日本株や為替、世界経済に潜む闇を白日の下にさらけ出し、明快かつ独特な視点で切り込む刺激的な金融メルマガの闇株新聞プレミアム(毎週月曜日+随時配信、月額2552円税込)。その分析力の深さは、大新聞の経済記者がネタ元にしていたり、プロの金融マンたちも愛読していることで実証済み。この連載では、闇株新聞プレミアムの一部を抜粋してお届けする。2回目は、習近平総書記が最近、よく引用する無名の前漢・宣帝との類似点から、習近平の狙いを闇株新聞が掘り下げます!
(関連記事⇒闇株新聞が中国の統治機構に切り込む! 習近平が綱紀粛正を進める理由とは?)
綱紀粛正を進める習近平が引用する皇帝
習近平は、前漢の9代皇帝・宣帝(在位・紀元前73年~前49年)の故事をよく引用しており、自らを宣帝になぞらえていると考えられます。確かに中国共産党の総書記とは中国における最高権力者であり、自らを皇帝になぞらえても何ら不思議ではありません。
しかしなぜ中国史でもそれほど有名ではない宣帝なのでしょうか?
中国史とは数多くの王朝が支配し滅びていった歴史ですが、劉邦が紀元前202年に建国した漢(前漢)が初めての漢民族による統一国家と考えられます。この漢民族こそ正統な中国民族とされているのですが、その後の中国王朝の大半は異民族が漢民族を支配していたものでした。
そう考えると習「皇帝」がなぞらえる対象は、漢民族である漢の皇帝でなければなりません。実際には漢以降に正当な漢民族による統一国家はほとんどないからです。しかし前漢の代表的な皇帝は7代皇帝・武帝(在位・紀元前141年~87年)で、宣帝ではありません。
習近平との類似点
その武帝の曾孫である劉詢(りゅう・じゅん)は、生後間もないときに皇室内の内紛で祖父母・父母・兄弟が処刑されてしまい、民間人として育てられました。
この辺りが、若い頃に党幹部だった父親が文化大革命で追放され、16歳で電気もない農村に下放された習「皇帝」の生い立ちに通ずるのでしょう。
劉詢は成長すると「学問に優れ、質実倹約に努め、仁愛深い性格である」と、武帝の死後の政治を取り仕切った大将軍の霍光(かく・こう)に評価され、8代皇帝・昭帝の死後に9代皇帝となりました。しかし間もなく後見役の霍光が亡くなると、権力を拡大していた霍一族全員を処刑してしまい、親政を始めました。
明らかに霍光は、習近平の後ろ盾でもあった江沢民のことで、江沢民の死後には連なる人脈全員を追放してしまうとの強烈なメッセージなのでしょう。江沢民はまだ生存中ですが、実際に連なる人脈は周永康をはじめあらかた追放してしまいました。
これだけで何かを結論づけるつもりはありませんが、その後の宣帝はどうなったのかだけをご紹介しておきましょう。
宣帝後の前漢は弱体化
親政を始めた宣帝の政治とは「信賞必罰」を基本とする厳格な法家主義でした。ここでも習「皇帝」は独断専行ではなく、あくまでも法律を厳格に適用しているだけとのメッセージなのでしょう。
宣帝は伝統的な理想主義である儒家を嫌い排除していたのですが、その反動からか儒家に傾注した息子が10代皇帝・元帝となると漢王室は徐々に衰退し、その後の宣帝の血筋を引く皇帝も愚帝が多く、紀元8年には外戚の王莽に倒されて前漢は滅んでしまいました。つまり宣帝とは自らは賢帝だったものの、明らかに強大な国家だった前漢が弱体化するターニングポイントとなった皇帝なのです。
習「皇帝」は、何とも歴史的に評価が難しい宣帝に、自らをなぞらえていることになります。
闇株新聞編集部
「オリンパス事件」「AIJ投資顧問事件」といった経済事件のスクープをきっかけに信頼のおける解説でコアな読者をつかんでいる。 DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)にて、毎週月曜日に配信する闇株新聞プレミアムでは、さらにディープな情報をお届けしている。
●闇株新聞PREMIUM(プレミアム)
毎週月曜日・および随時配信。価格 2552円(税込)
前回配信時(2015年7月20日号)の目次
・メインテーマ1 ☆どうしても書いておきたいこと 経済編☆
・メインテーマ2 ☆どうしても書いておきたいこと 政治編☆
・お勧め「映画」コーナー
・質問コーナー
※今週の相場観コーナーはお休み
登録後20日間は無料で購読でき ます!
闇株新聞PREMIUM |
|
【発行周期】 毎週月曜日・ほか随時 【価格】 2,552円/月(税込) | |
闇株新聞 週刊「闇株新聞」よりもさらに濃密な見解を毎週月曜日にお届けします。ニュースでは教えてくれない世界経済の見解、世間を騒がせている事件の裏側など闇株新聞にしか書けないネタが満載。 |
|
●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)とは?
金融・経済・ビジネス・投資に役立つタイムリーかつ有益な情報からブログに書けないディープな話まで、多彩な執筆陣がお届けする有料メールマガジンサービス。
初めての方は、購読後20日間無料!
世の中の仕組みと人生のデザイン |
|
【発行周期】 隔週木曜日 【価格】 864円/月(税込) | |
橘 玲 金融、資産運用などに詳しい作家・橘玲氏が金融市場を含めた「世の中の仕組み」の中で、いかに楽しく(賢く)生きるか(人生のデザイン)をメルマガで伝えます。 |
|
堀江 貴文のブログでは言えない話 |
|
【発行周期】 毎週月曜日、水曜、ほか随時 【価格】 864円/月(税込) | |
堀江 貴文 巷ではホリエモンなんて呼ばれています。無料の媒体では書けない、とっておきの情報を書いていこうと思っています。メルマガ内公開で質問にも答えます。 |
|