凡人投資家と好成績投資家との決定的な差はどこにある?
株式投資をしていると、必ず直面するのが含み損の問題である。最初に言っておくが、どんなに好成績を上げている投資家だって、10銘柄に投資すれば確率的には同じくらいに含み損が発生しているかもしれないのだ。個別銘柄投資で10割バッターなどもちろんいないし、7割バッターになることだって正直なかなか難しい。
では、あなたと好成績投資家との差は何だろうか? それは損失に対する対処の仕方の違いにある。
多くの個人投資家たちは損失を回避したいという気持ちを持っている。しかしながら、損失を抱えた場合にそのポジションをなかなか解消できない。「含み損を抱えた株式を長く保有する傾向」があると同時に、「含み益の出ている株式を早く売却する傾向」を本質的にもっている。株式投資をすでにおこなっている皆さんなら、ほぼ全員がうなずいてくれるはずだ。さる統計データによると、株価の上昇した銘柄は下落した銘柄に比べて、約70%も売却されやすいそうである。
損小利大すべきだと思ってもできない理由は?
それは、人間の心の中で「利益と損失が非対称形をなしている」からである。いきなり「非対称形」と言われてもピンとこないかもしれない。分かりやすく言えば「100万円の利益が出た時の心の喜び」より「100万円の損失が出た時の心の苦痛」の方が大きいからだ。
だから、損失銘柄には「すぐに回復するのでは」という甘い期待を抱きやすい。苦痛が癒えるまでは、とにかくじっとしていたくなる。だが、そんな自分都合な期待はことごとく打ち破られる。そういう銘柄に限って、さらに株価はどんどん下落してゆく。
一方、「ちょっと利益が出たから売却しよう」という銘柄は、売却後に本格的にどんどん上昇することが多い。「何であんなに早く売ったのか」と大きく後悔することになる。
保有し続ける含み損のある銘柄からは平均以下のリターンしか上がらず、売却してしまった銘柄はその後すばらしいパフォーマンスを上げる。これぞ、紛れもない真実である。私はピアノを弾いたり、自分の演奏用に作曲や編曲もやるのだが、「買ったとたんに急落、売ったとたんに急騰」という曲を昔作ったことがある。ほとほと自分がマーケットから見放されていると思う瞬間を嘆いた曲だ。笑うに笑えない。
含み損を抱えて動けなくなった時にどうするか?
こういう時、絶妙の発想転換がある。それは含み損のある銘柄を早々に切って、その銘柄以上に価値のある銘柄、すなわち含み益が出ている銘柄に乗り換えることである。
あなたは言うかもしれない。「含み損のある銘柄を切ることができないんですよ。損失を出すなんて耐えられない。保有銘柄はすべて利益を出さないと気がすみません」うーん、これでは負け組の投資家確定である。こういう投資行動では、損益がマイナスの保有銘柄ばかりが次々に増えることになる。
もし、「含み損のある銘柄」よりも「含み益のある銘柄」のパフォーマンスの方が良いのなら何も躊躇することはない。含み損からおさらばしてせいせいするのと同時に、即、含み益の状態になるのだ。含み損を抱えたまま苦痛を引きずるのと比べて、精神衛生上どちらがよいのかは明白だ。
「勝者のポートフォリオ」が実践するリスク管理を学ぼう
株式市場は昨日まで起こっていたことがウソのように消滅し、その反対のことが突然起こるという世界である。「株式市場は非日常の世界」はもうすでに述べた。ふだんは順調に社会生活を送り、まっとうな社会人として生きている人々にとっては、理解しがたい激変が襲ってくる。
「そのうち何とかなるだろう」と思っていると、何ともならず手遅れになる非情な世界が株式市場である。だから、株式市場の世界では常識的かつ穏健な行動こそ「命取り」につながるのだ。特に成長株投資において投資ストーリーが崩れた時など目も当てられない。
では「含み損銘柄」をどういうタイミングで売却すればいいのか?これはまさしくリスク管理の発想になる。このリスク管理型のポートフォリオこそが「勝者のポートフォリオ」が実践しているやり方である。有料メルマガ会員は実際のポートフォリオでその概要を認識していると思うが、その投資手法については今後詳しく説明していくことにしたい。
(DFR投資助言者 太田 忠)
国内外で6年連続アナリストランキング1位を獲得した、
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