一般的な会社で、社員の資産形成を支援する仕組みとして「財形貯蓄」があります。給与から一定のお金が天引きされ、会社が提携している金融機関にお金を預けて貯めていく仕組みです。
「会社の財形貯蓄をやっていますが、これは続けた方が良いのでしょうか?」という質問をいただくことがあります。私も会社員のころ入社してすぐに財形貯蓄の説明を聞きました。でも、意味がないと思い、結局始めませんでした。
財形貯蓄に意味がない理由は、金利の問題です。現在、財形貯蓄の金利はだいたい0.04%程度(新生銀行一般財形 2022年2月)で、銀行預金の金利よりも多少良い程度に過ぎません。それでも銀行預金の0.001%に比べたら40倍も高いので、多くの人が家を買う頭金などにする目的で財形貯蓄をしています。しかし、資産を増やしたいなら「財形貯蓄でお金を貯めることは意味がない」ことを覚えておいてください。
「現金で物が買えるから、十分に意味があるのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、現金は生活費3カ月分くらいの金額があれば十分です。例えば、毎月30万円ほどで生活をされている方なら100万円程度あれば十分でしょう。また、消費税だけでも2019年から2%上がって現在は10%となり、インフレ率も2%目標と言われています。この情勢の中で財形貯蓄の0.04%の金利は、果たして十分と言えるでしょうか? なかなか厳しいですよね。
繰り返しになりますが、財形貯蓄で貯めた現金を持っていてもメリットはありません。目減りしていくリスクだけが手元に残ります。一番損をする人は、間違いなく現金をたくさん持っている人です。
財形貯蓄よりもオススメは「つみたてNISA」
ではお金を増やすためには、財形貯蓄ではなく何をすれば良いのでしょうか?私は、財形貯蓄でお金を貯めるよりも「つみたてNISA」をオススメします。
2018年から「つみたてNISA」がスタートしました。年間40万円を上限とした投資信託の積み立て投資で、20年間は非課税になる制度のことです。本来、投資によって得た利益には20.315%の税金がかかります。しかし、つみたてNISAを利用した利益は税金を払わなくてよいのがメリットです。投資先は金融庁からお墨付きをもらった投資信託のみなので、安心感もあります。
開始当初は非課税の期限が2037年まででしたが、5年間延長されて2042年までとなりました。途中売却も自由で、留学資金・独立・起業資金・結婚資金・老後資金など必要になったときにいつでも現金化できます。
つみたてNISAは非常に使い勝手がよいので、とてもオススメです。このマネ活実践講座のコラムを読んだ後、ぜひ始めてみましょう。例えば毎月3万3000円を1年間貯めれば、年間40万円を積み立てていくことができます。
■つみたてNISAの特徴
利用できる人 :日本国内に住む20歳以上の人 ※1
投資できる商品 :条件を満たす株式投資信託またはETF ※2
投資の形 :積立のみ
商品の買い替え :自由だが、新規の買い扱いになり、その分、非課税枠が減る
新規に投資できる期間:2018~2042年
非課税となる期間 :最長20年間
非課税となる投資額 :毎年40万円まで
節税のメリット :普通分配金、売った利益は非課税
投資額の上限(累計) :2020年から始めれば920万円
資金の引き出し(売却) :いつでもできる(枠の再利用は不可)
※1:2023年以降は18歳以上の人
※2:条件は、信託報酬が低いこと・販売手数料が無料・毎月分配型でないこと、など。
持株会に年間200万円投資した3年後の評価は?
私が証券会社で働いていた頃は「つみたてNISA」はまだ無く、会社の持株会を利用して積立していました。持株会とは従業員持株会のことで、民法に基づいて設立される組合です。給与や賞与から天引きされたお金を持株会がまとめて、自社株を購入するシステムになっています。社員の資産形成を支援することが目的です。
持株会に投資できる金額は、最高で月に10万円でした。少しずつ積み立てていっても資産を築くにはかなり時間がかかるので、思い切って月々10万円を投入。さらにボーナスから80万円ほど追加して、年間で200万円の持株を購入していました。
しかし当時の手取りは毎月約16万円で、持株会の天引きを引くと残りはたったの6万円。幸運にも実家住まいだったので家賃・光熱費・日用品代はかからず、かかるお金は実家に入れる食費やランチ代・洋服・化粧品代くらいでした。それでも6万円でやっていくのは大変でしたが、頑張って続けました。
続けた結果、年間200万円で始めた持株会は3年間で800万円近くまで成長しました。年間200万円を3年間単純に積み立てると600万円ですが、積み立て運用をしていたおかげで200万円近く増えたのです。
無謀とも思える年間200万円の投資を続けられたのは、「今を取るか、未来を取るか」ということを考えていたからです。好き放題の暮らしをしていたら将来は貧乏になります。しかし、頑張って投資を続ければ将来は豊かになれると信じていました。
今回は今の「財形貯蓄」には意味がないから「つみたてNISA」を始めよう、というお話をしました。つみたてNISAをする際は、ちょっと厳しい金額設定でチャレンジしてみてください。その分節約を頑張ろうとするので、意外とチャレンジしたらできるものです。将来の自分のためにも始めてみてくださいね!
●八木エミリー
投資家。野村證券に入社後、新人で東海地区の営業成績ナンバーワンとなり、最年少講師に。26歳で辞めた後は、不動産投資を開始し、7棟の不動産を所有(購入額7億円)。不動産投資の自己資金は徹底した節約で貯めたもの。現在はIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)として中立の立場で金融商品のアドバイスなども手掛けている。20代30代を中心に経済的自立を目指すお金ビギナーを救うために日々活動している。著書に『今からはじめれば、よゆうで1億ためられます!』。最新刊は書籍『元証券ウーマンが不動産投資で7億円』(ダイヤモンド社)。
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