株価と出来高の不思議かつ密接なる関係をユーグレナ(2931)を題材にして解き明かすぜ！の巻パッと見は「？」だが実に役立つ「逆ウォッチ曲線」編がスタート！

逆ウォッチ曲線は縦軸を株価、横軸を売買高とするチャート指標で、パッと見はミミズが這い回ったようなグラフだけど、実はものすごい実力の持ち主なのだ。なんと、「相場の一生」がこれでわかるんだって！ 

＜チャートの愚かモノの過去記事だぜ＞

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登場人物

福永博之さん

テクニカル分析の第一人者。さまざまな投資情報を提供するサイト「アイトラスト」を運営するインベストラスト代表取締役でもある。『めちゃくちゃ売れてるマネー誌 ＺＡｉが作った「株」チャートらくらく航海術』『ＦＸ一目均衡表ベーシックマスターブック』（弊社刊）など著作多数。今回から始まる逆ウォッチ曲線も、インベストラストが提供するアイチャートにしっかり採用されているぞ。

ハラダ

チャートの（チャートも）愚かモノ。株など投資関連の編集に携わって10数年だが損してばかり。今回題材としたユーグレナは上場してからずっと気になっていたそうだが、結局買わなかった。うまく売買していれば結構儲かったのにねえ。ホント、超重いケツだこと！

株価の上昇→下降トレンドが一目でわかるスグレモノ

 ハラダ センセイ、さすがにもう残ってないよね？ ま、いろいろあったけど、お疲れ様でした！ このご恩は3日ぐらいはたぶん忘れないから。

 えっ、何が残ってないんですか？ まさか、株を買う度に損の連続で、愚かモノさんの軍資金もついに残りがなくなったということ!? お気の毒さま、いや、むしろ自業自得かも？

 違いますって！ もう、この連載でオレに教えるチャート指標とかノウハウとかはないでしょって意味なんだってば！

 またまた、ご冗談を！ チャートの世界は奥が深いのですよ！ ほら、下のチャートの赤線で囲んだ、これなんかもまだレクチャーしていませんよね？

 何なのよ、コレ？ ミミズが這った跡みたいな曲線。利き手じゃないほうの手で丸を描こうとしたとか!? あ、先生のサイン？

 ちゃいますがな。これは逆ウォッチ曲線と呼ばれるテクニカル指標で、縦軸が株価、横軸が売買高を示しています。ただし、実際の株価と売買高で曲線を描くとかなり派手で小刻みな動きになってしまうので、どちらも25日間の移動平均値を用いています。

 説明乙！ でも、さっぱり、「はぁ～ん？」って感じなんだけど。それで、このウニョウニョなラインは何を表現しているわけなのよ？ まさか、特に意味はないなんてオチじゃあ……？

 そんな愚かモノみたいなチャート指標はないですって。逆ウォッチ曲線は、株価が上昇トレンドに入ってから下落に転じるまでのサイクルをビジュアル化した指標なんです。つまり、「相場の一生」を描いているようなものですね。

 いったい、どういうことよ？ そもそも、逆ウォッチって名前からして「はぁ～ん？」って感じなんだけど。センセイ、頼むから超わかりやすく説明してくれよん！

株価と売買高の相関関係を８つのステップで説明

 時計とは反対回りに時間が経過していくようになっているので、逆ウォッチというネーミングになったんですよ。そして、逆ウォッチ曲線では相場のサイクルを８つのプロセスに分けて見ていきます。まずは簡略化した図で説明しましょう。

 おーっ、八角形になってんじゃーん！ ①のところからスタートするわけだな。株価はまだ安く、売買高もそんなに増えていないってことか。

 ただ、①から右に進んでいくうちに、「株価はまだ動いていないもの、売買高が増えていく」という兆候が見られるようになります。そして、②の付近になると、「売買高の増加が続き、株価も上昇する」という傾向が顕著になってきます。

 ホントだ！ 売買高、株価ともに絶好調じゃーん！ こーゆー株を買いたいものだの～。

 しかし、③に差し掛かると、「株価の上昇は続くものの、売買高の増加が止まる」という現象に変化します。さらに、④では「株価の上昇は続くが、売買高は減り始める」という展開になります。

 確か、前回、売買高は株価の動きに先行するって習ったよーな。ということは、出来高が減るってヤバいじゃん！

 おー、そのとおりです。よく覚えていましたね。いわゆる１つの奇跡ですな。ま、それはともかく、「株価の上昇が止まり、売買高の減少も続く」というのが⑤の付近で、「株価も下落に転じ、売買高もさらに減る」というのが⑥です。

 おーっ、ついに１つの相場が一生を終えるってことなのかー！ なんだかしんみりしてきちゃったぜ。

 もっとも、生物の一生とは違って、株価の場合はやがて新たなサイクルが訪れます。⑦の付近では、「株価の下落は止まらないものの、売買高の減少が止まる」という変化が生じ、⑧では「株価の下落は続くが、売買高は増え始める」という明るい兆しが見られます。新たな相場が始まる可能性が高まりつつあるわけです。

「ミドリムシ」は再び活発に動き回るか？

 おーっ、やっと理屈がわかってきたのだぁー！ では、実例も見てみたいのだぁー！

 １つの大相場が終わったという印象が強いものがいいですね。じゃあ、ユーグレナ（2931）なんてどうでしょうか？

 おーっ、ミドリムシの一生ってこと？ でも、ミドリムシって寿命、短そうだなー

 これこれ、失礼なことを言ってはダメですよ。ま、ホントのミドリムシって細胞分裂で増えるから、「寿命」という概念はいまいち当てはまらないそうですね。それはさておき、逆ウォッチ曲線を見ながら説明しましょう。まず、新規公開直後はいったん売買高が減ったものの、間もなく急増して株価の上昇も顕著になりました。

 おー、4月に入ったとたん、急激に売買高が増えてるな。確か、その頃ってオレは指をくわえて見ていたっけ。

 ところが、4月後半、株価が7000円を突破した付近で売買高が減少。それでも株価の上昇は続きましたが、1万500円手前でまたも商いが薄くなり、1万1000円前後で一進一退となった後、急激に減少して株価も大きく下げました。

 これって、さっきの⑦とかの局面に差し掛かっているってことですかー？ 「株価の下落は止まらないものの、売買高の減少が止まる」っていう……。

 目先は売買高が若干ながら戻ってきましたが、またも減少していけば株価の下落も止まらず、逆ウォッチ曲線は下降して、ほぼ丸に近い形状になるでしょう。

 まっ、マジかよ～？ それじゃあ、ユーグレナの相場が「夕暮れ」に差し掛かってるってことじゃーん！

 ノー・モア・ダジャレ！ ともかく、豚の尻尾のように再び逆ウォッチ曲線が螺旋を描いて右斜め上をめざすパターンもありますし、ユーグレナも大きな期待が寄せられている企業ですから。

 へへへ、センセイってやっぱりオトナだね～。しっかりフォローしてるじゃん！

（取材・文／大西洋平 イラスト／スージー甘金、藤波俊彦）

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◆ユーグレナ（2931）