長期投資が成功する必然的な理由とは?
本コラムでは、成長株の長期投資に興味がある方に向けて、今回から数回に渡ってその意義や基本を伝えていきます。
私が考える最も成功しやすい投資とは、複数の成長株銘柄でポートフォリオを構築し、それを長期で運用することです。その理由は、ポートフォリオを組むことで個別銘柄に起きる偶発的な失敗を小さくし、さらにそれを長期で運用することでリスクとリターンの関係が良化するからです。
継続的に得られる配当収入が長期投資のリターンの源泉
長期投資で得られるリターンは、配当というインカムゲインの継続性を利用するものと言い直すことができます。そして、そのインカムゲインは事業が継続することによって得られます。
企業には経営者や従業員などの人、設備や培ってきた知的資産、土地や現金など多くの資産があります。とりわけ上場企業はヒト、モノ、カネが集中し、社会の変化に応じて事業内容を変化させる力を持っています。例えば、江戸時代に始めた薬屋は当時の薬をずっと売り続けているのではなく、今では高度な科学技術を活用して創薬し、世界中に販売するなど、時代と共に事業を発展しています。
一方、いつの時代にも無数に存在する零細企業や個人事業主などは、上場企業ほどの資金力やマンパワーを持っていることは例外的で社会変化に応じて事業内容を変えるのは容易ではありません。次代を先読みし、先んじて投資するぐらいまではできるかもしれませんが、大量の資金を投じて事業を大規模に発展させることは上場企業のように一定の企業規模がなければ難しいです。競合企業を買収するなどの戦略も企業規模が必要です。
つまり、無数の零細企業が多くを占める世の中にあって、規模の経済が働くことは上場企業の大きな強みです。結果として、上場企業の中には競争優位性をどの時代も発揮できる優れた企業があります。ガバナンスのしっかりした上場企業は時代に合った経営を模索し、よりよい社会を作るために永続的な存在になることを目指しているのです。
上場企業が持つ継続性は、投資家から見れば「幸せの青い鳥」、あるいは配当と言う「金の卵を永続的に産み続けるガチョウ」とも言えるでしょう。常に一定の収益を上げることができ、大きな社会変化に対抗できるレジリエンス(回復力)を持つ稀有な存在が上場企業なのです。
配当の再投資による株数の増加が長期投資を成功に導く
株式投資で最も重要なのは、事業が継続して収益を上げ、その一部を投資家に還元する配当が継続することです。配当5円の銘柄を保有していれば、少なくとも2年間で10円を受け取れ、それが10年間になると累積50円、30年では累積150円の配当を受け取ることができるでしょう。当たり前と思われるかもしれませんが、配当が毎年獲得できることが、長期投資を確実な成功に導くのです。
重要なのは、得た配当を再び株式に再投資することです。毎年の配当を再投資することで、ポートフォリオの株数を増やすことができます。配当利回りが2%ならば、毎年2%分の配当から税金を引いた金額分の株数を増やせます。毎年の配当とその再投資による株数の増加こそが、長期投資のグランドデザインを支える最も重要な要素と言えるのです。
株価の短期的な下落も好機、配当利回り上昇で資産形成に貢献
多くの投資家は、株価の下落を最大の敵と考え、それをどう防ぐかが最大の関心事と言えるでしょう。しかし、長期投資においては、株価下落はむしろ配当を再投資して株数を増やす好機だと考えるのです。
株価の騰落率と配当利回りの統計を取れば、逆相関になります。株価が下がっても配当が維持されれば、配当利回りが上昇します。もちろん、コロナ禍やリーマンショックなどの危機時には、配当を減額する(減配)企業もありますが、総じて言えば、減配は少なく、増配や配当を維持する企業が多数を占めます。結果的に、株価が下がることで、配当利回りが上昇する企業が多いのです。
短期投資家の多くは株は安く買って高く売るものだと考えていますが、長期投資はそれほど単純ではありません。長期投資とは、毎年の配当を継続的に得て、それを再投資することであり、その当然の帰結として着実に資産は増えていきます。株価は下がった方が再投資は有利になります。つまり、短期投資においては株価下落は損失ですが、長期投資における株価下落は再投資利回りの上昇につながりやすく、むしろ、好ましいことと言えるのです。
(DFR投資助言者 山本潤)
この連載は、10年で資産10倍を目指す個人のための資産運用メルマガ『山本潤の超成長株投資の真髄』で配信された内容の一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガに登録すると、週2回のメルマガの他、無料期間終了後には会員専用ページでさらに詳しい銘柄分析や、資産10倍を目指すポートフォリオの提案と売買アドバイスもご覧いただけます。