
のぶのぶ野郎さん/シンさん
●[手法5]順バリスイング
りんたんさん
●[Column]達人3人の座談会
ちょる子さん・桶井道さん・たぱぞうさんは
AI・半導体株にどう向き合う!?

◎第2特集
プロがガチ選出!
家計を救う!株主優待ベスト72

●優待名人・桐谷さんが力説!株主優待の底力
「ドン底の私を救ったのは株主優待でした」

●おトクで儲かる!株主優待神7
●予算別 インフレに勝てる!最強の優待株
●どんどん利回りアップ!長期で増える優待株
●新設優待利回りランキング

◎第3特集
保有株の見直し・余った枠の使い方など
NISAの年末駆け込み"ToDoやることリスト"

●保有株と投信は必要に応じて売却・乗換えを
●余剰資金があるなら株を購入&積立を増額

●金融機関の変更手続きは12月中旬まで
●旧NISAで買った株や投信を整理
●ザイ読者のリアルなNISA年末戦略

◎別冊付録
iDeCo入門第4回
「どこで始める?ネット証券&銀行のサービス比較」

●マンガで理解
口座選びで差がつく!3つのポイントを比較

●iDeCo口座の選び方 ネット証券5社/銀行6行
●口座開設の実践編
マイナカードを手元に総合口座を解説
審査完了後に手続きを開始

◎短期集中連載
株好きアイドル[ラフ×ラフ]高梨結VSザイ部員
スイングトレード株バトル最終回
トレード振り返り!勝敗のターニングポイントは?

◎いつもの連載も充実!​
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.27
「大雨被害にどう備える?」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.22
「細かく積上げるのがスキャル流」
●おカネの本音!VOL.52 西野亮廣さん
「お笑いも映画も舞台も!大きな夢をかなえる“稼ぐ力”のつくり方」
●10倍株を探せ!IPO株研究所2026年9月編
「半導体株が失速する中で中小型株に注目が!」
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.120
「国債は満期まで?恋はどこまで!?」
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「地価と物価高騰で大打撃!老人ホーム費用が高騰!入居先の選び方と落とし穴」
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!
「100本中10本が減配し利回りもダウントレンド!」
●ザイクラブ拡大版!1カ月で1番上がる株を当てろ!
「9月後半はAI・半導体株の復調機運が追い風に!」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


ザイクラブ・アンケートはこちら!

>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報